ダンジョンの核に転生したんだけど、この世界の人間性ってどうなってんの?

未知 道

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22.この世界では、通例の告白?

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 防御壁を張った、森の中――。


『ピュ~ピュ~ピュ~!!』
『きゅいきゅいきゅい~~!!』
「ふむ、体調も良いようだな」


 変態の頭の上に青い鳥が乗り、毛玉達はその膝の上や肩の上によじよじと登っていた。

 ははっ! 似合わね~!!


 俺が輝石となって直ぐ。変態は、この青い鳥や毛玉達が安心して過ごせる場を設けてくれていた。

 やはり、こいつらは希少価値があるようで、人間から常に狙われているようだったのだ。

 けっこう市場とかでも、高値で羽や毛皮などが売られていて……。それを見て、俺は悲しくなった。

 そうしなければ人が生きていけないからとかではなく。ただそれが綺麗だからという理由で、自分達を飾る為だけに販売しているようだったからだ。

 だから、こいつらを保護してくれている変態には、俺はとても感謝している。

 俺は、途中で面倒を見れなくなっちまったからな……。



「では、俺は行くところがあるのでな。また今度、顔を出しに来る」


 変態がそいつらを地面へと下ろし、立ち上がる。

 皆が嫌だ嫌だという風に、抗議の鳴き声を出していた。

 変態は、それに対して苦笑いを浮かべ……。そのまま空間魔法を使って移動をしたのだ。


 ――空間魔法は、古代魔法らしい。

 それを使えるのは、その名の通りに古代魔術師であり。以前、俺が思ってた通りに変態のことだった。
 それは、もう一度ディスプレイを見直したら。生粋である古代魔術師っていう存在がいると、端の方に小さく説明があったんだ(まただよ……)。魔法とかの説明以外は、俺には関係ないからと、よく見ずに飛ばして読んでいたから余計に気づかなかった。
 いや、その魔法の説明部分にも古代魔術師の魔法なんだと書いといて欲しいわ。別々に書く必要ある? ……まぁ、ただの言い訳だけどさ。

 んで、古代魔術師って言われてるくらいだし。一体何歳なのかな~? と変態の年齢が少し気になってる今日この頃。



 △▼△▼△▼△▼


「――さて、俺に伝書をわざわざ送ったという事は。さぞ、重要な理由なのだろうな?」
「ハ、ハートシア様……」


 ――ん? あれ、こいつ……。


「ハートシア様。わ、私、勇者――いえ、お尋ね者の居場所を、知っています!」


 あの馬鹿と一緒にいた、ナース服女じゃん!


「……それは、何処にいる?」
「お、教えるには、条件が……あります」


 おお? なんだ、なんだ~? 変態に条件って。

 まあ、確かになんでも出来ちまいそうだからな~。

 何か、欲しいもんでもあるんか?


「条件……? どういうものだ?」

 変態が、怪訝そうに顔をしかめている。

「わ、私の胎に。ハートシア様の子種を賜る栄誉をお与え下さい。ちゃんと、ハートシア様の子を孕んでみせます!」


 …………?


「も、勿論……! 満足だって、させてみせます!」


 ……はぁ?

 おい、おい~? ここの世界の奴らって、もしかして……。告白とかには、孕ませるとか孕むとか……性的なことを絶対に言わなきゃいけない決まりだったのか?

 え、ヤバ。俺はヤダわ。普通に『好きです』でよくない?


「はっ! 何故、お前などに与えなければならない……? 悪いが、そんなに安いものではないのでな」

 はあああーーー??
 安くね? 石ころの俺にかけるくらいの、安さだよな……?

「な、何故です!? 私だったら――」
「ハッキリ言わなければ分からんのか……? お前などでは、俺の気持ちが高揚することはない。俺には、心に決めた者がいるからな」

 ――おい、俺の方を見んなよ。
 てかさ、なんでいつも俺を握ってんだよ。袋にでも入れてくれ。

「――――ッ!! ハートシア様! 目を、目を醒まして下さい!! そんな、汚ならしい石……。輝石であるのに、光もしない気味の悪いものなんて、捨ててしまった方が良いですっ!!」

 あ、そうみたいなんだよな~。
 俺、道端にあるような、ただの黒い石のような見た目らしい。

 でも、輝石だと認識されてるのは――。
 それを得た者は、申請義務があって。もし、ダンジョンを崩壊した後に輝石の行方が分からないと、捜索のようなものが入る。だから、変態は真面目に申請をした。
 初めは、見た目が違い過ぎるから冗談だと思われていたけど、一応は鑑定してくれて。俺はちゃんと輝石という結果が出たからだった。

 けど、もし捨てられたとしても。こんな見た目じゃ、輝石だって周りが気が付かずに、ただ蹴って遊ばれるだけじゃね? 一生それだったら、キツイな~。


「それのせいで、ハートシア様の評判が最近は良いものではなくなって――――」
「そんなものどうだって良い。周りが勝手に作り上げた、俺の評判などには懲り懲りだったからな」

 ……。うん、まあ、それは分かる。

 この人はこうだ、あの人はあんなだ、とかって……ただの周囲の先入観だもんな。

「それが目的ならば、お前が持っているという情報はもう必要ない。だから、お前は二度と俺にその顔を見せるな。心底、虫酸が走る」

 うわ~……。けっこう、ストレートに言うな~。
 でも、振るんだったら。確かに、期待を持たせるよりも、こう言われた方が相手も諦めがつくか。

 そう言って直ぐ、変態はナース服女とすれ違い。そのまま振り返ることもせずに歩いていた。

 だけど、俺は何だかナース服女が気になり、そちらに意識を向けると――――。


「……ハートシア様。自分から望めば、自由にさせてあげたのに」

 ん? あれ? あいつ、何か変な機械みたいなもん持ってないか?

 え……? 何あれ? 電撃みたいなのが、こっちに来て……――。


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