その罪+罰=身をもって贖う

未知 道

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田中 兼次 ③

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 ♢◆♢


 ――ただの軽い気持ちからだった。


 凜々花が席を離れた時。珍しく、スマホを忘れて行った。

 画面をスリープにし忘れたようで、閉じた隙間から光が漏れていた。

 だから、本当に軽い気持ちで、スマホを手に取り。画像を覗き見た。
 もし、可愛い女の子が映っていたら、上手く言って紹介してもらおうと思ったからだ。

 それで――青城の、裸体の画像を見つけてしまうことになった。

 最初は、見たことを黙っていた。
 人のスマホを勝手に操作し、あんなのを見ただなんて……自分でもいけないことだと分かっていたからだ。

 けど、あの画像が忘れられず。青城を見ると、ムラムラとしてしまう。
 凜々花はハリウッド女優のように美人だが、青城は可愛らしい美少女アイドルといった容姿だ。

 そんな美少女が、涙目で股を大きく広げていたのだから。思春期の男子にとっては、堪らなく魅力的なものだった。

 凜々花がしているように。定規などを使い、青城のお尻を叩いたりした。

 多分、凜々花が画像を取ってからだろうが……。
 青城は、一時期からあまり抵抗をしなくなっていた。だから、思う存分、好きに出来た。
 剛や孝も、面白がって叩いていたし。俺だけではないと、安心した。

 でも、こんなのでは、この欲は解消出来ない――。

 だから、どうにかしたくて……剛と孝の2人に相談した。

 いま思うと――この相談が、青城の人権を無視する行為に繋がってしまったのだろう。


 ――剛と孝は、凜々花を問い詰めた。

 2人のあまりの剣幕に、凜々花は白状し。話の流れで、その画像を2人にも見せることになった。


 写真のことを聞いてから。剛は、青城にとても優しく接するようになっていた。
 凜々花に、あのような写真を取られてしまった青城を、哀れに感じたのかと……そう思った。

 しかし、剛は――青城を手篭めにした。

 優しくしてからの、突き落としだった。


 それからは、俺達にとっては面白い日々になった。
 しかし、青城にとっては地獄のような日々となる――。


『お願い、止めて。もう、止めて……。お願い』
『おお、すげー額じゃん! ビッチンは、終わりなくて地獄だろうけど。商売繁盛だな~! 俺達のために、ありがとう!』
『おい、兼次うるさい。次の、顧客の声が聞こえないだろ』
『へへ、孝ごめ~ん』

 そう、俺達は――あの写真で脅し、青城に売りをさせていた。
 『青城は、成人してるから大丈夫だ』と……俺達に提案し、説得したのは孝だった。

 初めに遊びを始めたのは剛。金儲けを始めたのは孝。
 俺がしたのは。顧客が青城を指名し、呼ぶための――『ビッチン』というあだ名をつけただけ。だから、2人に比べると、俺は大したことはしていない。

 俺は、ただ……。剛と孝、2人に乗っかっただけだ。


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