ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

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32.コスプレをしたくない

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「え~と……。ああ~! ありました、ありました」

 のそのそと、小さいおじいちゃんが資料を持って来た。

「確かに、ここのダンジョンの輝石は一週間前に採取した筈なのですがね~。未だに、崩落の兆しもありませんようで……。それから、興味本意で向かった者達は何故か人が変わったようになり、中には殺人を犯した者もいるとの話も聞き及びます。まったく、恐ろしい限りでございますよ」

 予想だと、紫の禁術機【愛憎の逆転】だろう。

 確かに、灰の禁術機【憤慨の確定】だという可能性もあるけれど。その場合はもっとそこら中を破壊し尽くしているはずだから、殺人と断定的なもので言われないと思う。

 そして、もう一つのは戻って来れさえしないから、これは違うと断定つけても良い。


「ここに俺達は向かうから、許可証を発行してくれ」


 レイドが、コートのポケットから何かバッチのような物を取り出し。それをカウンターへと置いていた。

 何故、俺達がギルドに来たのかと言うと。ダンジョンに向かうには、ギルドに許可を得ないと駄目らしい。

 それは恐らく、輝石などの流通を管理するためなのだろう。


「はい……? 許可証は出せますが。一度そこの輝石を採取もされ、クリアされていることになっておりますので……。仮に、そこで何か起こったとしても、こちらはなにも保障することは出来ませんよ? あくまで、ダンジョン崩落中としての扱いになっていますから……」
「それで良い」


 おじいちゃんはため息をつき『最近の若い者は、身を滅ぼすことを平気でやるの~』とブツブツ言いながらも許可証を発行してくれた。

 てか、おじいちゃん。レイドのこと知らないんだ?

 結構長く生きているようなのに、ある意味は凄い人物なのかもしれないな~。


「ああ、それで。あなたは、魔法剣士のようですが……。え~と、ボクは職業どうするの?」


 おじいちゃんが、俺のことを目尻を下げて見ている。


 …………。


 ボクーーーっっ!!?

 えっ? えっ……? 俺のことかっ!?


「お、お、俺……?」
「そうだよ。ボクはなんの職業が良いかな? 君くらいの年齢だと……。え~と、勇者が人気のようだねぇ~」

 おじいちゃんは、職業のようなものがズラ~とたくさん書かれている紙を見てから。俺が分かるようにだろうか、それに指を差して見せてくれた。

 う、嘘だろ……? 俺、何歳だと思われてんの?

「あと、勇者は人気があるから、コスチュームもたくさん置いてあるよ?」
「ヤマダ、勇者にしよう。とてもピッタリだ」
「やるかっ!!」


 その後もしばらくの間。レイドと、何故かおじいちゃんにも勇者をごり押しされたが。俺は、コスチュームが一つもないと言われた、木こりの職業にした。


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