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最終章
264.最大の戦いへ①
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ナット達が買い物行っている頃…。
レイは4番隊の拠点へと顔を出していた。ここ2ヶ月は、毎週のように顔を出しているようだった。
レイは現時点で4番隊の実権を握るスノと、話し合いをするためにここに来ていた。
「さて…とうとう"タクシェン"が動き出しましたね。…私達の命運も決まる頃ですか。」
「あの事件のことなのか?」
「カンが冴えてますね。ポンコツレイさんが登場しないって事は、相当気を張らなければならない状況になったということですね。……7月31日。ディラノスが殺害された事件。あの場にいた全兵士が死亡したのだから、タクシェンがやったと見ていいでしょう。」
「となると、ディラノスの心物はタクシェンに奪われた…と。」
レイがそのような推測を述べると、スノは下を向いた。
向き合いたくない事がレイの顔にのっぺりと貼り付けられていた…。しかし、彼女は言った。
「…はい。おそらく、護衛用の軍を引き連れてるでしょう。…やつを殺すとなれば…どうすれば…。」
「総力戦…もしくは少数での奇襲だな。中途半端にやれば、かえって奴の軍を強くするだけだ。」
「なら、総力戦ですね。少数で奴に勝てるイメージがわかない。」
冷静という面の皮を被ったスノは、とうとうそれが剥がれる時が来た。重苦しいから剥がしてしまった。
「そうなれば…私が…軍団の指揮を…?い、いや!できるわけがありません!!だって…兄貴の…マーベイン隊長のようにできるわけが…。」
不安が渦巻くスノにとって、この状況は押しつぶされるようなプレッシャーと、一歩間違えたら死ぬという恐怖が彼女の精神を更に痛めつけるのだった。
そのスノに、元隊長が言葉をあげた。
「俺は、マーベインに期待をしていた。彼は一際目立った兵士だった。精神性も、実力も、そしてカリスマ性も。彼は私の期待通りに隊長へと成り上がり、4番隊を最強最大の部隊に育てた。」
「…だから…不安なんですよ。」
「そうだよな。だが、私は彼を長年見てきた。だからマーベインならこの状況をどうするか、というのが分かる。"…お前は何年、あいつから学び続けた?"」
レイの顔に貼り付いけていた現実が、床に落ちた。
…もちろんレイさんの言葉で不安が消える訳でもないし、プレッシャーが軽減される訳では無い…けど。
「…ありがとうございます。おかげで自信と勇気が湧きました。」
それに立ち向かえるだけの、私に足りなかった2つを彼は言葉に乗せてくれた。
「それがあるなら何よりだ。さぁ、奴に立ち向かうだけの戦力を揃えよう。これまでも、これからも起こりえない、タクシェンの討伐という最大の決戦なんだから。」
レイは4番隊の拠点へと顔を出していた。ここ2ヶ月は、毎週のように顔を出しているようだった。
レイは現時点で4番隊の実権を握るスノと、話し合いをするためにここに来ていた。
「さて…とうとう"タクシェン"が動き出しましたね。…私達の命運も決まる頃ですか。」
「あの事件のことなのか?」
「カンが冴えてますね。ポンコツレイさんが登場しないって事は、相当気を張らなければならない状況になったということですね。……7月31日。ディラノスが殺害された事件。あの場にいた全兵士が死亡したのだから、タクシェンがやったと見ていいでしょう。」
「となると、ディラノスの心物はタクシェンに奪われた…と。」
レイがそのような推測を述べると、スノは下を向いた。
向き合いたくない事がレイの顔にのっぺりと貼り付けられていた…。しかし、彼女は言った。
「…はい。おそらく、護衛用の軍を引き連れてるでしょう。…やつを殺すとなれば…どうすれば…。」
「総力戦…もしくは少数での奇襲だな。中途半端にやれば、かえって奴の軍を強くするだけだ。」
「なら、総力戦ですね。少数で奴に勝てるイメージがわかない。」
冷静という面の皮を被ったスノは、とうとうそれが剥がれる時が来た。重苦しいから剥がしてしまった。
「そうなれば…私が…軍団の指揮を…?い、いや!できるわけがありません!!だって…兄貴の…マーベイン隊長のようにできるわけが…。」
不安が渦巻くスノにとって、この状況は押しつぶされるようなプレッシャーと、一歩間違えたら死ぬという恐怖が彼女の精神を更に痛めつけるのだった。
そのスノに、元隊長が言葉をあげた。
「俺は、マーベインに期待をしていた。彼は一際目立った兵士だった。精神性も、実力も、そしてカリスマ性も。彼は私の期待通りに隊長へと成り上がり、4番隊を最強最大の部隊に育てた。」
「…だから…不安なんですよ。」
「そうだよな。だが、私は彼を長年見てきた。だからマーベインならこの状況をどうするか、というのが分かる。"…お前は何年、あいつから学び続けた?"」
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…もちろんレイさんの言葉で不安が消える訳でもないし、プレッシャーが軽減される訳では無い…けど。
「…ありがとうございます。おかげで自信と勇気が湧きました。」
それに立ち向かえるだけの、私に足りなかった2つを彼は言葉に乗せてくれた。
「それがあるなら何よりだ。さぁ、奴に立ち向かうだけの戦力を揃えよう。これまでも、これからも起こりえない、タクシェンの討伐という最大の決戦なんだから。」
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