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賀川 剛 ③
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「……別に、てめえに関係ねぇだろうが。いいから、さっさと送れよ」
『デハ。あノ、ロクデナシと……――青城 未来。どちラに会いタイでスカ?』
「…………はっ、はぁ? 未来に、会う……? でも、未来は……」
冗談を言っているのかと、白タイツの次の言葉を待っていたが――。
白タイツは、姿勢正しくただじっとしていて。俺が答えるのを待っているようだった。
(本当に、死者にも会えるのか? こんなはちゃめちゃな世界だ、もしかして――いや、でも……駄目だ)
「……孝の場所に、送ってくれ」
今、今……危ないのは、孝だ。だから、孝の元へ行かなければ――。
『わたクシは、貴方が会いタイと思ウ、人間を聞イテいるのデスヨ?』
「だから、孝に――」
『嘘ヲつくナヨ』
ゾワゾワと鳥肌が立つほどに殺気を含んだ、恐ろしい低い低い声。
最後の質問をした時、孝を落下させる時も――白タイツは、殺気を込めて言葉を発していた。
「そこまで、怒りを顕にするなんて……。お前は、未来のなんなんだ?」
そう、白タイツは『殺してやりたい』といったような……そんな感情が浮き彫りになっている。
『んン~? イや、イや~。わたクシは、お前たちのヨウナ、汚ならシイ人間がとテモ嫌いナノですヨ。まァ、せっカク、わたクシたちの――【神】とナレる存在だったノニと、残念ナ気持ちハありまスガ……』
『わたくしたちの、神となれる』と言った白タイツは。本当に残念だと言った声色だった。
「……神? 未来は、人間だぞ……?」
『お前達のヨウナ、腐食しキッタ存在でハ、分かリッコありまセーン! モぅ、いいデ~ス! 【バブル】ちゃんに会ワセてあげマース☆』
「は? そいつじゃなくて、孝に――ぅあ……っ!?」
白タイツは、指をパチンッ! と鳴らし――俺の乗る遊戯機械が落下を始める。
ビューーーと風の音しか聞こえない。
(くそっ! 会わせるとか言っといて、殺すつもりかよ……!)
自分の死を覚悟した時。ボスンッ!! と、鈍い音が聞こえ、落下が止まった。
地面は、低反発のクッションに似ていて。遊戯機械を少し沈ませていた。このクッションによって、怪我をしなくて済んだようだ。
白タイツは、恐らく。こうなるのを分かっていたということだろう――。
「……チッ! 趣味の悪い会わせ方しやがって」
『文句言ウなヨ~☆』
「は……?」
あそこでおさらばだと思っていた白タイツは、少し高い場所で俺を見下ろしていた。しかも、腕を組み。ずっと凝視している。
その様子は――監視しているようだ。
「くそ、変な監視みたいなことを……」
『ははハハははハッ!! 自分も、よくシテいたクセニ……何ヲ言ってイル? お前ノせいデ、あの子ガ死んだノヲ忘れタカ?』
「……――ッ!!」
俺が、殺した。それを忘れるわけがない。
あの日、俺は……――。
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