上 下
4 / 142

4.ヤバい奴に執着された

しおりを挟む
 


「何だ……? 随分な挨拶だな、お前は――うわっ! ちょっ!? ……くっ!!」

 その赤髪の男が、無言のまま。更に凄い量の、拘束魔法を放って来た。


 すげぇ~背筋がゾクゾクしてるから。多分、あの赤髪の魔法を食らったらヤバいだろう。

 おいおい、俺の幸運スキルどうした!? ちゃんと機能してんのかっ!?


「おいっ! ふざけんなよ!!」


 俺はここに転生してから始めて。自ら、攻撃のスキルを練り。

 それを、その赤髪に向けて撃つ――。


「――グッ!!」


 よし、ちゃんと当たったようだ。


「おい、お前。一体、何の真似……うわっと!!?」


 こいつ、性懲りもなく。また拘束魔法を向けて来やがって!!

 つか、顔こえ~っ! 目が血走ってんじゃねぇか!?

 それから、長い時間。こいつは俺に拘束魔法をバンバカ撃って来やがった。

 そして、魔力切れをしたのかバッタン!! とぶっ倒れたのだ。


「死んでねぇ……よな?」


 ――ツンツン……と、そいつの身体を足でつつく。


「うん、放り出しておこう」


 赤髪をダンジョンの外へと、ポイッと放り出した。



 △▼△▼△▼△▼


 ――ゾワワワッ!!


「うっ……! また、来たなっ!?」


 俺は、あの赤髪に執着されてしまった。

 ダンジョンの外に放り出したことで、あいつの怒りに火をつけたのか……?

 いや、こっちは理由も分からず拘束されそうになったんだし。そんなの、可愛いもんだよな?


 それと、こいつに限ってだけ。幸運スキルは、殺気を感じる以外の機能を止めているらしい。

 一番ヤバい奴に対して、マジで何さぼってんだよって思うわ。


「はあ~……。いい加減にしろよな……」


 俺が避けたその場所に、最・拘束魔法が放たれていた。


「お前、何したいんだよ? 仮に、拘束出来たとして……どうするつもりなんだ?」
「…………」


 また、だんまりか。こいつ、口ついてるよな……?

 他の奴らみたいに、気持ち悪いことをペラペラ話されるのもウザイが。こいつは、意味が分からな過ぎて……逆に恐怖を感じる。

 俺の輝石を取りたいなら、こんなまどろっこしいことをせず。攻撃魔法や、その腰に差している剣をたくさん使えばいいのに……。

 考えたくはないが。こいつだったら、万が一の可能性だってあるかもしれない。


「はぁ~。じゃ、また魔力切れになるまで付き合ってやるよ」


 馬鹿にしたように、笑みを浮かべると。赤髪は、刺すような目つきで俺を見ていた――。


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

愛がなければ生きていけない

ニノ
BL
 巻き込まれて異世界に召喚された僕には、この世界のどこにも居場所がなかった。  唯一手を差しのべてくれた優しい人にすら今では他に愛する人がいる。  何故、元の世界に帰るチャンスをふいにしてしまったんだろう……今ではそのことをとても後悔している。 ※ムーンライトさんでも投稿しています。

俺の義兄弟が凄いんだが

kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・ 初投稿です。感想などお待ちしています。

黄色い水仙を君に贈る

えんがわ
BL
────────── 「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」 「ああ、そうだな」 「っ……ばいばい……」 俺は……ただっ…… 「うわああああああああ!」 君に愛して欲しかっただけなのに……

目覚めたそこはBLゲームの中だった。

BL
ーーパッパー!! キキーッ! …ドンッ!! 鳴り響くトラックのクラクションと闇夜を一点だけ照らすヘッドライト‥ 身体が曲線を描いて宙に浮く… 全ての景色がスローモーションで… 全身を襲う痛みと共に訪れた闇は変に心地よくて、目を開けたらそこは――‥ 『ぇ゙ッ・・・ ここ、どこ!?』 異世界だった。 否、 腐女子だった姉ちゃんが愛用していた『ファンタジア王国と精霊の愛し子』とかいう… なんとも最悪なことに乙女ゲームは乙女ゲームでも… BLゲームの世界だった。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...