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19.最後まで、ムカつく野郎だ
しおりを挟む「俺はあれから、ずっと、ずっと、お前にムカついていたんだよっ!! なにが、凄いダンジョンだっ!! 可愛い核がいるだって!? なんで、お前が褒められてんだよっ!!? 許せない!! 俺をこけにしたクソ核のくせにーーっ!!!」
馬鹿が、足をダンダンと青い鳥や毛玉に振り下ろしている。
「――――ッ!! 止めろっ!! くっ、くそっ!」
俺は、攻撃魔法を放つ事が出来なかった。
青い鳥と毛玉達が、馬鹿とあまりにも距離が近すぎて。もし、俺が攻撃したら一緒に当たってしまうからだ。
「お前のせいでっ! 俺は、出来て直ぐの核すら取れない勇者だってレッテルを貼られたんだぞ!! チーム組んでた女にだって逃げれるし……お前のせいなんだよーーー!! 全部っ!! 全部っっ!!!」
馬鹿が苛立ち気に、自分の頭をグシャグシャと掻き毟った。
それで漸く、こちらから目線を外したので。俺は自分の幸運スキルを使おうと馬鹿に近付――。
「おーっと! その手には、乗らないぜ? この十数年で、お前の動きをは研究し尽くしたんだ。お前に近付く人間は、吹っ飛んじまうんだろ~?」
馬鹿は、ニヤニヤと笑いながら。グッタリした様子の青い鳥と毛玉の首を掴み、俺に見せた。
まさか、死んでしまったのかと思い、血の気が引いたが。青い鳥は小さな声で鳴き、毛玉はぴすぴすと鼻を鳴らしていた。それで、ちゃんと生きているのが分かり、ホッとする。
でも、俺がこれ以上近付いたら。その首をへし折られてしまうかもしれない。だから、むやみに近付くことが出来なくなってしまった。
――――くそ……! まさか、こんなことにっ!!
攻撃を、弱体化して撃つか?
いや、駄目だ。さっき思ってた通り、毛玉達との距離が近すぎる。
それに、あいつは防御するために、きっと周りにいる毛玉達を使ってしまうだろう。
「おい! こいつら、助けてやっても良いぞ? だけど、一つだけ条件がある!!」
「……その条件は、なんだ?」
ドヤ顔をしながら言っている馬鹿に、苛つきながらも。この状況では、俺はその条件を聞くことしか出来ない。
「輝石を自分で取れよっ!!」
「は?」
馬鹿の悦に入った顔を、俺は呆然と眺める。
「早くしろよっ!! 自分なら出来るんだろ!? 古代魔術師と戦ってた時に、自分に向かって撃ってたらしいじゃんっ!! さっさとしろよ! ――やらないなら、一匹ずつ殺してやろうか……?」
は? なに? 古代魔術師って、変態のことか……?
こいつに何を言われたのかが理解出来ず、俺はそれについて少し考えてしまった。すると、馬鹿が剣を毛玉達に突き立てようと腕を上げていた。
「ま、待てっ!! やる! やるから……!」
マジかよ。
こんな奴に自殺しろと言われて、俺は命を終えるのか……。
「お前、約束しろ。俺が輝石を取ったら、こいつらに手を出さないと……」
「あ~あ~、分かった、分かった。約束する、するぅ~~」
ニマニマとしやがって。マジで、最初から最後まで苛つく奴だったな。
俺は、極級魔法を大量に展開し。自分の核に向かってそれを撃った。
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