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最終章
275.クズな患者
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ただのクズ、自覚ないゴミ、正義名乗ってるだけのカス。
医者とは真逆の存在、病名クズの患者だった。
あの時、初めての殺人を肯定するために、俺は次の殺人を正義の名のもとにした。その殺人を肯定するため、3人目を殺した。4人目を殺した。
ただただ、肯定したかった。それでいいんだって、それは正しいんだって。
司法に、この国に、世界に、人々に許されないことはわかっていた。それでも、自分だけは肯定したかった。殺人をした重さから逃げたかった。歪んだ正義に逃げたかった。
そしてそこに行けば…その正義を認めるために…。
俺の中の正義は、ただ…現実逃避で見ていた夢だった。
「………!」
動かなきゃ、このままだとクズの更に下へと行ってしまう。
彼が…まだやり直せると言ってくれるのならば…
俺はもう、彼を信じる以外道は無かった。
そして、俺は1つの薬を取り出した。そして、それをアルスに飲ませた。数秒すると…。
「…!!」
アルスは目を覚ました。
この薬は…俺が万が一眠気に襲われてしまった時に、使えば睡眠薬の効果が即効で、なくなる薬だ。
「…目を覚ましたか、アルス。俺が全部悪かった。行け。」
それに安堵した俺は、大の字になって寝転んだ。
そして彼にそう言った。そうすれば、彼は不思議そうに聞いてきた。
「なんで…俺の目を覚まさせたんだ?」
「嬉しかったんだ。俺に『やり直せる』って言ってくれたことが。…現実は…やり直せないだろうな。だけど、それでもだ。」
「………俺は、やり直せない人を見た事があるんだ。死の間際まで、俺に恨み言を放った人だ。…実の兄だったんだ。あいつは…昔はすっごくいい兄ちゃんだった。その時に思ったんだ、良くも悪くも人は変わる。なら、悪人が善人にだって変われる。…罪はしっかり償わなきゃだがな。」
…こんな俺に期待してくれてるんだな。
どう見ても、どう聞いてもクズ色が一色の俺にだ。
だから、応えなくちゃならない。そして、奪った命の罪滅ぼしをしなくてはならない。
「それも…そう。だな…。俺は…監獄に戻る。それで、死ぬまでできるだけ多くの人を治療する。…正直、タクシェンが怖い。だから、《帝王の証》で寝返るしな。今のうちに退散しておくよ。」
「…そうか。期待しててくれよ。」
「ああ。」
タクシェンが居ない、昔の刑務所生活に戻るだけだ。
飯を食べて、誰かの治療に向かい、ただ寝るだけの生活。
それでもいい…こんなクズが罪滅ぼしできるのなら。
…まずは第1歩として。
「あ…。あと。タクシェンについての事だ。」
「!」
「…あいつの心物は相手の心を奪う能力だ。じゃあもし、タクシェンを殺せば…―――――」
「嘘だろ!?」
「確証は無い…だが、ユーグワの書籍を信じるならば本当である可能性はある。」
「…ありがとう、ミシェル。」
「最後まで諦めんなよ。」
医者とは真逆の存在、病名クズの患者だった。
あの時、初めての殺人を肯定するために、俺は次の殺人を正義の名のもとにした。その殺人を肯定するため、3人目を殺した。4人目を殺した。
ただただ、肯定したかった。それでいいんだって、それは正しいんだって。
司法に、この国に、世界に、人々に許されないことはわかっていた。それでも、自分だけは肯定したかった。殺人をした重さから逃げたかった。歪んだ正義に逃げたかった。
そしてそこに行けば…その正義を認めるために…。
俺の中の正義は、ただ…現実逃避で見ていた夢だった。
「………!」
動かなきゃ、このままだとクズの更に下へと行ってしまう。
彼が…まだやり直せると言ってくれるのならば…
俺はもう、彼を信じる以外道は無かった。
そして、俺は1つの薬を取り出した。そして、それをアルスに飲ませた。数秒すると…。
「…!!」
アルスは目を覚ました。
この薬は…俺が万が一眠気に襲われてしまった時に、使えば睡眠薬の効果が即効で、なくなる薬だ。
「…目を覚ましたか、アルス。俺が全部悪かった。行け。」
それに安堵した俺は、大の字になって寝転んだ。
そして彼にそう言った。そうすれば、彼は不思議そうに聞いてきた。
「なんで…俺の目を覚まさせたんだ?」
「嬉しかったんだ。俺に『やり直せる』って言ってくれたことが。…現実は…やり直せないだろうな。だけど、それでもだ。」
「………俺は、やり直せない人を見た事があるんだ。死の間際まで、俺に恨み言を放った人だ。…実の兄だったんだ。あいつは…昔はすっごくいい兄ちゃんだった。その時に思ったんだ、良くも悪くも人は変わる。なら、悪人が善人にだって変われる。…罪はしっかり償わなきゃだがな。」
…こんな俺に期待してくれてるんだな。
どう見ても、どう聞いてもクズ色が一色の俺にだ。
だから、応えなくちゃならない。そして、奪った命の罪滅ぼしをしなくてはならない。
「それも…そう。だな…。俺は…監獄に戻る。それで、死ぬまでできるだけ多くの人を治療する。…正直、タクシェンが怖い。だから、《帝王の証》で寝返るしな。今のうちに退散しておくよ。」
「…そうか。期待しててくれよ。」
「ああ。」
タクシェンが居ない、昔の刑務所生活に戻るだけだ。
飯を食べて、誰かの治療に向かい、ただ寝るだけの生活。
それでもいい…こんなクズが罪滅ぼしできるのなら。
…まずは第1歩として。
「あ…。あと。タクシェンについての事だ。」
「!」
「…あいつの心物は相手の心を奪う能力だ。じゃあもし、タクシェンを殺せば…―――――」
「嘘だろ!?」
「確証は無い…だが、ユーグワの書籍を信じるならば本当である可能性はある。」
「…ありがとう、ミシェル。」
「最後まで諦めんなよ。」
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