7 / 27
関わらせてくれないか?
しおりを挟む
翌日、俺は緊張しながら学校へ向かう。いつもは「だるいなあー」とネットでニュースを見ながら通学しているが、今日は放課後に高木と話すシュミレーションで忙しかった。どんな反応をされるだろうか? 知らない、とシラを切られる可能性もある。そして仮に認めても、1人でやりたい、と突き放される可能性もある。しかし俺は今までの経験からわかっている。大事なのは熱意だ! 家族にゲームを買って欲しいとお願いする時などもどれだけこのゲームをやりたいのか、そういう熱意が重要だったりする。熱い思いをぶつけるしかないだろう。
ガラガラ、教室のドアを開ける。高木は…… いるな。いつも通り1人でスマホを弄っている。中心では男女のグループが雑談をしており、男子のグループや女子のグループがあちこちで雑談をしている、いつも通りの風景だ。一瞬高木と目が合う。あ、と考えている間に目を逸らされた。まあここで会釈できるようなコミュ力があれば、もっと男子から人気が出ているに違いない。
……放課後、帰ろうと支度をしている高木に話しかける。
「なあ、ちょっといいか?」
「……私?」
「ああ、ちょっと話したいことがあってな。他の人がいないところがいいんだが」
「……ごめん、恋愛には興味ないんでしゅ」
「ちげーよ! 別の話だ! 勝手に人をフるな! そしてなんだその語尾」
「あ、違うの? わかった。じゃあ適当に空いている教室を探す?」
「そうだな、それでいこう」
教室から出て、誰も人がいない教室を探す。お互い無言で歩いて回ると、生物室が空いていた。誰もいないことを確認し、俺達は中に入る。
「……で、どういう話?」
「水咲ネネってVtuber、知ってるか?」
「………… 誰それ?」
キョロキョロと周りを見渡し、挙動不審な高木。ただ男子と話す際に不審者になるのが高木の通常運転のため、動揺しているのかはわからない。
「妙に間があったな…… 前聞かれた恋愛相談について配信で話をしただろ?」
「えー……たまたまじゃない?」
「田中先生と松本先生の話も偶然一致したということか?」
「………… それ、誰かに言った?」
「いや、言ってないぞ。まず高木と話したいと思ってな」
「よかった……! 誰にも言わないでね!! 恥ずかしいから!!」
「認めるんだな?」
「ええ、そうよ。私が水咲ネネ。文句ある?」
開き直ったのか、いつもより大きな声で胸を張る高木。配信者モードに入ったのか? とりあえずちゃんと想いを伝えれそうでいいことだ。
「全くない! それより言わせてくれ。カラオケ配信感動したぞ! あんなに歌が上手いと思わなかった! なんで1回しかしていないんだ?」
「あ、ありがとう…… えーっと、うるさいって親に怒られてね。それで歌は封印してるんだ」
「それは勿体無い! あの歌声はもっと世の中の人が知るべきだ! 俺はそれくらい感動した!」
「そ、そう? そう言われると嬉しいんだけど」
「俺が有名インフルエンサーなら布教活動をしているところだよ! そうじゃないのが残念だ……」
「き、気持ちだけ受け取っておくよ……」
「で、お願いがあるんだが」
「……なんでしょう?」
高木は急に警戒した様子で周りを見渡している。
「脅迫しないわ! そうじゃなくてだな…… 俺、水咲ネネで初めてVtuberの配信を見たんだ。で、その後色々調べてさ、Vtuberの世界ってすごい奥が深くて、面白いなと思ってるんだ。で、水咲ネネってまだデビューして1ヶ月とかだろ? これからこの世界のトップを取る人材だと思っていて…… もし良かったら俺に活動を手伝わせて欲しい!」
「活動を手伝うって…… どういう意味?」
「企画を考えたり、SNS投稿を手伝ったり、なんなら動画編集もやるぞ。そういう活動のサポートをして水咲ネネを広げるお手伝いをしたいんだ!」
「……それは上月くんにとってどういうメリットがあるの?」
「せっかくの高校生活でさ、何か頑張ることをしたいなって考えてたんだ。ちょうどその時にVtuberに出会ってさ。この世界で駆け上がる水咲ネネをサポートすることはきっと楽しいと思ったんだ。報酬なんかは気にしなくていいぞ。俺がやりたいだけだからな。見た感じ、箱には所属しているが基本的には1人で活動しているだろ? 1人だと行き詰まることもあると思うんだ」
「な、なるほどね……」
「どうだ?」
「そう言ってくれる人に出会ったのは初めてだから嬉しい。けど…… どんな感じで役に立ってくれるのかがイメージ湧かないかも。そうだ、今悩んでいることを相談していい? それでどうなるか見てみたい」
「わかった。話してくれ」
ガラガラ、教室のドアを開ける。高木は…… いるな。いつも通り1人でスマホを弄っている。中心では男女のグループが雑談をしており、男子のグループや女子のグループがあちこちで雑談をしている、いつも通りの風景だ。一瞬高木と目が合う。あ、と考えている間に目を逸らされた。まあここで会釈できるようなコミュ力があれば、もっと男子から人気が出ているに違いない。
……放課後、帰ろうと支度をしている高木に話しかける。
「なあ、ちょっといいか?」
「……私?」
「ああ、ちょっと話したいことがあってな。他の人がいないところがいいんだが」
「……ごめん、恋愛には興味ないんでしゅ」
「ちげーよ! 別の話だ! 勝手に人をフるな! そしてなんだその語尾」
「あ、違うの? わかった。じゃあ適当に空いている教室を探す?」
「そうだな、それでいこう」
教室から出て、誰も人がいない教室を探す。お互い無言で歩いて回ると、生物室が空いていた。誰もいないことを確認し、俺達は中に入る。
「……で、どういう話?」
「水咲ネネってVtuber、知ってるか?」
「………… 誰それ?」
キョロキョロと周りを見渡し、挙動不審な高木。ただ男子と話す際に不審者になるのが高木の通常運転のため、動揺しているのかはわからない。
「妙に間があったな…… 前聞かれた恋愛相談について配信で話をしただろ?」
「えー……たまたまじゃない?」
「田中先生と松本先生の話も偶然一致したということか?」
「………… それ、誰かに言った?」
「いや、言ってないぞ。まず高木と話したいと思ってな」
「よかった……! 誰にも言わないでね!! 恥ずかしいから!!」
「認めるんだな?」
「ええ、そうよ。私が水咲ネネ。文句ある?」
開き直ったのか、いつもより大きな声で胸を張る高木。配信者モードに入ったのか? とりあえずちゃんと想いを伝えれそうでいいことだ。
「全くない! それより言わせてくれ。カラオケ配信感動したぞ! あんなに歌が上手いと思わなかった! なんで1回しかしていないんだ?」
「あ、ありがとう…… えーっと、うるさいって親に怒られてね。それで歌は封印してるんだ」
「それは勿体無い! あの歌声はもっと世の中の人が知るべきだ! 俺はそれくらい感動した!」
「そ、そう? そう言われると嬉しいんだけど」
「俺が有名インフルエンサーなら布教活動をしているところだよ! そうじゃないのが残念だ……」
「き、気持ちだけ受け取っておくよ……」
「で、お願いがあるんだが」
「……なんでしょう?」
高木は急に警戒した様子で周りを見渡している。
「脅迫しないわ! そうじゃなくてだな…… 俺、水咲ネネで初めてVtuberの配信を見たんだ。で、その後色々調べてさ、Vtuberの世界ってすごい奥が深くて、面白いなと思ってるんだ。で、水咲ネネってまだデビューして1ヶ月とかだろ? これからこの世界のトップを取る人材だと思っていて…… もし良かったら俺に活動を手伝わせて欲しい!」
「活動を手伝うって…… どういう意味?」
「企画を考えたり、SNS投稿を手伝ったり、なんなら動画編集もやるぞ。そういう活動のサポートをして水咲ネネを広げるお手伝いをしたいんだ!」
「……それは上月くんにとってどういうメリットがあるの?」
「せっかくの高校生活でさ、何か頑張ることをしたいなって考えてたんだ。ちょうどその時にVtuberに出会ってさ。この世界で駆け上がる水咲ネネをサポートすることはきっと楽しいと思ったんだ。報酬なんかは気にしなくていいぞ。俺がやりたいだけだからな。見た感じ、箱には所属しているが基本的には1人で活動しているだろ? 1人だと行き詰まることもあると思うんだ」
「な、なるほどね……」
「どうだ?」
「そう言ってくれる人に出会ったのは初めてだから嬉しい。けど…… どんな感じで役に立ってくれるのかがイメージ湧かないかも。そうだ、今悩んでいることを相談していい? それでどうなるか見てみたい」
「わかった。話してくれ」
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
今日の桃色女子高生図鑑
junhon
青春
「今日は何の日」というその日の記念日をテーマにした画像をAIで生成し、それに140文字の掌編小説をつけます。
ちょっぴりエッチな感じで。
X(Twitter)でも更新しています。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ドッジボール
ふみや@T&F新
青春
主人公の健は、ある日の公園での少年との出会いによって小さい頃の思い出に浸る。それは少年が持っていた「ドッジボール」との深い絆の物語であり、大切な人との出会いと別れがあった。
切り札の男
古野ジョン
青春
野球への未練から、毎日のようにバッティングセンターに通う高校一年生の久保雄大。
ある日、野球部のマネージャーだという滝川まなに野球部に入るよう頼まれる。
理由を聞くと、「三年の兄をプロ野球選手にするため、少しでも大会で勝ち上がりたい」のだという。
そんな簡単にプロ野球に入れるわけがない。そう思った久保は、つい彼女と口論してしまう。
その結果、「兄の球を打ってみろ」とけしかけられてしまった。
彼はその挑発に乗ってしまうが……
小説家になろう・カクヨム・ハーメルンにも掲載しています。
セカンドエース
シロイタコウタ
青春
球界最高を約束された投手、未来の三冠王、走攻守揃ったパーフェクト、魔術師と呼ばれる内野手。10年に一度の天才と呼ばれるような者たちが集まる至宝の世代。そして中継ぎ投手として一時代を築いた父を持つ将太は父を憧れ、超えることを誓う。目指すは甲子園優勝、そしてメジャーで最高のセットアッパー。将太の高校生活が始まる。
NBAを目指す日本人
らんしゅすてるべんしょん
青春
日本では、身長と身体能力による先天的な不利によりNBAの活躍は基本無理であろうと言われた世界へ、175センチしかないNBAでは圧倒的な低身長で活躍していく少年の物語りである。
《実在する人物の登場あり、架空の人物も存在する、性格などは本人とは少し違う可能性もあるため、イメージを崩されたくないかたはブラウザバックでお願いします》
※超不定期更新です。
[1分読書]彼女を寝取られたので仕返しします・・・
無責任
青春
僕は武田信長。高校2年生だ。
僕には、中学1年生の時から付き合っている彼女が・・・。
隣の小学校だった上杉愛美だ。
部活中、軽い熱中症で倒れてしまった。
その時、助けてくれたのが愛美だった。
その後、夏休みに愛美から告白されて、彼氏彼女の関係に・・・。
それから、5年。
僕と愛美は、愛し合っていると思っていた。
今日、この状況を見るまでは・・・。
その愛美が、他の男と、大人の街に・・・。
そして、一時休憩の派手なホテルに入って行った。
僕はどうすれば・・・。
この作品の一部に、法令違反の部分がありますが、法令違反を推奨するものではありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる