マインドファイターズ

2キセイセ

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全面戦争 前夜(五章)

195.マーズ村①

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それは約2年前のこと。


「コル、一緒に買い物に行こうか」

そこは小さな小さな村、マーズ村。
そこにあった家の1つ、ラポーネ家は今日もいつも通りの日常を送っていた。

「うん!」

父の誘いに、私は断る理由がないのでそれに乗った。
買い物は小さな村にある少ない娯楽の一つだ、他には風呂にチェスぐらい、チェスは友達の家に行かなきゃならないけど…。

スポーツの大会や、練習場なんてものはこの小さな村には無い。広大な草原はあるけど、私は動くのが嫌い。

買い物も…暇潰しだったりするのかな?

「コル!肉が安いぞ!!」

「…お父さん、そんながっつかないで。なんかやだ。」

「そっ、そうか…すまない…。あっ!玉ねぎ安いなぁ!」

父は安いものに目がない。というか、節約家なんだ。
自炊するし、こうやって安いものを買うし、高級品なんて滅多に買わないし、食べない……。

カーペットやタンスも「まだ使える」なんて言ってとっぱらい、傷を余った布で誤魔化したり…挙句の果てに布で木材が見えなくなった時はさすがに笑った。

「さーって、帰るぞ。…今日は母さんの命日なんだ。早く帰って一緒にいてあげような。」

「うん…。」

今日の夕方ぐらい。馬に轢かれて母さんは天国に行ったらしい。物心着く前からいなかった。

「よーし、焼くぞぉー。」

買ってきた肉を早速串に指して、暖炉で直火焼きにしている父。
実に危なっかしい…とはいっても、この人が家事を失敗する事なんてない。

「じょーずに焼けましたっ!早速食うぞー!!」

外から響く父の声、ドタドタと土煙をあげて玄関を開けここまでくる。近所迷惑になっていないかが少し心配。

「…美味しい!!」

「だろっ」

正真正銘、完璧な焼き加減。その肉は本当に美味しい。
肉汁が口の中で破裂する、歯ごたえはもう最高でふんわりとしている肉なのに何故か噛みごたえはあるこの矛盾!やっぱり肉は最っ高だ!!

目をつぶりそれを堪能する私を見て、父は微笑んだ。

「コルにそう言って貰えたら、お父さんは嬉しい限りだよ。」

と、私の頭を撫でた。父のガシガシとする撫で方は、女子を扱うにはちょっとどうかなと思う力の強さである。だけど、案外悪いものでは無い。
いつも肉体労働で、日に日に腕が太くなっていく父のたくましさを象徴しているようで。

「…明日の畑仕事さ、私もちょっと協力していい?」

「いやいいよ、コルは都会で暮らしたいんだろ?だから、そのための勉強をした方がいいんじゃないか?」

「家、貧乏じゃん?だから都会暮らしは諦めようかなって…。」
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