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チーム夢の羽、結成
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俺はライエルと向かい合ってカフェの席に腰掛ける。
「アイスコーヒー二つで」ライエルはそう店員に告げるとどっかりと椅子に座った。
「さて、早速本題に入らせてもらう。俺はこれからチームを立ち上げる予定だ。カミト、俺のチームに入らないか?」
「なるほど。新しくチームを作られるんですね。どうして新しいチームを作ろうと思ったんですか?」
「俺はチームランク5のチームに3年所属していた。だが、最近少し不満を感じていたんだ。それは、『現状維持を良しとする空気』だ。チームリーダーを含めチーム全体として、もうある程度ランクも個人レベルも上がったのでまったりと生きていこうという雰囲気が流れ始めた。俺はそれに不満がある」
「どうしてですか?」
「それは、俺は前に進んで行きたいからだ。普通に魔物を倒し、普通にレベルを上げていく冒険者になりたい。そして世界最強を目指す冒険者になりたい。俺はそういう冒険者になりたい」
初めてピンとくる説明に鳥肌が立つ。この真っ直ぐで真摯な姿勢、冒険者としてふさわしいと思った。しかし俺は慎重である。色々と質問をしてみようと考えた。
「なるほど、わかりました。目標は理解しましたが、具体的にはどんなチームを作りたいと考えていますか?」
「少数精鋭、切磋琢磨できるチームだ。過酷な取り組みをするつもりはないが普通に毎週依頼を受け、普通にこなして成長していくチームを作りたい」
「種族や保有魔法については構成を考えていますか?」
「特に限定させるつもりはない。種族も保有魔法もよっぽどの偏りがない限り問題ないだろう。どちらかという目標や姿勢を重視したい」
「ありがとうございます。保有魔法は何ですか?」
「雷で攻撃する「サンダー」、剣に炎を宿す「サラマンダ」、筋力を向上させる「ブースト」
だ」
「なるほど」
俺はコーヒーに口を付けながら考える。ライエルの嗜好に問題はなさそうだ。保有魔法は珍しい魔法ではないが、攻撃的で切込隊長のような役割を果たしてくれるだろう。チームメンバーはこれから募集していくとのことだがまあLV3が二人いれば問題ないだろう。
「一方的に話をしてしまったな。すまない。カミトはどういう冒険者になりたいんだ?」
「そうですね……自分も貴方と同じです。レベル10を目指して成長していく、そんな冒険者でありたいと考えています」
「おお、意見が一致したか。それはよかった。それでどうだ、チームは?」
「はい、前向きに考えさせていただいています。2つ条件があるんですがいいですか?」
「おう、なんだ?」
「まず、報酬配分は少なくて良いのですが、個人的な都合であまり出張はしたくありません。日帰りのクエストがメインでも問題ないですか?次にチームで拠点を借りる際にも出来れば自分の家から通いたいのですがいいですか?」
アリエッサに怒られないように条件を提示する。
「ああ、それなら大丈夫だ。超強力な敵でもない限り日帰りで問題なく対応できるだろう。報酬が少なくて良いなら他のチームメンバーからも文句は出まい。家もきちんと打ち合わせできるのであれば個人の家で良いだろう。しかし言いたくなければ良いが家庭に訳ありか?」
「ありがとうございます。いえ、家庭があるわけではないのですが私は農家の出身で、そういうスタイルで活動してきたのでそのスタイルを暫くは維持したいという拘りです」
農家だとそういうスタイルになる、わけではないがそういう人もいるので嘘ではない。ワーウルフは嘘の匂いに敏感なので常に正直でいないとばれてしまうのが難点だ。
「それでは詳細は詰めていくとして、まずは貴方のチームに参加させてください」
「おお、ありがとう!期待通りの結果になってよかったよ。それから俺のことはライエルと呼んでくれ。後、違和感があるから敬語は禁止だ」
「ああ……わかった、ライエル。これからよろしくな。ちなみにチームの名前は考えているのか?」
「ああ、世界最強という夢に向かって羽ばたくチーム……『夢の羽』という名前を考えている。どうだ?」
「いいね、その名前でいこう。じゃあチーム夢の羽結成に乾杯」
俺とライエルはアイスコーヒーで乾杯しながら取り留めもない雑談を交わすのだった。
「アイスコーヒー二つで」ライエルはそう店員に告げるとどっかりと椅子に座った。
「さて、早速本題に入らせてもらう。俺はこれからチームを立ち上げる予定だ。カミト、俺のチームに入らないか?」
「なるほど。新しくチームを作られるんですね。どうして新しいチームを作ろうと思ったんですか?」
「俺はチームランク5のチームに3年所属していた。だが、最近少し不満を感じていたんだ。それは、『現状維持を良しとする空気』だ。チームリーダーを含めチーム全体として、もうある程度ランクも個人レベルも上がったのでまったりと生きていこうという雰囲気が流れ始めた。俺はそれに不満がある」
「どうしてですか?」
「それは、俺は前に進んで行きたいからだ。普通に魔物を倒し、普通にレベルを上げていく冒険者になりたい。そして世界最強を目指す冒険者になりたい。俺はそういう冒険者になりたい」
初めてピンとくる説明に鳥肌が立つ。この真っ直ぐで真摯な姿勢、冒険者としてふさわしいと思った。しかし俺は慎重である。色々と質問をしてみようと考えた。
「なるほど、わかりました。目標は理解しましたが、具体的にはどんなチームを作りたいと考えていますか?」
「少数精鋭、切磋琢磨できるチームだ。過酷な取り組みをするつもりはないが普通に毎週依頼を受け、普通にこなして成長していくチームを作りたい」
「種族や保有魔法については構成を考えていますか?」
「特に限定させるつもりはない。種族も保有魔法もよっぽどの偏りがない限り問題ないだろう。どちらかという目標や姿勢を重視したい」
「ありがとうございます。保有魔法は何ですか?」
「雷で攻撃する「サンダー」、剣に炎を宿す「サラマンダ」、筋力を向上させる「ブースト」
だ」
「なるほど」
俺はコーヒーに口を付けながら考える。ライエルの嗜好に問題はなさそうだ。保有魔法は珍しい魔法ではないが、攻撃的で切込隊長のような役割を果たしてくれるだろう。チームメンバーはこれから募集していくとのことだがまあLV3が二人いれば問題ないだろう。
「一方的に話をしてしまったな。すまない。カミトはどういう冒険者になりたいんだ?」
「そうですね……自分も貴方と同じです。レベル10を目指して成長していく、そんな冒険者でありたいと考えています」
「おお、意見が一致したか。それはよかった。それでどうだ、チームは?」
「はい、前向きに考えさせていただいています。2つ条件があるんですがいいですか?」
「おう、なんだ?」
「まず、報酬配分は少なくて良いのですが、個人的な都合であまり出張はしたくありません。日帰りのクエストがメインでも問題ないですか?次にチームで拠点を借りる際にも出来れば自分の家から通いたいのですがいいですか?」
アリエッサに怒られないように条件を提示する。
「ああ、それなら大丈夫だ。超強力な敵でもない限り日帰りで問題なく対応できるだろう。報酬が少なくて良いなら他のチームメンバーからも文句は出まい。家もきちんと打ち合わせできるのであれば個人の家で良いだろう。しかし言いたくなければ良いが家庭に訳ありか?」
「ありがとうございます。いえ、家庭があるわけではないのですが私は農家の出身で、そういうスタイルで活動してきたのでそのスタイルを暫くは維持したいという拘りです」
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「それでは詳細は詰めていくとして、まずは貴方のチームに参加させてください」
「おお、ありがとう!期待通りの結果になってよかったよ。それから俺のことはライエルと呼んでくれ。後、違和感があるから敬語は禁止だ」
「ああ……わかった、ライエル。これからよろしくな。ちなみにチームの名前は考えているのか?」
「ああ、世界最強という夢に向かって羽ばたくチーム……『夢の羽』という名前を考えている。どうだ?」
「いいね、その名前でいこう。じゃあチーム夢の羽結成に乾杯」
俺とライエルはアイスコーヒーで乾杯しながら取り留めもない雑談を交わすのだった。
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