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スカウト
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カミラ姫の話は続く。
「もうお分かりだと思いますが、無事私兵を持つことが認められた暁には、ヘッズオブドラゴンを我が親衛隊にスカウトさせていただきたいです。そしてカミト様にリーダーをお願いしたいと考えています」
王姫の親衛隊。それは称号であると同時に足枷になる。建国1の天才の配下であることは名誉をもたらすとともに、魑魅魍魎とした政治の世界で生きていくことになると言っても過言ではないだろう。俺は断ろうと口を開いた。
「あ、とは言っても基本的には今まで通りサクラで自由に振る舞っていただいて構いません。王妃親衛隊として粗暴な行為などは謹んでいただければとは思いますが、今までもそういうことはしていないと理解しております」
カミラ姫はすぐに言葉を付け足した。俺の考えを読んでいるのか?
「ただ、定期的に報酬ありの依頼をさせていただきます。その活動を優先してもらえればというだけです。内容に納得がいかない場合断っていただいて構いません」
「後は、親衛隊のリーダーにカミト様のお名前を、そしてチーム全体で親衛隊に加入していると喧伝することをお許しいただければと。特に何かそれに関わる業務をしていただく必要はございません」
なるほど…… 俺は考える。特に悪くない話ではある。少し目立ってしまう可能性があるのが欠点だが、それ以外は問題はない。今更、名声が多少高まったところでマイナスはないだろう。
後は姫を女王にしたいと考えるかだが…… これはわからない。現時点ではなんともいえない。
「そうだな……まず、現時点で姫様を王にすることには賛成でも反対でもないです。急なお話ですので考えがまとまっておりません」
「そうですよね、すいません。そこは追々見極めていただければと思います」
「依頼とはどのような内容を想定されていますか?」
「はい、革命軍やその他危害を及ぼす可能性のある組織の発見、情報収集、逮捕・討伐を考えています。本当に対応する必要があるか、などは依頼ごとに精査いただいて大丈夫です。基本的に秘密裏に、事後報告で行動する組織とすることを想定していますので、お断りになったことで評判に傷をつけることはありません」
なるほど…… 問題のある組織を破壊する。その事自体は問題がない。世の中を良くすることを否定するほど曲がってはいないつもりだ。
「分かりました。一旦お受けさせていただきます。ただ、依頼内容次第では動かない可能性もあるのでご了承ください」
「ありがとうございます! そう言っていただけると信じておりました。詳細はまた詰めさせていただくとして、一つ追加でご相談があります」
「カミト様及びチームの皆様が活動するとなると、目立ちすぎるのがネックになる任務が発生する可能性があります。情報収集などですね。もう1グループ、私の手足として動いてくれるチームがあれば完璧なのですが当てはないでしょうか?」
ああ、それなら…… 俺はLV3としても活動していること、夢の羽というチームに所属していることを告げる。
「なんと、それは素晴らしいです。手間が省けます。LVも高くないので目立つこともないでしょう。斥候役などで使えそうです。そのチームもスカウトしましょう。サクラについたら早速会わせてください」
この判断は早急すぎたのか、そうではないのかは俺には判断できなかった。ただ、心の中でなんとなくだが、この役割はLV10になって空いた目標を埋める存在の一つになるのではないか、そう考えた事から受諾することにした。
以降は念入りなルート変更を行い、革命軍の攻撃はないままサクラに到着するに至った。サクラに入ってしまえばリスクは大きく下がる。ここからは領主の騎士も警護に参加してくれるだろう。俺は安堵した。
「敵、見失いました! 連絡役からの手紙も届かなくなっております!」
「ああ、バレちゃったかなあ。それとも最初から姫は全てわかっていたのかなあ、わかんないけどこうなったら撤収するしかないね。軍が来る前に逃げた方がいいかな」
革命軍のリーダー、シロウはケラケラと笑う。
「この結果でスポンサーは大丈夫か?」
心配そうにシロウに尋ねるのは副司令官のナーダ。
「うん、騎士を複数名殺害することに成功したんだ。作戦成功とは言えないけど、十分な成果だよ。爆弾と弓矢を防がれたのは痛かったけど仕方ないね、切り替えるしかない。次の機会を楽しみにしてくださいね、姫」
そういうとシロウは笑った。
「もうお分かりだと思いますが、無事私兵を持つことが認められた暁には、ヘッズオブドラゴンを我が親衛隊にスカウトさせていただきたいです。そしてカミト様にリーダーをお願いしたいと考えています」
王姫の親衛隊。それは称号であると同時に足枷になる。建国1の天才の配下であることは名誉をもたらすとともに、魑魅魍魎とした政治の世界で生きていくことになると言っても過言ではないだろう。俺は断ろうと口を開いた。
「あ、とは言っても基本的には今まで通りサクラで自由に振る舞っていただいて構いません。王妃親衛隊として粗暴な行為などは謹んでいただければとは思いますが、今までもそういうことはしていないと理解しております」
カミラ姫はすぐに言葉を付け足した。俺の考えを読んでいるのか?
「ただ、定期的に報酬ありの依頼をさせていただきます。その活動を優先してもらえればというだけです。内容に納得がいかない場合断っていただいて構いません」
「後は、親衛隊のリーダーにカミト様のお名前を、そしてチーム全体で親衛隊に加入していると喧伝することをお許しいただければと。特に何かそれに関わる業務をしていただく必要はございません」
なるほど…… 俺は考える。特に悪くない話ではある。少し目立ってしまう可能性があるのが欠点だが、それ以外は問題はない。今更、名声が多少高まったところでマイナスはないだろう。
後は姫を女王にしたいと考えるかだが…… これはわからない。現時点ではなんともいえない。
「そうだな……まず、現時点で姫様を王にすることには賛成でも反対でもないです。急なお話ですので考えがまとまっておりません」
「そうですよね、すいません。そこは追々見極めていただければと思います」
「依頼とはどのような内容を想定されていますか?」
「はい、革命軍やその他危害を及ぼす可能性のある組織の発見、情報収集、逮捕・討伐を考えています。本当に対応する必要があるか、などは依頼ごとに精査いただいて大丈夫です。基本的に秘密裏に、事後報告で行動する組織とすることを想定していますので、お断りになったことで評判に傷をつけることはありません」
なるほど…… 問題のある組織を破壊する。その事自体は問題がない。世の中を良くすることを否定するほど曲がってはいないつもりだ。
「分かりました。一旦お受けさせていただきます。ただ、依頼内容次第では動かない可能性もあるのでご了承ください」
「ありがとうございます! そう言っていただけると信じておりました。詳細はまた詰めさせていただくとして、一つ追加でご相談があります」
「カミト様及びチームの皆様が活動するとなると、目立ちすぎるのがネックになる任務が発生する可能性があります。情報収集などですね。もう1グループ、私の手足として動いてくれるチームがあれば完璧なのですが当てはないでしょうか?」
ああ、それなら…… 俺はLV3としても活動していること、夢の羽というチームに所属していることを告げる。
「なんと、それは素晴らしいです。手間が省けます。LVも高くないので目立つこともないでしょう。斥候役などで使えそうです。そのチームもスカウトしましょう。サクラについたら早速会わせてください」
この判断は早急すぎたのか、そうではないのかは俺には判断できなかった。ただ、心の中でなんとなくだが、この役割はLV10になって空いた目標を埋める存在の一つになるのではないか、そう考えた事から受諾することにした。
以降は念入りなルート変更を行い、革命軍の攻撃はないままサクラに到着するに至った。サクラに入ってしまえばリスクは大きく下がる。ここからは領主の騎士も警護に参加してくれるだろう。俺は安堵した。
「敵、見失いました! 連絡役からの手紙も届かなくなっております!」
「ああ、バレちゃったかなあ。それとも最初から姫は全てわかっていたのかなあ、わかんないけどこうなったら撤収するしかないね。軍が来る前に逃げた方がいいかな」
革命軍のリーダー、シロウはケラケラと笑う。
「この結果でスポンサーは大丈夫か?」
心配そうにシロウに尋ねるのは副司令官のナーダ。
「うん、騎士を複数名殺害することに成功したんだ。作戦成功とは言えないけど、十分な成果だよ。爆弾と弓矢を防がれたのは痛かったけど仕方ないね、切り替えるしかない。次の機会を楽しみにしてくださいね、姫」
そういうとシロウは笑った。
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