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探索編(四章)
170.四番隊の拠点③
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「うわぁー。深夜の探索…!幽霊とか出てこないかなぁ…!」
ビビっているようなフリをしているが実際には楽しんでいるであろうナットはそう言って、周りの仲間を見ていた。
「静かに。深夜の探索ですよ?」
ウッキウキで歩いているナットに、スノは注意した。
そうして隠密行動を心がけて歩いていると、レイが言っていたとある場所。隠し部屋のようなものがある所まで来た。
「ここの真下かな?」
「合ってると思う…。自信はないけど…」
ラーラとコルは二人で横に並び、例の場所の確認をしていた。
「ここであってます…。」
二人にスノは目的地に着いたことを言った。
それはどこか寂しそうに、近くの寮の部屋から目を背けていた。その様子を見たナットはすぐさま声をかけた。
「…元気無くなったな。どした?」
「別になんでも。」
「…そうかよ。」
彼は少し置いてから返事をした。レイの話を聞いた彼には直ぐに察せた事であるのに聞いてしまったことを少し後悔した。
隠し部屋に潜入するため、《次元の眼》を使って下調べから始めた。
「あそこから入れてください。」
スノは紙が貼られていた窓を指さした。
あそこの窓は、どうやら割れてしまっているらしい。それをめちゃくちゃ簡易に修理した結果、ああなった。
紙を破りながら、《次元の眼》はその隠し部屋がある部屋まで来た。そしてコルは、心物越しに今、見えている光景を伝えた。
「うーん。一見すれば普通の部屋で…隠し部屋なんて無さそうだけど…」
「隠し部屋だからな。」
「そうなんだよね…。…ん?」
そう、何かを発見したであろうコルは、集中して《次元の眼》を操り、その場所を目を凝らして見た。
何かが違う。肉眼では絶対に見分けられないような、何かの違和感に気がついた。
「…なんかありそうなんだよね。」
コルが必死となってそれを探していたが…
「あっ。」
ナットが足元に何かがあることに気がついてしまった。
下向きにつけられた取っ手のような…。
地面を掘り、足元を調べた。
「みんな。あったわ。」
ナットが調べた結果、取っ手のような何かの近くに木でできた地下室への入口のような場所があった。彼がその取っ手を握り、外した。
下には…何も無かった。
「…はぁ。やっぱり回収されていますか。」
スノは残念そうに、どこか怒りを抱えながら呆れているように言った。そのまま彼女は自分の寮に帰ろうとしていた。
3人はしばらく調査を続けたが、結局は何も無いまま、全て回収されていたようだ。
今日のうちにこのことを、アルス達に知らせなければと思い、彼らは手紙を書いて《次元の眼》でそれを送り飛ばした。
手紙には『ザーダさんの部屋には何も無かった。』と書いて。
ビビっているようなフリをしているが実際には楽しんでいるであろうナットはそう言って、周りの仲間を見ていた。
「静かに。深夜の探索ですよ?」
ウッキウキで歩いているナットに、スノは注意した。
そうして隠密行動を心がけて歩いていると、レイが言っていたとある場所。隠し部屋のようなものがある所まで来た。
「ここの真下かな?」
「合ってると思う…。自信はないけど…」
ラーラとコルは二人で横に並び、例の場所の確認をしていた。
「ここであってます…。」
二人にスノは目的地に着いたことを言った。
それはどこか寂しそうに、近くの寮の部屋から目を背けていた。その様子を見たナットはすぐさま声をかけた。
「…元気無くなったな。どした?」
「別になんでも。」
「…そうかよ。」
彼は少し置いてから返事をした。レイの話を聞いた彼には直ぐに察せた事であるのに聞いてしまったことを少し後悔した。
隠し部屋に潜入するため、《次元の眼》を使って下調べから始めた。
「あそこから入れてください。」
スノは紙が貼られていた窓を指さした。
あそこの窓は、どうやら割れてしまっているらしい。それをめちゃくちゃ簡易に修理した結果、ああなった。
紙を破りながら、《次元の眼》はその隠し部屋がある部屋まで来た。そしてコルは、心物越しに今、見えている光景を伝えた。
「うーん。一見すれば普通の部屋で…隠し部屋なんて無さそうだけど…」
「隠し部屋だからな。」
「そうなんだよね…。…ん?」
そう、何かを発見したであろうコルは、集中して《次元の眼》を操り、その場所を目を凝らして見た。
何かが違う。肉眼では絶対に見分けられないような、何かの違和感に気がついた。
「…なんかありそうなんだよね。」
コルが必死となってそれを探していたが…
「あっ。」
ナットが足元に何かがあることに気がついてしまった。
下向きにつけられた取っ手のような…。
地面を掘り、足元を調べた。
「みんな。あったわ。」
ナットが調べた結果、取っ手のような何かの近くに木でできた地下室への入口のような場所があった。彼がその取っ手を握り、外した。
下には…何も無かった。
「…はぁ。やっぱり回収されていますか。」
スノは残念そうに、どこか怒りを抱えながら呆れているように言った。そのまま彼女は自分の寮に帰ろうとしていた。
3人はしばらく調査を続けたが、結局は何も無いまま、全て回収されていたようだ。
今日のうちにこのことを、アルス達に知らせなければと思い、彼らは手紙を書いて《次元の眼》でそれを送り飛ばした。
手紙には『ザーダさんの部屋には何も無かった。』と書いて。
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