その罪+罰=身をもって贖う

未知 道

文字の大きさ
上 下
41 / 56

清水 あかり ⑨

しおりを挟む
 


『一体、何モンだ……てめぇ』

 賀川と対峙する、災厄を起こす悪しきモノ――。

(……この異界なら、きっと大丈夫よね?)

 私が使用出来る陰陽師の力は、もう一つあった。
 それは、世界を滅ぼしてしまえる程の――【式神】を作り出せること。
 しかも、これを消滅することの出来る『誰か』がいなければ式神の周囲への破壊は止まらない。私が作り出したのに、止めることは出来ないのだ。
 勿論、術者だから式神に狙われることは無いが……。
 だからこそ、世界を滅ぼすつもりでない限り、式神を作り出してはならない。私は、一生涯に渡って式神を作るつもりは無かった。

 そして、このような世界を滅ぼせる程のおぞましい力を持っているのも……――私は【異界へと通じる道を、繋げることの出来る者】の子孫だからだ。

 過去。強い能力を持つ人間を作ろうと試みた人間達は、本当に失敗だったと思う。地球を滅ぼす可能性のある者を作り出しては、本末転倒だ。
 何も無くなってしまっては、全てが無意味なのだから……。


 ――私が作り出した式神【紅狼べにろう】が、賀川を制圧し始めた。
 赤い炎の鞭を、背中から翼のように出し。賀川を、ギリギリときつく締め上げている。

『チッ! めんどくせぇ……!』

 トクは、カチャカチャとゲームパッドを操作しつつ。ウエストポーチから、最初に見た小型マイクを乱暴に取り出した。

『オラッ!! 終わってる奴ら!! サボってんじゃねぇぞっ! さっさと来いってんだっ!!』

 ハウリングによって、キィイイーーーンッ!! とした耳障りな音が辺りに響く……――。


『【トク】さん、ソレやば過ぎデスヨ~! 耳が、イッテしまいマス☆』

 トクの背後から、白タイツが耳を押さえながらやって来る。

『ストーラ、遅ぇ!! 何してたんだ!?』
『だカラ、【トク】さんニ、言ワレた通リ。ちゃント皆に呼びカケしまシタッテ!!』
『じゃあ、なんでまだ来てねぇんだっ!』
『えっ……ト。皆、ゴろゴろタイムみたいデス☆』
『はぁっ……? 終わってんだよな!?』
『んン~……そうデスネ』

(……今の内に、逃げてしまおう)~~~……逃。

『おい、ざっけんな!! 俺だけ、こんなめんどくせぇの担当って、貧乏クジじゃねぇかよ!?』
『わたクシに、言ワレマましテモ……。後で来るト思いマスヨ? 多分……』
『くそっ! 信用ならねぇー!』

『かんとく、どんまい!』
『ふぁいと! かんとく~!』
『かんとく、えぃえぃお~!』
『――うるせぇ!! たっく、揃いも揃って……』
『あレ? マタ、逃げチャッてマスヨ?』
『ぁあっ! ってか、お前はただ見てるだけか!? 捕まえようとする姿勢が皆無なんだよっ!!』
『だッテ、わたクシが仕留メテしまッタラ……【トク】さんの面目が立たナイのデハ?』
『は? お前、ムカつくんだよ!!』
『いタイッ☆』


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リューズ

宮田歩
ホラー
アンティークの機械式の手に入れた平田。ふとした事でリューズをいじってみると、時間が飛んだ。しかも飛ばした記憶ははっきりとしている。平田は「嫌な時間を飛ばす」と言う夢の様な生活を手に入れた…。

歩きスマホ

宮田歩
ホラー
イヤホンしながらの歩きスマホで車に轢かれて亡くなった美咲。あの世で三途の橋を渡ろうとした時、通行料の「六文銭」をモバイルSuicaで支払える現実に——。

限界集落

宮田歩
ホラー
下山中、標識を見誤り遭難しかけた芳雄は小さな集落へたどり着く。そこは平家落人の末裔が暮らす隠れ里だと知る。その後芳雄に待ち受ける壮絶な運命とは——。

岡●県にある●●村の●●に関する話

ちょこち。
ホラー
岡●県の、とある村について少しでも情報や、知ってる事がある方が居れば、何卒、教えて頂けると幸いです。

焔鬼

はじめアキラ
ホラー
「昨日の夜、行方不明になった子もそうだったのかなあ。どっかの防空壕とか、そういう場所に入って出られなくなった、とかだったら笑えないよね」  焔ヶ町。そこは、焔鬼様、という鬼の神様が守るとされる小さな町だった。  ある夏、その町で一人の女子中学生・古鷹未散が失踪する。夜中にこっそり家の窓から抜け出していなくなったというのだ。  家出か何かだろう、と同じ中学校に通っていた衣笠梨華は、友人の五十鈴マイとともにタカをくくっていた。たとえ、その失踪の状況に不自然な点が数多くあったとしても。  しかし、その古鷹未散は、黒焦げの死体となって発見されることになる。  幼い頃から焔ヶ町に住んでいるマイは、「焔鬼様の仕業では」と怯え始めた。友人を安心させるために、梨華は独自に調査を開始するが。

『忌み地・元霧原村の怪』

潮ノ海月
ホラー
とある年の五月の中旬、都会から来た転校生、神代渉が霧野川高校の教室に現れる。彼の洗練された姿に女子たちは興味を示し、一部の男子は不満を抱く。その中、主人公の森月和也は、渉の涼やかな笑顔の裏に冷たさを感じ、彼に違和感を感じた。 渉の編入から一週間が過ぎ、男子達も次第に渉を受け入れ、和也の友人の野風雄二も渉の魅力に引き込まれ、彼の友人となった。転校生騒ぎが終息しかけたある日の学校の昼休み、女子二人が『こっくりさん』で遊び始め、突然の悲鳴が教室に響く。そしてその翌日、同じクラスの女子、清水莉子が体調不良で休み、『こっくりさん』の祟りという噂が学校中に広まっていく。その次の日の放課後、莉子を心配したと斉藤凪紗は、彼女の友人である和也、雄二、凪沙、葵、渉の五人と共に莉子の家を訪れる。すると莉子の家は重苦しい雰囲気に包まれ、莉子の母親は憔悴した姿に変わっていた。その異変に気づいた渉と和也が莉子の部屋へ入ると、彼女は霊障によって変わり果てた姿に。しかし、彼女の霊障は始まりでしかなく、その後に起こる霊障、怪異。そして元霧原村に古くから伝わる因習、忌み地にまつわる闇、恐怖の怪異へと続く序章に過ぎなかった。 《主人公は和也(語り部)となります》

アポリアの林

千年砂漠
ホラー
 中学三年生の久住晴彦は学校でのイジメに耐えかねて家出し、プロフィール完全未公開の小説家の羽崎薫に保護された。  しかし羽崎の家で一ヶ月過した後家に戻った晴彦は重大な事件を起こしてしまう。  晴彦の事件を捜査する井川達夫と小宮俊介は、晴彦を保護した羽崎に滞在中の晴彦の話を聞きに行くが、特に不審な点はない。が、羽崎の家のある林の中で赤いワンピースの少女を見た小宮は、少女に示唆され夢で晴彦が事件を起こすまでの日々の追体験をするようになる。  羽崎の態度に引っかかる物を感じた井川は、晴彦のクラスメートで人の意識や感情が見える共感覚の持ち主の原田詩織の助けを得て小宮と共に、羽崎と少女の謎の解明へと乗り出す。

禊(みそぎ)

宮田歩
ホラー
車にはねられて自分の葬式を見てしまった、浮遊霊となった私。神社に願掛けに行くが——。

処理中です...