14 / 42
第2の事件、そして近づく関係
相棒との調査
しおりを挟む
授業が終わり、生徒が続々と教室を出ていく。水泳部は今日は部活動は休みの日だ。少し調査をしよう、俺はそう考えて伊藤に声をかける。
「なあ、放課後ちょっと水飲み場の調査しないか? 何かヒントがあるかもしれないし」
「そうね。部活の前にちょっと行きましょうか」
校舎を出て、グラウンドに出る。テニスコートはグラウンドの端、体育館の隣にある。
テニスコートの前に水飲み場を発見する。テニスコートがよく見える場所だな。俺と伊藤は水飲み場に歩いて行った。
見たところ、グラウンドから最も近い水飲み場のようだ。給水器が3つ設置してある。テニスコートを眺めると、写真と角度が一致した。
「撮影場所はここで間違いなさそうだな」
「ええ。そうね。ここからテニスコートを取れば同じ写真を撮影できそうだわ」
伊藤がスマホを見せながら言う。
人が来たので少し脇に逸れて俺は伊藤と状況整理を続ける。
「結構水を飲みにくる人多いな」
「そうね。夏は暑いしね。大体飲みにくるのは野球部とサッカー部、陸上部かしら」
グラウンドで練習している部活の生徒がたくさん水を飲みにくる。制服でグラウンドにいる俺らは完全に不審者だ。なんでいるのか? という目線を感じる。
俺はちょうどその時にクラスメイトの川崎が水を飲みに来ているのを見つけた。声をかける。
「おお、川崎。卓球部もここにくるのか?」
「え、うん……。 グラウンドでランニングすることもあるから……。」
「体育館を使う時は使わないの?」
伊藤が口を挟む。川崎は困ったように目をキョロキョロしている。
「体育館の前に給水器があるからそっちを使うかな……」
「そう、ありがとう」
川崎は不思議そうな顔をしたままグラウンドに戻っていった。
「卓球部も使うんだな」
「グラウンドを使用する部活の生徒は皆、という感じなんでしょうね」
「というか…… 思ったより利用者多くないか? こんなところで盗撮できるのか?」
そう、数分に1回は利用者が現れるのである。こんなところでカメラやスマホをかざしていたら相当な不審者扱いされるのではないだろうか?
「そうね、これは予想外だったわ。こんな人気な場所だったとはね。スマホやカメラをかざしていても違和感がない人か、誰にもバレないようにこっそり撮影する機材を使ったかでしょうね」
「あ、今井くんだ。調査してくれてるの?」
部室から顔を出しているのは前田だ。伊藤もいるのだが…… 見えていないのだろうか?
「ああ、そうだよ。やはり、ここから撮影されたんだろうな。しかしここ思ったより使う人多いな。びっくりしたよ」
「そうだね、こう暑いと水は必須だからね。誰が来てたか、なんてわかる人数ではないなあ。ただ、あんまり女テニじっと見てたら変態扱いされて警戒されるよ? 気をつけてね?」
「じゃあ、私は部活行ってくるから。なんかわかったら教えてねー」
そう言うと前田はテニスコートに向かって行った。
「ねえ、私無視された?」
不機嫌そうな伊藤。
「いや…… 見えてなかったんだろ。角度的に」
「まあ確かに1回も目が合わなかったけど。嫌われてる……わけではないよね?」
「ああ、そう思うぞ。というかそんな接点ないだろ」
「それもそうね。とりあえず私は部活に戻るわ」
「おう、お疲れ。俺は帰ることにするよ」
帰り道、わかったことを頭の中で整理する。
まず、水飲み場で撮影されたことは確定だろう。ただ、目立つ場所にあり、生徒も多く訪れる場所にあるので隠れて撮影することは難しそうだ。超小型カメラやボールペンのような機器でこっそり撮影したのか? しかし水飲み場に制服で現れる生徒はおらず、基本ユニフォームや体操服を着た生徒しかこない。ユニフォームを着てボールペンを持っている、そんな人がいれば目立つのではないだろうか? それに角度的にも背が比較的高い人が少し高い位置から撮っているようだ。身長が俺と同じ175cmくらいであれば撮影機器は直立して肩よりも高い位置にある必要があるだろう。そこにも違和感を感じる。
少しずつ明らかになっているようで、相変わらず謎が多い事件である。そして…… 気になるのは「次はもっとすごいのを期待ください!」という犯人と思われる掲示板の投稿。次は犯人は何をする気なのか?
「なあ、放課後ちょっと水飲み場の調査しないか? 何かヒントがあるかもしれないし」
「そうね。部活の前にちょっと行きましょうか」
校舎を出て、グラウンドに出る。テニスコートはグラウンドの端、体育館の隣にある。
テニスコートの前に水飲み場を発見する。テニスコートがよく見える場所だな。俺と伊藤は水飲み場に歩いて行った。
見たところ、グラウンドから最も近い水飲み場のようだ。給水器が3つ設置してある。テニスコートを眺めると、写真と角度が一致した。
「撮影場所はここで間違いなさそうだな」
「ええ。そうね。ここからテニスコートを取れば同じ写真を撮影できそうだわ」
伊藤がスマホを見せながら言う。
人が来たので少し脇に逸れて俺は伊藤と状況整理を続ける。
「結構水を飲みにくる人多いな」
「そうね。夏は暑いしね。大体飲みにくるのは野球部とサッカー部、陸上部かしら」
グラウンドで練習している部活の生徒がたくさん水を飲みにくる。制服でグラウンドにいる俺らは完全に不審者だ。なんでいるのか? という目線を感じる。
俺はちょうどその時にクラスメイトの川崎が水を飲みに来ているのを見つけた。声をかける。
「おお、川崎。卓球部もここにくるのか?」
「え、うん……。 グラウンドでランニングすることもあるから……。」
「体育館を使う時は使わないの?」
伊藤が口を挟む。川崎は困ったように目をキョロキョロしている。
「体育館の前に給水器があるからそっちを使うかな……」
「そう、ありがとう」
川崎は不思議そうな顔をしたままグラウンドに戻っていった。
「卓球部も使うんだな」
「グラウンドを使用する部活の生徒は皆、という感じなんでしょうね」
「というか…… 思ったより利用者多くないか? こんなところで盗撮できるのか?」
そう、数分に1回は利用者が現れるのである。こんなところでカメラやスマホをかざしていたら相当な不審者扱いされるのではないだろうか?
「そうね、これは予想外だったわ。こんな人気な場所だったとはね。スマホやカメラをかざしていても違和感がない人か、誰にもバレないようにこっそり撮影する機材を使ったかでしょうね」
「あ、今井くんだ。調査してくれてるの?」
部室から顔を出しているのは前田だ。伊藤もいるのだが…… 見えていないのだろうか?
「ああ、そうだよ。やはり、ここから撮影されたんだろうな。しかしここ思ったより使う人多いな。びっくりしたよ」
「そうだね、こう暑いと水は必須だからね。誰が来てたか、なんてわかる人数ではないなあ。ただ、あんまり女テニじっと見てたら変態扱いされて警戒されるよ? 気をつけてね?」
「じゃあ、私は部活行ってくるから。なんかわかったら教えてねー」
そう言うと前田はテニスコートに向かって行った。
「ねえ、私無視された?」
不機嫌そうな伊藤。
「いや…… 見えてなかったんだろ。角度的に」
「まあ確かに1回も目が合わなかったけど。嫌われてる……わけではないよね?」
「ああ、そう思うぞ。というかそんな接点ないだろ」
「それもそうね。とりあえず私は部活に戻るわ」
「おう、お疲れ。俺は帰ることにするよ」
帰り道、わかったことを頭の中で整理する。
まず、水飲み場で撮影されたことは確定だろう。ただ、目立つ場所にあり、生徒も多く訪れる場所にあるので隠れて撮影することは難しそうだ。超小型カメラやボールペンのような機器でこっそり撮影したのか? しかし水飲み場に制服で現れる生徒はおらず、基本ユニフォームや体操服を着た生徒しかこない。ユニフォームを着てボールペンを持っている、そんな人がいれば目立つのではないだろうか? それに角度的にも背が比較的高い人が少し高い位置から撮っているようだ。身長が俺と同じ175cmくらいであれば撮影機器は直立して肩よりも高い位置にある必要があるだろう。そこにも違和感を感じる。
少しずつ明らかになっているようで、相変わらず謎が多い事件である。そして…… 気になるのは「次はもっとすごいのを期待ください!」という犯人と思われる掲示板の投稿。次は犯人は何をする気なのか?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
四天王寺ロダンの挨拶
ヒナタウヲ
ミステリー
『奇なる姓に妙なる名』その人は『四天王寺ロダン』。
彼はのっぽ背にちじれ毛のアフロヘアを掻きまわしながら、小さな劇団の一員として、日々懸命に舞台芸を磨いている。しかし、そんな彼には不思議とどこからか『謎』めいた話がふわりふわりと浮かんで、彼自身ですら知らない内に『謎』へと走り出してしまう。人間の娑婆は現代劇よりもファナティックに溢れた劇場で、そこで生きる人々は現在進行形の素晴らしい演者達である。
そんな人々の人生を彩る劇中で四天王寺ロダンはどんな役割を演じるのだろうか?
――露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢、秀吉が辞世で詠んだ現代の難波で、四天王寺ロダンは走り出す。
本作は『嗤う田中』シリーズから、一人歩き始めた彼の活躍を集めた物語集です。
@アルファポリス奨励賞受賞作品
https://www.alphapolis.co.jp/prize/result/682000184
@第11回ネット大賞一次通過作品
ザイニンタチノマツロ
板倉恭司
ミステリー
前科者、覚醒剤中毒者、路上格闘家、謎の窓際サラリーマン……社会の底辺にて蠢く四人の人生が、ある連続殺人事件をきっかけに交錯し、変化していくノワール群像劇です。犯罪に関する描写が多々ありますが、犯罪行為を推奨しているわけではありません。また、時代設定は西暦二〇〇〇年代です。
豁サ逕コ縲(死町)season3・4・5
霜月麗華
ミステリー
高校1年生の主人公松原鉄次は竹尾遥、弘田早苗、そして凛と共に金沢へ、そして金沢ではとある事件が起きていた。更に、鉄次達が居ないクラスでも呪いの事件は起きていた。そして、、、過去のトラウマ、、、
3つのストーリーで構成される『死町』、彼らは立ち向かう。
全てに
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる