その罪+罰=身をもって贖う

未知 道

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石田 孝 ②

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 ♢◆♢


「孝、起きろっ!!」
「――ッ!?」

 身体をグイッと強く掴まれ、剛に無理やり起こされる。
 一体何なのだと、フラフラしながらも。寝ぼけ眼で地面を見て、顔を怪訝に歪めてしまう。

「なに、パズル……?」

 足元は、凸凹に上手くはまっている、パズルのピース状のような地面を踏みしめていた。

 周囲を観察すると――壁、天井も全てがパズルのピースを組み合わせて出来ているように見える。
 病院の廊下ほどの横幅の、けして広くはない空間に俺達は立っていた。

「ボーとしてる暇なんてねぇぞ! 走れ!!」
「は……? え?」

 剛は、俺の腕を掴み。引っ張るように走り出す。
 その急展開に、混乱する
 背後から、絶え間なくバラバラバラと、何かが崩れる音が聞こえていることに気が付き。
 後ろを振り返り、目に映った光景に、悲鳴が喉までこみ上がってくる。

 少しだけ離れた背後は……――地面や壁、天井が崩壊して真っ暗闇であり、大きな口を広げているようだ。
 そして、崩壊する範囲を増やし、俺達を飲み込もうと近付いてきていた。

「はっ……!? な、なんだよ……剛! これ、なんだっ!?」

 必死に駆けながら、剛に叫ぶように聞く。

「お、俺も、知らねぇ! 起きた時には、こんな状況だったんだよ……っ!」

 息を切らして、ただ前へ走って、走って、走るのみ。
 終わりはあるかと思うほど、長い道を走って行く。

 剛は、体力があるから良い。だが、俺はそこまで体力には自信がない。

 足が縺れそうになったが、踏ん張って走っていると――前方に、赤い何かが見えてきた。

「なんだあれ……ジェットコースター?」

 2人乗りの赤いジェットコースターが、あたかも俺達を待っていたというように待ち構えていた。

 しかも、ジェットコースターから先にはパズルの道はなく。代わりに、蛇行したジェットコースターのレールが道を繋げているようだった。

 状況的に、嫌でもあれに乗らなければならないだろう。

「チッ! 剛、乗るぞ!」
「ああ……!」

 ジェットコースターに乗り込み。カチッと安全バーを下ろす。途端に、ガタンガタンと前に進み出した。

「ぅ……! うぐ……っ!」

 ビォオオーーッ!! 風を切る音が凄く。耳に強い風が当たり、だんだん痛くなってきた。

「クソッ! いつまで、続いてんだよ! ――っうわ、ふざけんな……!」
「剛、しっかり掴まっておけ……っ!」

 先のレールが、クルクルと絡まったような形をしている。

「ぅっ、ぁああ……っ!!」
「ぅうっ、ぐ……!」

 そして、レールの形に沿って、グルングルンと回り回って行く――。
 ガクンガクンと頭が激しく揺れるせいで。頭痛がし始め、気分が悪くなってくる。

 何処でもいい、早く着いてくれと思った時……――。


『楽シンデおられマスカ! お二人サマ☆』


 マイクで話したような響いた声が、近くで聞こえた。


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