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第2の事件、そして近づく関係

学年1の美少女をやっぱりモテる

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「いやあ、犯人を絞りにくい難しい盗撮だな」
「まあでも、部活をしている人だろう、という推測は成り立つわ。それだけでも一歩前進じゃない?」
「そうだな。しかしどんどん過激化しそうでそこが心配だよ」
「そうね。女子しか入れない所は私の方で気をつけるようにするわ」
 俺と伊藤は話を終え、教室に戻る。

「お、今井! ちょっといいか?」
教室に戻るなり、溝口に話しかけられる。今気づいたが今日、溝口はメガネをかけている。明るいキャラでメガネというのも似合うもんだな。
「ああ、どうした? というかメガネにしたのか?」
「コンタクトの調子が悪くてな。部活中以外はメガネにしてるんだよ。結構似合うだろ? まあそれは置いといて、最近葵ちゃんと仲良いらしいじゃん。なんで仲良くなったんだ?」

「前田か? いや、最近掲示板に盗撮写真が貼られたという件があっただろ? あれで相談受けててな」
「ああ、お前実績あるもんな。それだけか? 一緒に帰ってるところ見たぞ」
「ボディーガード役だよ。周囲を警戒するためにな。特に効果はなかったが」

「気をつけた方がいいよ~ 前田さんモテるから。周りのファンに変な誤解をされちゃうよ」
 山田が話に入ってくる。ボールペンを回しながら鼻歌を歌っているが…… 山田の行動にツッコんだら負けだ。どうせ特に何も考えてないだろう。
「そんなにか? 帰り道話すくらいあるだろ」
「いやあ、前田さんガード固いと評判だからね。一緒に帰っているというだけで注目度すごいんだからね? 僕も何人か友達に聞かれたから。今井について教えてくれって」
「俺もサッカー部のやつから聞いたんだぜ。葵ちゃんが男と一緒に帰ってるって。お前は今や時の人というわけだな」

「そんなに話題になってるのか。学校1の美少女ってのはすごいんだな」
「まあそれもあるが、1番はミステリアスな所だよ。前田さんって告白されても全部タイプじゃない、って振ってるでしょ? じゃあどういう人が好きなんだ、っていう謎にみんな気になってるんだよね」
「そうそう。同級生じゃなくて年上好きとか年下好きなのかという説も出たが、先輩も後輩もみんな断ってるだろ? 余計に謎が深まってるんだよ」
 確かに掲示板でもその話は出ていた。今の所、最有力の説は男に興味がない・男が嫌いということになっているようだ。そこで俺が一緒に下校していたらそれは注目されるわけだな。

「男の趣味が全くわからないので、どんな相手なら恋人になるかはわからないと話題なわけだね。韓国ドラマ好きだから韓国人が好きなのか? という話もあったが本人曰くそういう訳でもないらしいし」
「なるほどな。まあ捜査をしているだけの関係だが…… 気をつけるよ」
「うん、変な人に絡まれたりするかもだからね」

「しかし盗撮とは卑怯なやつがいるもんだ。堂々と撮影しろよな。俺なら一緒に写真撮ってもらうんだが」
「それは溝口だから出来ることだろ。普通の人間はこっそり撮影して満足するもんなんだよ、きっと」
「そうだけど、僕だったら自分一人の物にするけどなあ。みんなに共有するなんて勿体無い、って思っちゃいそう」
「確かにな。掲示板に投稿している理由もよくわかっていない」

「逆に今わかっていることって何かあるのか?」
「そうだな…… 今わかっていることは、犯人はおそらく男、そして部活に所属しているということだな」
「それだけか。逮捕までの道は遠そうだな」
がっかりした表情を見せる溝口。まあこれで絞り込むのは出来ないからな。がっかりされるのも仕方ない。

「まあ流石に写真だけで犯人を特定するのは難しいよね。やっぱり現行犯逮捕しないと」
「そうだな。二人とも、怪しい行動をしている奴がいたら教えてくれるか? おそらく犯人は撮影時にスマホをタップするみたいな何かしら行動をとるはずだからな」
頷く溝口と山田。

「ねえ、今井くん、次の数学はちゃんと理解できてる? また教えてあげようか?」
そこにひょこっと前田が登場した。
「ああ、今のところは大丈夫だ。ありがとう」
「そっか、ならよかった」
そう言って前田は席に戻る。
「おい、お前、葵ちゃんに数学教えてもらってるのかよ?」
「話の流れで1回だけだ…… それくらい普通だろ?」
「普通じゃないから言ってるんだよ! そんな男はこの2年で聞いたことがないぞ! お前まさか葵ちゃんのタイプに当てはまっているのか!」
 溝口に肩を揺さぶられる。
「知らないが、ないだろ…… 被害者と探偵の役割だよ。深い意味はないはずだ」

「うーんどうなんだろうね。とりあえず僕的には今後も注目していくよ。また楽しみが増えたなあ」
そう言いながら山田は席に戻っていく。そういえば、ずっとボールペン回してたな。
「なあ、山田。なんでボールペン使ってるんだ?」
「ああ、こっちのほうがノートを取りやすいんだよ。一発勝負の緊張感もあってちょうどいいしね」
 うむ、よくわからない。俺はとりあえずなるほどな、と言っておいた。

「とにかく、もし葵ちゃんと進捗あれば教えてくれよ。そんな大ニュース逃すわけにはいかないからな」
「お前もゴシップ好きなのか……」
 溝口もそれだけ言い残し席に戻って行った。気をつけないと変な注目を集めそうだな。そして犯人が前田の過激なファンだったとして、変に恨みを買うのも避けたい所だ。
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