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全面戦争 序(五章)

212.王都決戦④

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 マーベインは喉を枯らす勢いで叫んだ。
 もちろん俺の叫びはアルスにも聞こえていているはずだ、なら俺は…次の戦線のためにここをできるだけ耐える!
 《守護者の刃》は…ほんの少しだけ開けておく。

 その次の瞬間には、マーベインの真上に裂け目が現れた、そこから何本かのナイフが降ってきた。

「…っぶね。」

 グ…キンッ。マーベインはほんの少しだけナイフが刺さった。
 しかしそれで危機を認識し、全てのナイフに対して《守護者の刃》を発動できた。

 その次には、マーベインの横から裂け目が襲ってきた。
 キンッ。しかし、フロスのハルバードに対して《守護者の刃》を発動し、能力の発動前に潰した。

 少し休憩の時間ができた…。マーベインはその間に思考をめぐらせた。…おそらくヴァングラとミシェルはこの場に居ない。
 …まずはあの《自動戦車》と…銃を乱射する奴から仕留める。

 と、思考した一瞬、大きな裂け目の出入り口が現れた、そこから《自動戦車》が突っ込んできた!
 人を轢き殺しながら、爆弾を発射してくる!

 集中しろ…強めろ!心物の能力と範囲を!

「…スゥー。」

 発射された爆弾、マーベインとの距離は約3m。
 研ぎ澄まされた極度の集中は爆弾の火薬を斬らずに切り落とした。

「嘘だろ…?」

 亜空間からマーベインを見ていたフロスは、あまりの強さに引いた。そして再認識した、俺達はあの化け物を相手にしていたことを。

「…成功だ。」

 マーベインは呟いた。彼を轢き殺す気で全速力向かってくる《自動戦車》を《守護者の刃》を発動し押し返していた。
 そして次の瞬間、砲台に《守護者の刃》をぶち込み、内部で爆弾を爆発させた。

「まずは1人…。」

そして……
ガシャン、ゴゴゴゴゴ…。
何かの岩が移動したような音がした。そして彼が微笑んだ。

「来てくれたかっ!アルス!」
「来たかよ、アルス。」

マーベインとフロスはそれぞれ、別の空間で別の反応をしていた。そして、塞いでいた扉は開き、数多の人々がその扉から脱出した。

「これで邪魔者は居なくなったな。フロス」

そして、空間は裂ける。

「久しぶりの弟との再開だ、黙っとけよ。」

そう言って、彼は自分の部下と共に亜空間に再び入った。
その数秒後…。

「マベさん!だいじょ…」

その瞬間、アルスの足元に空間の裂け目が現れた!
そして、亜空間にて兄弟は再開した。

「よう、弟。」

「兄…貴だよな?」

「そう。お前の兄貴、フロス・ターネストさ。」

再開。そして、兄貴の変化。涙ぐみながら、哀の感情を抑えながらアルスは聞いた。

「なぁ…俺…少し見たんだけど…。フロス…あの人達を全員殺していたよな?…なぁ!なんでなんだよ!?」

「ああ、そうだ。」

「…そんで、なんで俺達の命を狙ってるんだ!?」

そう叫んでいると、フロスがため息をついてこう答えた。

「簡単な理由だ…"お前が嫌いだからだ。"」
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