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最終章
270.覚悟と勇気の砦
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8月15日、15時頃。
まだタクシェンはタンダス村に来ない。
その間に、私は4番隊の拠点にいた兵士達を移動させようとした…しかし…。
「い、嫌だ…。」
そんな声ばかりがここの中心となっていた。
その言葉に反発する者、同情する者、さらには同調させようとする者など多種多様な兵士達であった。
だから、私はまとめなければならない。そして、彼らの士気をあげなければならない。
「集合!整列!」
そう、前までは使っていなかった喉を使う。私は兄に頼りすぎていた。枯れた喉を動かしながら、日に日に思っていた。
だから、私は今日。兄と同等の存在となる。
前に並んだ兵士達、彼らに向けて私は言葉を放った。
「…あなた方は、なぜ兵士になり、この組織を選んだのですか?」
ここは4番隊。パトロールや対不審者の兵士とは違い、対犯罪組織であり、対武装組織の隊だ。だからっ!
「私は、ある兵士に遭難している所を見つけてもらって、温かいスープを貰ったからです。その時に、その兵士が言った言葉を今でも覚えています。」
ただの昔話を、兵士達に語りかける。みんなに…思い出して欲しいから。
「お金を貰うために兵士をやっているんじゃない、兵士をやっているからお金を貰っているんだ。と言われました。」
兄貴と共にやっていた、職業の内の1つが、兵士という職業になった瞬間は今でも覚えている。あんな戦争はもう起こしてはいけない。
「…さて、あなた達の憧れの人に、英雄になりたいから戦う人はいましたか?お金を貰うために戦う人がいましたか?……もう、ここにいる人は誰かに憧れる人じゃなく、誰かに憧れられる人ですよ。」
…そう言いながら、私はふと思った。マーベインはめちゃくちゃかっこいい人だったなって。
「兵士になった原点を思い出して。そして…守りたいものを見つけたならば、私についてきてください!それを守りに行きましょう」
その言葉ともに…兵士達は足を踏み出した。
1人、また1人とスノへと続くものが増えてきたようだ。
最後には、全ての兵士が責務を果たした。
8月15日、18時頃。
太陽が澄んだ夕日となって、かつての故郷を照らしていた。
…壊れた家に、もう何も育てられない畑、荒れた大地にぞろぞろと影が現れていた。
そしてその先頭には、タクシェンがいた。
奴は赤い眼光を光らせて、こちらへと向かってきている。
ダダダダタ…!
タクシェンの後ろには、約1万人もの市民を洗脳して引き連れていた。
そして、それと睨み合うのは1000人程の武装した兵士であった。
それを見たタクシェンが、スノに向けて言葉を放つ。
「全兵力をつぎ込んだか。ならばここで決着をつけてやろう。」
まだタクシェンはタンダス村に来ない。
その間に、私は4番隊の拠点にいた兵士達を移動させようとした…しかし…。
「い、嫌だ…。」
そんな声ばかりがここの中心となっていた。
その言葉に反発する者、同情する者、さらには同調させようとする者など多種多様な兵士達であった。
だから、私はまとめなければならない。そして、彼らの士気をあげなければならない。
「集合!整列!」
そう、前までは使っていなかった喉を使う。私は兄に頼りすぎていた。枯れた喉を動かしながら、日に日に思っていた。
だから、私は今日。兄と同等の存在となる。
前に並んだ兵士達、彼らに向けて私は言葉を放った。
「…あなた方は、なぜ兵士になり、この組織を選んだのですか?」
ここは4番隊。パトロールや対不審者の兵士とは違い、対犯罪組織であり、対武装組織の隊だ。だからっ!
「私は、ある兵士に遭難している所を見つけてもらって、温かいスープを貰ったからです。その時に、その兵士が言った言葉を今でも覚えています。」
ただの昔話を、兵士達に語りかける。みんなに…思い出して欲しいから。
「お金を貰うために兵士をやっているんじゃない、兵士をやっているからお金を貰っているんだ。と言われました。」
兄貴と共にやっていた、職業の内の1つが、兵士という職業になった瞬間は今でも覚えている。あんな戦争はもう起こしてはいけない。
「…さて、あなた達の憧れの人に、英雄になりたいから戦う人はいましたか?お金を貰うために戦う人がいましたか?……もう、ここにいる人は誰かに憧れる人じゃなく、誰かに憧れられる人ですよ。」
…そう言いながら、私はふと思った。マーベインはめちゃくちゃかっこいい人だったなって。
「兵士になった原点を思い出して。そして…守りたいものを見つけたならば、私についてきてください!それを守りに行きましょう」
その言葉ともに…兵士達は足を踏み出した。
1人、また1人とスノへと続くものが増えてきたようだ。
最後には、全ての兵士が責務を果たした。
8月15日、18時頃。
太陽が澄んだ夕日となって、かつての故郷を照らしていた。
…壊れた家に、もう何も育てられない畑、荒れた大地にぞろぞろと影が現れていた。
そしてその先頭には、タクシェンがいた。
奴は赤い眼光を光らせて、こちらへと向かってきている。
ダダダダタ…!
タクシェンの後ろには、約1万人もの市民を洗脳して引き連れていた。
そして、それと睨み合うのは1000人程の武装した兵士であった。
それを見たタクシェンが、スノに向けて言葉を放つ。
「全兵力をつぎ込んだか。ならばここで決着をつけてやろう。」
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