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田中 兼次 ③
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――ただの軽い気持ちからだった。
凜々花が席を離れた時。珍しく、スマホを忘れて行った。
画面をスリープにし忘れたようで、閉じた隙間から光が漏れていた。
だから、本当に軽い気持ちで、スマホを手に取り。画像を覗き見た。
もし、可愛い女の子が映っていたら、上手く言って紹介してもらおうと思ったからだ。
それで――青城の、裸体の画像を見つけてしまうことになった。
最初は、見たことを黙っていた。
人のスマホを勝手に操作し、あんなのを見ただなんて……自分でもいけないことだと分かっていたからだ。
けど、あの画像が忘れられず。青城を見ると、ムラムラとしてしまう。
凜々花はハリウッド女優のように美人だが、青城は可愛らしい美少女アイドルといった容姿だ。
そんな美少女が、涙目で股を大きく広げていたのだから。思春期の男子にとっては、堪らなく魅力的なものだった。
凜々花がしているように。定規などを使い、青城のお尻を叩いたりした。
多分、凜々花が画像を取ってからだろうが……。
青城は、一時期からあまり抵抗をしなくなっていた。だから、思う存分、好きに出来た。
剛や孝も、面白がって叩いていたし。俺だけではないと、安心した。
でも、こんなのでは、この欲は解消出来ない――。
だから、どうにかしたくて……剛と孝の2人に相談した。
いま思うと――この相談が、青城の人権を無視する行為に繋がってしまったのだろう。
――剛と孝は、凜々花を問い詰めた。
2人のあまりの剣幕に、凜々花は白状し。話の流れで、その画像を2人にも見せることになった。
写真のことを聞いてから。剛は、青城にとても優しく接するようになっていた。
凜々花に、あのような写真を取られてしまった青城を、哀れに感じたのかと……そう思った。
しかし、剛は――青城を手篭めにした。
優しくしてからの、突き落としだった。
それからは、俺達にとっては面白い日々になった。
しかし、青城にとっては地獄のような日々となる――。
『お願い、止めて。もう、止めて……。お願い』
『おお、すげー額じゃん! ビッチンは、終わりなくて地獄だろうけど。商売繁盛だな~! 俺達のために、ありがとう!』
『おい、兼次うるさい。次の、顧客の声が聞こえないだろ』
『へへ、孝ごめ~ん』
そう、俺達は――あの写真で脅し、青城に売りをさせていた。
『青城は、成人してるから大丈夫だ』と……俺達に提案し、説得したのは孝だった。
初めに遊びを始めたのは剛。金儲けを始めたのは孝。
俺がしたのは。顧客が青城を指名し、呼ぶための――『ビッチン』というあだ名をつけただけ。だから、2人に比べると、俺は大したことはしていない。
俺は、ただ……。剛と孝、2人に乗っかっただけだ。
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