10 / 142
10.話の通じない人と、会話はしたくない
しおりを挟む「この闇を照らし、光の粒よ――ひっ!? ま、まだ詠唱中であるのに、なんと姑息なっ!! うわっ! ひぃ!? え、えっ? これは、最級魔法……? 何故、ダンジョンの核ごときが? ひぃいっ!? まっ、待ってくれっ! うわああっ!!?」
「はい、はい、はい~! 頑張って避けてね~! ちゃんと、調整はしてやってんだからさ~」
はっ! はっ! は~~~っ!! マジで面白いわ!!
ピョンピョン跳ねて、逃げてて。こいつ、サーカスのピエロみたいなんだよな~!
「ゼェ……ゼェ……ゼェ……っ! こ、この、悪の核めが!! いつか、必ず……お前を討ち滅ぼしてみせるっ!!」
「はいはい~! 頑張ってね、サヨウナラ~~!!」
「ぎゃあああああーーーーーっっ!!?」
なんか、ピエロが捨て台詞吐いて、出口まで走って行ってたから。ついつい近付いちゃったら、そのまま外まで吹っ飛んで行った。
はははーー!! これぞ、ダイナミック退出だなっ!
「はあ~……。つか、いつまで続くのこれ?」
アドレナリンが切れると、いつもこう思うんだ。
俺って、寿命あるのかな? ってさ。
だって、何の楽しみもなく。いつまで、ここに居なきゃいけないんだか、不安になるんだよ。こっから出れね~から、余計にだろうけど……。
前世と、何が変わったかって言ったら。魔法が使えるようになったことの一つだけだし。
容姿は、ぶっちゃけ期待してたんだ。
だって、異世界転生ってさ。凄い、美男美女になってた~! っていうの、友人に見せられてたのに多かったし。そうだったりして……? みたいな。
だから、極級魔法で氷柱を造り出して。それを削いで鏡にすることにした。
しっかり完成するまでは見えないように、それにスモークだってかけてたんだ。
だいぶ時間はかかったが、完成し。ワクワクドキドキしながら、いえ~い!! って鏡を見たら――まるっきり転生前の俺だった。
一瞬のうちに、鏡を粉砕してしまったよ。
まあ、こんな洞窟内じゃあ、仮に美男子でも意味ないかと思い直しはしたけどさ~。
――ゾワワワッ!!
「うっ!? 奴だなっ!!」
そいつの、いつもの挨拶が飛んで来る。
「マジでさ~! いい加減に、諦めてくんないかな~~っ!!」
俺のさっきまでいた場所に、最・拘束魔法が放たれていた。
「ヤマダこそ……。いい加減、俺の気持ちを受け入れて欲しい。無駄な時間を使ってしまっているのに、何故、気付かない……?」
こいつ、馬鹿なのか……?
「嫌に決まってんだろ! だったら、こんなまどろっこしい事せず、攻撃でも何でもすりゃいいだろ? 多分、そっちのが早いと思うけど~?」
変態が懲りもせずに。またこっちに、それを放って来る。
「もし、それでヤマダが怪我でもしたらどうする……? そのような危ないことなど、出来ない」
馬鹿だな。うん、こいつ馬鹿だ。
「あのさ~前から思ってたんだけど……。お前、なんで俺のこと好きになったんだ……? 惚れさせること、俺したか?」
本当に、意味が分からないんだよな~。
最初は。俺が、変態をダンジョンの外までほっぽり出したのが、惚れた原因かと思ったけど……。
だったら……。初見から、拘束魔法だけしか撃たなかったのはおかしいからな。
「ヤマダは、最高に可愛い。きめの細かな白い肌も、くりくりとした大きな目も、小動物のような小さな鼻も、さくらんぼのように赤い唇も、小ぢんまりした背丈も。全てが可愛らしく、愛おしい」
はあああっ!!? 誰も、好きなところなんて聞いてねーぞ!!
しかも、小ぢんまり……。俺が、凄い気にしてるところをついてきやがったな~~っ!!
「お前、ムカつく!! 馬っ鹿やろぉおーーーっ!!」
ここの世界の奴は、話が通じないというのが。今回さらに確信した。
だから、こいつの事を知ろうと話しかけるなんて、絶対っ! 絶ーー対っ!! に、もうしてやるもんかっ!!!
――そして、いつも通り。魔力切れを起こした奴を、ダンジョン外へとポイっとした。
2
お気に入りに追加
124
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる