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部品の復讐(六章)
249.メランコリック①
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この戦争から…数日が経過した頃だった。コルは今日も新聞を読んでいた。
世間の話題は、いくら経ってもずっと全面戦争の話題であった。この様子なら多分…1ヶ月ぐらいは話題を変えないと思う。
そして、1番話題になっていたのは…やっぱり、マーベインの死。
世間は彼の死によって、この国全体がお葬式をしているかのように陰鬱とした空気が流れている。
これまで、マーベインに守って貰っていた市民達。マーベインに憧れて兵士を志していた少年少女。その全てが悲しみと不安を感じていた。
ラバス王国なら誰もが知っている国1番の有名人が、亡くなったことの重さを、私は思い知った。
世間への影響として、次に多いのはどうしようも無いほどの治安の悪化。元々、"毒薬のばら撒き、刑務所の崩壊により、治安は悪くなっていたものの…少しだけであった。"だが、今回のは別格だ。
誰もが不安を感じで、ストレスの爆発を起こしてしまう人がいる。その人達に不安を感じて、爆発してしまう人…またその人。
のように、マトリョーシカ式でどんどんと治安は悪くなっていった。
その事を今日、新聞を読んで知った。
私は…今から自分の部屋のベッドでずっと寝ているアルスに話をしなくちゃいけない。コンコンッ…。
「アルス、ちょっといいかな?」
「…いいよ。」
あの日から、彼はずっとこんな様子であった。
私はそりゃそうだなと思う、前にアルスは私に、全面戦争で何があったかを全てを話してくれた。
彼の言ったことは、一言一句、全てが力強かった、しかし心は弱っていた。その言った言葉は…。
「マーベインは俺が見殺しにした。1番隊も俺が見殺しにした。ナットの胸の傷は俺がつけた。ラーラも、俺は彼女を守ることができなかった。ずっと昔からそうだ。…罪滅ぼしなのか…俺は兄貴を殺した。」
淡々と呟く彼の姿を見ていると、こっちまで胸が締め付けられそうになってしまう。彼の苦しみはこれの数万倍なんだろうと想像すると、彼がよく話してくれたと感じてしまう。
「過去は消えねぇーよ。」
その時、私がなんと言えばいいのか分からず戸惑っていたら、後ろから真面目なナットが来てそう言った。
過去に苦しむアルスに言った言葉として、駄目だと認識し、私はすかさず注意をした。
「ちょっと、今は辞めといた方がいい」
「最後まで聞きやがれよ。」
と、ほんっの少し不機嫌になりながら彼は言った。そして続けて、アルスの肩を撫でながらこう言った。
「過去は変えられん、だから受け入れるしかない。一つ一つ、1歩1歩ゆっくり受け入れていけよ。そんでいつの日か、また遊ぼうぜ。待ってるからさっ。」
世間の話題は、いくら経ってもずっと全面戦争の話題であった。この様子なら多分…1ヶ月ぐらいは話題を変えないと思う。
そして、1番話題になっていたのは…やっぱり、マーベインの死。
世間は彼の死によって、この国全体がお葬式をしているかのように陰鬱とした空気が流れている。
これまで、マーベインに守って貰っていた市民達。マーベインに憧れて兵士を志していた少年少女。その全てが悲しみと不安を感じていた。
ラバス王国なら誰もが知っている国1番の有名人が、亡くなったことの重さを、私は思い知った。
世間への影響として、次に多いのはどうしようも無いほどの治安の悪化。元々、"毒薬のばら撒き、刑務所の崩壊により、治安は悪くなっていたものの…少しだけであった。"だが、今回のは別格だ。
誰もが不安を感じで、ストレスの爆発を起こしてしまう人がいる。その人達に不安を感じて、爆発してしまう人…またその人。
のように、マトリョーシカ式でどんどんと治安は悪くなっていった。
その事を今日、新聞を読んで知った。
私は…今から自分の部屋のベッドでずっと寝ているアルスに話をしなくちゃいけない。コンコンッ…。
「アルス、ちょっといいかな?」
「…いいよ。」
あの日から、彼はずっとこんな様子であった。
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彼の言ったことは、一言一句、全てが力強かった、しかし心は弱っていた。その言った言葉は…。
「マーベインは俺が見殺しにした。1番隊も俺が見殺しにした。ナットの胸の傷は俺がつけた。ラーラも、俺は彼女を守ることができなかった。ずっと昔からそうだ。…罪滅ぼしなのか…俺は兄貴を殺した。」
淡々と呟く彼の姿を見ていると、こっちまで胸が締め付けられそうになってしまう。彼の苦しみはこれの数万倍なんだろうと想像すると、彼がよく話してくれたと感じてしまう。
「過去は消えねぇーよ。」
その時、私がなんと言えばいいのか分からず戸惑っていたら、後ろから真面目なナットが来てそう言った。
過去に苦しむアルスに言った言葉として、駄目だと認識し、私はすかさず注意をした。
「ちょっと、今は辞めといた方がいい」
「最後まで聞きやがれよ。」
と、ほんっの少し不機嫌になりながら彼は言った。そして続けて、アルスの肩を撫でながらこう言った。
「過去は変えられん、だから受け入れるしかない。一つ一つ、1歩1歩ゆっくり受け入れていけよ。そんでいつの日か、また遊ぼうぜ。待ってるからさっ。」
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