215 / 281
全面戦争 序(五章)
215.王都決戦⑦
しおりを挟む
「《手術の瓶》(オペ・フラスコ)の治す力は恐ろしくてな……そこのデカい野郎。少し倒れていてもらおう。」
ミシェルはレイを指さしてそう言った、そして《手術の瓶》にレイの血と、服の裏にまだ隠し持っていた、試験管の中に入っていた紫色の液体を混ぜた。
「混ぜ…させるかっ!」
「おっと、ここでお前が来るか。」
後ろから迫るスノに気が付き、それを避けるようにミシェルが前に移動した。しかし《濃厚な1秒》はかすってしまった。
「!?」
そこで生まれた無限の一秒を使い、スノはミシェルの皮膚を切り刻んだ。
スカッ…しかしスノが斬撃を当てれなかった瞬間、ミシェルはスノの腹に思いっきり回し蹴りを当て、彼女を少し飛ばし、尻を着かせた。
「ここだっ!」
レイは背後を見せたミシェルを貫こうと、槍で突進をした。
ドタドタと足音を立てながら、ミシェルに全速力で近づく。
しかし、ミシェルは…後ろを振り向かずにこう言った。
「また突進、馬鹿の一つ覚えってやつか。」
そうしてミシェルは、右肩の上から《手術の瓶》を出した。そうすれば、さっき作った液がレイの両手に向かって進んでいることが分かる。
バッ!咄嗟に両手を後ろに回し、回避しようとするも、放たれた液は両手を狙ってるホーミングをしており、それが傷口に命中する!
「…治す力かっ!」
「正解、血を入れる時に不純物があれば攻撃になるだろ。」
「クソッ…やられた。」
レイに入れられた紫色の液体。
それは毒であった。即効性のある毒を血管に直接入れられていたので、症状は今まさに酷くなっていた。
「…ゴホッ…。体が…だるい!?」
動かしずらい体となった、その感覚はあまりにも酷い高熱が出た時の体のだるさをさらに酷くしたのもに似ていた。
「安心しろ、2週間もすりゃ治る。……次はあのすばしっこい猿みたいな奴か。」
倒れ込むレイの頭を踏みにじり、ゆっくりとスノの方に首を動かして言った。
「へー、レイさんを倒すとかなかなかやるじゃないですか。」
スノは不敵にニヤつき、ミシェルに目を合わせようとしながら言った。
「お前はそれを言う余裕があるのか?」
「…見抜かれました?」
奴と合わせることが出来ない目の奥にある感情を、ミシェルは見抜きそれをスノに言った。
彼女の方は少しも表情を変えず、余裕を見せて答えた。
しかし、顔には少し汗をかいていた。
「フフッ…負けが見えたか?」
「そんなわけ無いでしょ。なら私は宣言します。ミシェル、あなたのその両手。数週間は使えないと思っていてください。」
ミシェルはレイを指さしてそう言った、そして《手術の瓶》にレイの血と、服の裏にまだ隠し持っていた、試験管の中に入っていた紫色の液体を混ぜた。
「混ぜ…させるかっ!」
「おっと、ここでお前が来るか。」
後ろから迫るスノに気が付き、それを避けるようにミシェルが前に移動した。しかし《濃厚な1秒》はかすってしまった。
「!?」
そこで生まれた無限の一秒を使い、スノはミシェルの皮膚を切り刻んだ。
スカッ…しかしスノが斬撃を当てれなかった瞬間、ミシェルはスノの腹に思いっきり回し蹴りを当て、彼女を少し飛ばし、尻を着かせた。
「ここだっ!」
レイは背後を見せたミシェルを貫こうと、槍で突進をした。
ドタドタと足音を立てながら、ミシェルに全速力で近づく。
しかし、ミシェルは…後ろを振り向かずにこう言った。
「また突進、馬鹿の一つ覚えってやつか。」
そうしてミシェルは、右肩の上から《手術の瓶》を出した。そうすれば、さっき作った液がレイの両手に向かって進んでいることが分かる。
バッ!咄嗟に両手を後ろに回し、回避しようとするも、放たれた液は両手を狙ってるホーミングをしており、それが傷口に命中する!
「…治す力かっ!」
「正解、血を入れる時に不純物があれば攻撃になるだろ。」
「クソッ…やられた。」
レイに入れられた紫色の液体。
それは毒であった。即効性のある毒を血管に直接入れられていたので、症状は今まさに酷くなっていた。
「…ゴホッ…。体が…だるい!?」
動かしずらい体となった、その感覚はあまりにも酷い高熱が出た時の体のだるさをさらに酷くしたのもに似ていた。
「安心しろ、2週間もすりゃ治る。……次はあのすばしっこい猿みたいな奴か。」
倒れ込むレイの頭を踏みにじり、ゆっくりとスノの方に首を動かして言った。
「へー、レイさんを倒すとかなかなかやるじゃないですか。」
スノは不敵にニヤつき、ミシェルに目を合わせようとしながら言った。
「お前はそれを言う余裕があるのか?」
「…見抜かれました?」
奴と合わせることが出来ない目の奥にある感情を、ミシェルは見抜きそれをスノに言った。
彼女の方は少しも表情を変えず、余裕を見せて答えた。
しかし、顔には少し汗をかいていた。
「フフッ…負けが見えたか?」
「そんなわけ無いでしょ。なら私は宣言します。ミシェル、あなたのその両手。数週間は使えないと思っていてください。」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

アポカリプスな時代はマイペースな俺に合っていたらしい
黒城白爵
ファンタジー
ーーある日、平穏な世界は終わった。
そうとしか表現できないほどに世界にモンスターという異物が溢れ返り、平穏かつ醜い世界は崩壊した。
そんな世界を自称凡人な男がマイペースに生きる、これはそんな話である。
初恋の呪縛
泉南佳那
恋愛
久保朱利(くぼ あかり)27歳 アパレルメーカーのプランナー
×
都築 匡(つづき きょう)27歳 デザイナー
ふたりは同じ専門学校の出身。
現在も同じアパレルメーカーで働いている。
朱利と都築は男女を超えた親友同士。
回りだけでなく、本人たちもそう思っていた。
いや、思いこもうとしていた。
互いに本心を隠して。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
勇者じゃないと追放された最強職【なんでも屋】は、スキル【DIY】で異世界を無双します
華音 楓
ファンタジー
旧題:re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。

【 暗黒剣士の聖十字 】 ~属性適正がまさかの闇で騎士団追放。でも魔王と呼ばれるようになった俺の力がないと騎士団が崩壊するって?~
岸本 雪兎
ファンタジー
闇に飲まれていく世界で彼は気付く。
闇を統べる自分こそが最強だと────
1000年前に闇の属性を統べる邪神を封じ、その封印を維持するために建設された聖堂都市。
そこを守護する誉れ高き聖騎士団。
憧れからその聖騎士団へと入団した1人の少年がいた。
その少年の名はリヒト。
だがリヒトは見習いから騎士へと昇格する際に行われる属性適正の鑑定の儀で、その適正を見出だされたのは『闇』の属性。
基本となる火、水、風、土の4属性とも、上位属性である光の属性とも異なる前代未聞の属性だった。
生まれも平民の出だったリヒトはその忌むべき属性のために1度は団を追われようとしたが、当時の聖騎士団総団長ヴィルヘルムによって救われる。
それからは聖騎士としての力を示すために己の属性である闇を纏って戦場を奔走。
リヒトは数々の戦果をあげる。
だが総団長の辞任と共に新たに総団長となったのはリーンハルトという選民意識の強い貴族の当主。
この男によってリヒトは団を追われ、街を追われる事になった。
その時に敬愛し憧れていた前総団長ヴィルヘルムもリーンハルトの策略によって失脚した事を知る。
だがリヒトの災難はこれで終わらない。
失意のうちに故郷へと戻ったリヒトの目の前には無惨に変わり果てた町並みが広がっていた。
リーンハルトによって平民の村や町は切り捨てられ、魔物の脅威に曝されて。
リヒトの両親もそれによって命を落としていた。
聖騎士団をリーンハルトの手から救うべく、リヒトは聖騎士団と同等の力を持つ王国騎士を目指す。
そのためにまずはギルドで活躍し、名を挙げる事に。
だが聖堂都市を離れたリヒトは気付いた。
闇に侵されていくこの世界で、闇の属性を操る自分が最強である事に。
魔物の軍勢の最強の一角であったフェンリルも討ち、その亡骸から従魔としてスコルとハティの2体の人語を介する魔物を生み出したリヒト。
昼は王国騎士となるべくギルドで成果を。
夜は闇の仮面で素顔を隠し、自身の生んだ魔物の軍勢によって魔物の統治を進めていった。
いつしかその夜の姿を人々は魔王と謳い恐れる。
そしてリヒトが聖堂都市を離れ、邪神の封印に異変が起こりつつあった。
リヒトの退団によって聖堂都市と聖騎士団の滅亡が静かに。
だが確実に始まっていた────
スルドの声(共鳴) terceira esperança
桜のはなびら
現代文学
日々を楽しく生きる。
望にとって、それはなによりも大切なこと。
大げさな夢も、大それた目標も、無くたって人生の価値が下がるわけではない。
それでも、心の奥に燻る思いには気が付いていた。
向かうべき場所。
到着したい場所。
そこに向かって懸命に突き進んでいる者。
得るべきもの。
手に入れたいもの。
それに向かって必死に手を伸ばしている者。
全部自分の都合じゃん。
全部自分の欲得じゃん。
などと嘯いてはみても、やっぱりそういうひとたちの努力は美しかった。
そういう対象がある者が羨ましかった。
望みを持たない望が、望みを得ていく物語。

プラス的 異世界の過ごし方
seo
ファンタジー
日本で普通に働いていたわたしは、気がつくと異世界のもうすぐ5歳の幼女だった。田舎の山小屋みたいなところに引っ越してきた。そこがおさめる領地らしい。伯爵令嬢らしいのだが、わたしの多少の知識で知る貴族とはかなり違う。あれ、ひょっとして、うちって貧乏なの? まあ、家族が仲良しみたいだし、楽しければいっか。
呑気で細かいことは気にしない、めんどくさがりズボラ女子が、神様から授けられるギフト「+」に助けられながら、楽しんで生活していきます。
乙女ゲーの脇役家族ということには気づかずに……。
#不定期更新 #物語の進み具合のんびり
#カクヨムさんでも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる