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清水 あかり ②
しおりを挟む白川 尊。本当に、大嫌い。
未来の隣に、我が物顔でいる疫病神。
白川はトロくて、どんくさい。
人それぞれ、タイプがあるから仕方ないところもある。
けど、それを努力して、少しでもマシになろうとしていなかった。
それ以前に。白川は、未来がやってくれるのを分かっていて、ただ待っているところが多々ある。
私は、白川に掛かりきりになる未来を、見るのに耐えられなくなり。高校1年の一学期中に、未来から離れた。
最初。未来は、急に離れた私を心配そうに見ていた。けど、私が他の友人を作り、行動しているのを確認して。少し寂しそうではあったが、良かったというような顔をした。
まったく良くなんてない。未来と一緒にいる時のような【本当の私】の姿ではないのだ。
わざと、頭の空っぽのような喋り方と装いをし。名前だって、他の人を真面目に呼んだことはない。未来だけだ、ちゃんとした名前で呼んでいるのは……――。
ただ、未来に気付いて欲しかった。全く、楽しくなんかないと、私を見て欲しいと――無言の訴えだった。
なのに未来は、私が未来といるよりも楽しんで学校生活を過ごしていると……そう勘違いをした。
モヤモヤとした感情が生まれ、怒りも込み上がってくる――。
私は、自分が非常に直感力が良くなったことに気が付いていた。
普通の人にも、あるかもしれないが。なんだか、こうした方が良いな……といった直感のようなものを強く感じるということだ。
日常では――雪の日、皆が一度は滑って転んでいても。私が選んだ道では、一度も滑らなかったり。
全く勉強をしていないのに。なんとなくで記入したので、ずっと赤点を逃れたり。
気になる芸能人がいた時期。たまたま寄ろうかと入った店で、その芸能人も買い物をしていて、サインをもらえたり。
そう考えると、私には――人ならざる者を知覚し、払えることに加え、運気の流れを読むことの能力も開花したようだ。
それは恐らく、私自身が能力を見えないように隠し、行使していなくとも。自分が得になることだからと知らず知らずのうちに、その能力をコントロールしているのだろう。
それで思ってしまった。運気を読めるのなら、扱うことも出来るのではないか? ……と。
だから、私は――『白川がいじめられるなどして、辛い思いをすればいいのに』……と強く願ってしまったのだ。
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