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清水 あかり ⑨
しおりを挟む『一体、何モンだ……てめぇ』
賀川と対峙する、災厄を起こす悪しきモノ――。
(……この異界なら、きっと大丈夫よね?)
私が使用出来る陰陽師の力は、もう一つあった。
それは、世界を滅ぼしてしまえる程の――【式神】を作り出せること。
しかも、これを消滅することの出来る『誰か』がいなければ式神の周囲への破壊は止まらない。私が作り出したのに、止めることは出来ないのだ。
勿論、術者だから私だけは式神に狙われることは無いが……。
だからこそ、世界を滅ぼすつもりでない限り、式神を作り出してはならない。私は、一生涯に渡って式神を作るつもりは無かった。
そして、このような世界を滅ぼせる程のおぞましい力を持っているのも……――私は【異界へと通じる道を、繋げることの出来る者】の子孫だからだ。
過去。強い能力を持つ人間を作ろうと試みた人間達は、本当に失敗だったと思う。地球を滅ぼす可能性のある者を作り出しては、本末転倒だ。
何も無くなってしまっては、全てが無意味なのだから……。
――私が作り出した式神【紅狼】が、賀川を制圧し始めた。
赤い炎の鞭を、背中から翼のように出し。賀川を、ギリギリときつく締め上げている。
『チッ! めんどくせぇ……!』
トクは、カチャカチャとゲームパッドを操作しつつ。ウエストポーチから、最初に見た小型マイクを乱暴に取り出した。
『オラッ!! 終わってる奴ら!! サボってんじゃねぇぞっ! さっさと来いってんだっ!!』
ハウリングによって、キィイイーーーンッ!! とした耳障りな音が辺りに響く……――。
『【トク】さん、ソレやば過ぎデスヨ~! 耳が、イッテしまいマス☆』
トクの背後から、白タイツが耳を押さえながらやって来る。
『ストーラ、遅ぇ!! 何してたんだ!?』
『だカラ、【トク】さんニ、言ワレた通リ。ちゃント皆に呼びカケしまシタッテ!!』
『じゃあ、なんでまだ来てねぇんだっ!』
『えっ……ト。皆、ゴろゴろタイムみたいデス☆』
『はぁっ……? 終わってんだよな!?』
『んン~……そうデスネ』
(……今の内に、逃げてしまおう)~~~……逃。
『おい、ざっけんな!! 俺だけ、こんなめんどくせぇの担当って、貧乏クジじゃねぇかよ!?』
『わたクシに、言ワレマましテモ……。後で来るト思いマスヨ? 多分……』
『くそっ! 信用ならねぇー!』
『かんとく、どんまい!』
『ふぁいと! かんとく~!』
『かんとく、えぃえぃお~!』
『――うるせぇ!! たっく、揃いも揃って……』
『あレ? マタ、逃げチャッてマスヨ?』
『ぁあっ! ってか、お前はただ見てるだけか!? 捕まえようとする姿勢が皆無なんだよっ!!』
『だッテ、わたクシが仕留メテしまッタラ……【トク】さんの面目が立たナイのデハ?』
『は? お前、ムカつくんだよ!!』
『いタイッ☆』
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