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全面戦争 序(五章)

215.王都決戦⑦

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「《手術の瓶》(オペ・フラスコ)の治す力は恐ろしくてな……そこのデカい野郎。少し倒れていてもらおう。」

ミシェルはレイを指さしてそう言った、そして《手術の瓶》にレイの血と、服の裏にまだ隠し持っていた、試験管の中に入っていた紫色の液体を混ぜた。

「混ぜ…させるかっ!」

「おっと、ここでお前が来るか。」

後ろから迫るスノに気が付き、それを避けるようにミシェルが前に移動した。しかし《濃厚な1秒》はかすってしまった。

「!?」

そこで生まれた無限の一秒を使い、スノはミシェルの皮膚を切り刻んだ。
スカッ…しかしスノが斬撃を当てれなかった瞬間、ミシェルはスノの腹に思いっきり回し蹴りを当て、彼女を少し飛ばし、尻を着かせた。

「ここだっ!」

レイは背後を見せたミシェルを貫こうと、槍で突進をした。
ドタドタと足音を立てながら、ミシェルに全速力で近づく。
しかし、ミシェルは…後ろを振り向かずにこう言った。

「また突進、馬鹿の一つ覚えってやつか。」

そうしてミシェルは、右肩の上から《手術の瓶》を出した。そうすれば、さっき作った液がレイの両手に向かって進んでいることが分かる。

バッ!咄嗟に両手を後ろに回し、回避しようとするも、放たれた液は両手を狙ってるホーミングをしており、それが傷口に命中する!

「…治す力かっ!」

「正解、血を入れる時に不純物があれば攻撃になるだろ。」

「クソッ…やられた。」

レイに入れられた紫色の液体。
それは毒であった。即効性のある毒を血管に直接入れられていたので、症状は今まさに酷くなっていた。

「…ゴホッ…。体が…だるい!?」

動かしずらい体となった、その感覚はあまりにも酷い高熱が出た時の体のだるさをさらに酷くしたのもに似ていた。

「安心しろ、2週間もすりゃ治る。……次はあのすばしっこい猿みたいな奴か。」

倒れ込むレイの頭を踏みにじり、ゆっくりとスノの方に首を動かして言った。

「へー、レイさんを倒すとかなかなかやるじゃないですか。」

スノは不敵にニヤつき、ミシェルに目を合わせようとしながら言った。

「お前はそれを言う余裕があるのか?」

「…見抜かれました?」

奴と合わせることが出来ない目の奥にある感情を、ミシェルは見抜きそれをスノに言った。
彼女の方は少しも表情を変えず、余裕を見せて答えた。
しかし、顔には少し汗をかいていた。

「フフッ…負けが見えたか?」

「そんなわけ無いでしょ。なら私は宣言します。ミシェル、あなたのその両手。数週間は使えないと思っていてください。」
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