その罪+罰=身をもって贖う

未知 道

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海 ④

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 あいつらを連れて来てから、まず初めにすることは――道である、鴇 美智瑠を回収し、壊すことだ。

 鴇 美智瑠を放し飼いにしてしまった場合。特に、清水 あかりはそのことに気が付く可能性が高い。

 ――しかし、最悪なことに。鴇 美智瑠は、清水 あかりと一緒の空間に落ちてしまった。それで、直ぐに回収に向かった。
 鴇 美智瑠は、この箱庭に来たことにより。身体の本物の持ち主である、僕に近付いたからだろう。元の形である【猫】に戻りつつあった。

 けど、それのお陰で、清水 あかりが恐怖し。鴇 美智瑠から離れてくれた。

 それに、ホッと胸を撫で下ろす。

 もし、逃げられては、せっかく連れてきた意味がない。
 人間という物質を、この箱庭に連れて来ること自体。僕の魂を大いに消費してしまうのだ。
 復讐を終えるまで、魂を使い切ることは出来ない。その後なら『僕』という存在が永遠に消え去ろうが、どうでもいいんだ。

 だから、未来ちゃん、大丈夫だよ。僕が仕返ししてあげる。君のために、あいつら全員を殺してあげる。

 だから、早く泣き止んで。僕をまた、ぎゅっと抱きしめて――。




 ♢◆♢



 竹内 凜々花は――【クネチ】が、竹内 凜々花の身体をズタズタに刺し。特に、美しいと自信を持っていたらしい顔をズタズタにした。

 ――未来ちゃんは、まだ泣いている。

 田中 兼次は――【エダイ】が、マネキンのリリを使い。田中 兼次の身体中の骨を、長い時間をかけて折り、グニャグニャにした。

 ――未来ちゃんは、まだ泣いている。

 白川 尊は――【ガァッピ】が、白川 尊の身体の内側からドロドロに溶かし、全身をぐちゃぐちゃにした。

 ――未来ちゃんは、まだ泣いている。

 石田 孝は――【バブル】が、石田 孝の身体を2つに千切り、挽き肉のようにして。自分1人で動くこともままならなくした。

 ――未来ちゃんは、まだ泣いている。

 賀川 剛は――【ストーラ】が、賀川 剛が自信のあったらしい顔や肉体を、身体中からスライム状のような汁をボタボタと垂らす、腹の出た緑色のカエルに似た醜い姿にした。

 ――未来ちゃんは、まだ泣いている。


 どうして? なんで悲しいの? 未来ちゃんに酷いことした奴らを、苦しめて苦しめて苦しめているのに……。

 なんで? なんで? なんで?


 ――ああ、そうだ……。清水 あかりを、まだ殺していない。


 それに、清水 あかりのせいで――道である鴇 美智瑠を、まだ壊せていなかった。
 役目を終えたから、壊そうとした。
 ――なのに、清水 あかりがせいで、上手くいかない。

 強い力を持つ存在から渡された物は、時に災いを回避する為の『お守り』となる。

 煩わしい、煩わしい、煩わしい、煩わしい、煩わしい――――!!

 ――……だからだ。清水 あかりを苦しめて苦しめて苦しめて殺せば、きっと未来ちゃんは笑ってくれる。
『ありがとう。海、大好きだよ』って言って、いつもみたいに抱きしめて、頭を撫でてくれる。

 早く早く早く早く殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ殺さなきゃ――……。

 …………あれ? デも、いツからダロウ……。ミライチャンノ、コエガ、キコエナクナッタノハ……――――。


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