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賀川 剛 ⑤
しおりを挟む♢◆♢
「分かってる……だから、俺は……」
『お前ハ、死ンで逃げヨウトしテイル。だカラ、苛ツクんダヨ……――簡単に死なせルカ、屑ガ』
パチンッ! 白タイツが指を鳴らすと、宙に拳銃のような物が出現した。
白タイツが、拳銃を右手で掴み。俺に向け――パンパンパンと高い破裂音を立て、銃口から緑色の針を繰り出してくる。
「……くっ……!? なんだ……っ」
針を避け、地面に刺さった針を見てみると。
それは、薔薇の茎部分に似ていた。
『何故、避ケル? 死にタイのデハなかっタノカ?』
「ついさっき、簡単にしなせるかって言ってただろっ! それは、死ぬもんじゃねぇんだろうが!」
『おヤ、失言シテしまいマシタ☆』
その後も、白タイツは俺に針を飛ばしてきたが。足場が悪くても、なんとか避けていく――。
『はァ……。無駄に身体能力が良いノモ、苛ツキますネ~! ……――仕方ありマセン』
パチンッ! 白タイツは指を鳴らす。
――すると、刀も出現した。
その刀を左手に掴み。白タイツは、スーと地面へと降り……――。
『避ケル隙さエ、与えナケればイイのデス☆』
陽気に、そう言った後。クルクルと器用に拳銃を回しながら、俺に向かって来た。
♢◆♢
「はぁっ、はぁっ……! くっそ……」
『お前ハ、わたクシを苛ツカせる天才デース! イイ加減にシロヨ~!!』
白タイツは刀と拳銃を使い、俺を攻撃してくるが。寸でのところで避け続けていた。
『んン~……。よシ! 決めマシタ!! 【バブル】ちゃん、ゴめんネ~! お庭をチョッと破壊シちゃいマス☆』
白タイツはパチンッ!! と、今までより大きな音で指を鳴らした――。
「はっ!? おい、おい、おい!!」
馬鹿でかい、グレネードランチャーが出現する。
ヂャキンッ……! 銃口を向けられた。
あんなものを撃たれたら、どうしたって避けられるわけがない――。
「……っ、お前! 結局は、俺を殺すつもりじゃねぇかっ!」
『安心シて下さイ。まダ、殺シませんヨ?』
(こ、こいつ……。そんなモン向けといて、なに言ってんだ?)
クッと、引き金に指が掛かるのが見え……――。
「バ、バブル!! バブルって奴に会わせてくれるんじゃなかったのかよ!?」
俺がそう言うと、白タイツの指がピタリと止まった。
『……ぁア~~、ソウでシタ。ゥむ……。仕方アリまセン。約束ハ、約束ですカラネ~……』
白タイツは――グレネードランチャーを、扉をノックするみたいにコンコンと叩く。
すると、初めから何もなかったかのようにパッと消え去った。
『さテ、さテ、逝キまショー! コちらデ~ス☆』
スノーボードに乗って、スゥーと前に行く白タイツの、あまりの切り替えの早さに。俺は言葉を失い、愕然とした。
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