163 / 281
探索編(四章)
163.いざ四番隊へ②
しおりを挟む
馬車は任務を任された我らを連れて走り出した。
いざ、四番隊へ。
しばらく、馬車の中でガタンゴトンと揺れていると、アルスが突然頭を抱え始めた。「うぁぁ…」と悶絶するアルスをレイが心配していた。
「アルス…どうした?」
「いやつまんない事なんですけど…。ナットが羨ましくて…。」
「?」
マーベインはその話を盗み聞きしていた、何故彼がナットを羨ましがっているのか、分からなかった。そして理解するためにアルスをじっと眺めた。
「いや…だってナット…。言っちゃえばハーレムみたいなもんじゃないすか」
「!!」
ナットの班には女性陣が固まっているじゃないかと、レイは気がついた。それと同時に、浮かれてやがるナットの様子が脳裏に刻まれる。
「最適なメンバーだったんだ!恨みごとはなしにしてくれ!」
「わかっていますよ…。でもなんか…なんかねぇ」
言葉の表現に困り、少しもじもじとして悩んでいるアルスの肩をそっと叩き、マーベインはこう言った。
「気持ちは分からんでもない。」
「マベさんも理解してくれますか!?」
「ああ…。所で、"マベさん"というのは俺か?」
「はい、なんかあだ名で呼んじゃまずかったっすか?」
「いや、別に構わない。が、四番隊と居る時はしっかりと敬語を使ってくれよ。目立たせたくないんだ。」
「分かりました!」
と、アルスとマーベインがまさか意気投合するなんて、レイは夢にも思わなかったであろう。つい最近、熾烈な戦闘を繰り広げた2人が、立場を変れば仲良くなっているのは面白いと感じていた。
「レイさん。あんたは部下に恵まれてるな。」
「ああ…お前達含めてな。」
眺めていたレイに対して、マーベインは声をかけた。
大人から見て、純粋無垢な青年は可愛いものであった。
一方その頃…ナットはというと。
「へぇー、スノちゃんも同類なの?」
ラーラはスノの胸あたりをスーッと撫で下ろすように見つめながらそう言った。
「あー、これのこと?あんな脂肪の塊は兵士に必要ありません。生まれた時に削ぎ下ろしてきました。」
「またまたー、本当はどうなのよ?」
…こういう時、俺、ナットという一人の男はどんな反応をすればいいのか分からない。
コルは笑ってその様子を見つめていた。ラーラはそれを見て彼女に突然嫉妬した。スノは至って普通に平然としていた。
俺は必要なのか?会話に入っていい雰囲気なのか…。
内なる俺よ…こんな時…どうすればいいんだ!
『笑えばいいと思うよ』
突然、ナットの中に語りかけてきたもう1人の自分の声!
そうか、そうだな!笑顔って…自分も人も幸せになる魔法だもんな!
ニコッと俺は全力で笑ってみた。
「ええっ…聞いて笑顔になったんですか…。」
スノはドン引いた。世の中とは本当に理不尽だ。
いざ、四番隊へ。
しばらく、馬車の中でガタンゴトンと揺れていると、アルスが突然頭を抱え始めた。「うぁぁ…」と悶絶するアルスをレイが心配していた。
「アルス…どうした?」
「いやつまんない事なんですけど…。ナットが羨ましくて…。」
「?」
マーベインはその話を盗み聞きしていた、何故彼がナットを羨ましがっているのか、分からなかった。そして理解するためにアルスをじっと眺めた。
「いや…だってナット…。言っちゃえばハーレムみたいなもんじゃないすか」
「!!」
ナットの班には女性陣が固まっているじゃないかと、レイは気がついた。それと同時に、浮かれてやがるナットの様子が脳裏に刻まれる。
「最適なメンバーだったんだ!恨みごとはなしにしてくれ!」
「わかっていますよ…。でもなんか…なんかねぇ」
言葉の表現に困り、少しもじもじとして悩んでいるアルスの肩をそっと叩き、マーベインはこう言った。
「気持ちは分からんでもない。」
「マベさんも理解してくれますか!?」
「ああ…。所で、"マベさん"というのは俺か?」
「はい、なんかあだ名で呼んじゃまずかったっすか?」
「いや、別に構わない。が、四番隊と居る時はしっかりと敬語を使ってくれよ。目立たせたくないんだ。」
「分かりました!」
と、アルスとマーベインがまさか意気投合するなんて、レイは夢にも思わなかったであろう。つい最近、熾烈な戦闘を繰り広げた2人が、立場を変れば仲良くなっているのは面白いと感じていた。
「レイさん。あんたは部下に恵まれてるな。」
「ああ…お前達含めてな。」
眺めていたレイに対して、マーベインは声をかけた。
大人から見て、純粋無垢な青年は可愛いものであった。
一方その頃…ナットはというと。
「へぇー、スノちゃんも同類なの?」
ラーラはスノの胸あたりをスーッと撫で下ろすように見つめながらそう言った。
「あー、これのこと?あんな脂肪の塊は兵士に必要ありません。生まれた時に削ぎ下ろしてきました。」
「またまたー、本当はどうなのよ?」
…こういう時、俺、ナットという一人の男はどんな反応をすればいいのか分からない。
コルは笑ってその様子を見つめていた。ラーラはそれを見て彼女に突然嫉妬した。スノは至って普通に平然としていた。
俺は必要なのか?会話に入っていい雰囲気なのか…。
内なる俺よ…こんな時…どうすればいいんだ!
『笑えばいいと思うよ』
突然、ナットの中に語りかけてきたもう1人の自分の声!
そうか、そうだな!笑顔って…自分も人も幸せになる魔法だもんな!
ニコッと俺は全力で笑ってみた。
「ええっ…聞いて笑顔になったんですか…。」
スノはドン引いた。世の中とは本当に理不尽だ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

きっと、君は知らない
mahiro
BL
前世、というのだろうか。
俺は前、日本という国で暮らしていて、あの日は中学時代にお世話になった先輩の結婚式に参列していた。
大人になった先輩と綺麗な女性の幸せそうな姿に胸を痛めながら見つめていると二人の間に産まれたという女の子がひとりで車道に向かい歩いている姿が目に入った。
皆が主役の二人に夢中で子供の存在に気付いておらず、俺は慌ててその子供のもとへと向かった。
あと少しで追い付くというタイミングで大型の車がこちらに向かってくるのが見え、慌ててその子供の手を掴み、彼らのいる方へと突き飛ばした。
次の瞬間、俺は驚く先輩の目と合ったような気がするが、俺の意識はそこで途絶えてしまった。
次に目が覚めたのは見知らぬ世界で、聞いたことのない言葉が行き交っていた。
それから暫く様子を見ていたが、どうやら俺は異世界に転生したらしく………?
芽吹と息吹~生き別れ三十路兄と私のつぎはぎな数か月間~
森原すみれ@薬膳おおかみ①②③刊行
ライト文芸
──ふわふわ浮き草系の三十路兄と、生真面目女子高生。
つぎはぎだらけの家族が紡ぐ、ほろ苦くもきらきらと光瞬く青春と家族愛の物語──
両親の海外赴任を機に一人暮らしをする予定だった高校生・来宮芽吹のもとに、生き別れの兄を名乗る息吹が現れた。
妹への愛を隠そうとしない、ふわふわ浮世離れした三十路の兄のふるまいに、芽吹は早々に振り回される。
さらには芽吹の高校の購買のお兄さんとして、息吹の就職が決まって…。
妹愛が重すぎる兄と、生真面目な妹、彼らを取り巻く高校を舞台にしたほろ苦いハートフルストーリー。
※小説家になろう、ノベマ!、魔法のiらんどに同作掲載しています。
だから聖女はいなくなった
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
「聖女ラティアーナよ。君との婚約を破棄することをここに宣言する」
レオンクル王国の王太子であるキンバリーが婚約破棄を告げた相手は聖女ラティアーナである。
彼女はその婚約破棄を黙って受け入れた。さらに彼女は、新たにキンバリーと婚約したアイニスに聖女の証である首飾りを手渡すと姿を消した。
だが、ラティアーナがいなくなってから彼女のありがたみに気づいたキンバリーだが、すでにその姿はどこにもない。
キンバリーの弟であるサディアスが、兄のためにもラティアーナを探し始める。だが、彼女を探していくうちに、なぜ彼女がキンバリーとの婚約破棄を受け入れ、聖女という地位を退いたのかの理由を知る――。
※7万字程度の中編です。
フェンリルさんちの末っ子は人間でした ~神獣に転生した少年の雪原を駆ける狼スローライフ~
空色蜻蛉
ファンタジー
真白山脈に棲むフェンリル三兄弟、末っ子ゼフィリアは元人間である。
どうでもいいことで山が消し飛ぶ大喧嘩を始める兄二匹を「兄たん大好き!」幼児メロメロ作戦で仲裁したり、たまに襲撃してくる神獣ハンターは、人間時代につちかった得意の剣舞で撃退したり。
そう、最強は末っ子ゼフィなのであった。知らないのは本狼ばかりなり。
ブラコンの兄に溺愛され、自由気ままに雪原を駆ける日々を過ごす中、ゼフィは人間時代に負った心の傷を少しずつ癒していく。
スノードームを覗きこむような輝く氷雪の物語をお届けします。
※今回はバトル成分やシリアスは少なめ。ほのぼの明るい話で、主人公がひたすら可愛いです!

外れスキル「両替」が使えないとスラムに追い出された俺が、異世界召喚少女とボーイミーツガールして世界を広げながら強くなる話
あけちともあき
ファンタジー
「あたしの能力は運命の女。関わった者に世界を変えられる運命と宿命を授けるの」
能力者養成孤児院から、両替スキルはダメだと追い出され、スラム暮らしをする少年ウーサー。
冴えない彼の元に、異世界召喚された少女ミスティが現れる。
彼女は追っ手に追われており、彼女を助けたウーサーはミスティと行動をともにすることになる。
ミスティを巡って巻き起こる騒動、事件、戦争。
彼女は深く関わった人間に、世界の運命を変えるほどの力を与えると言われている能力者だったのだ。
それはそれとして、ウーサーとミスティの楽しい日常。
近づく心の距離と、スラムでは知れなかった世の中の姿と仕組み。
楽しい毎日の中、ミスティの助けを受けて成長を始めるウーサーの両替スキル。
やがて超絶強くなるが、今はミスティを守りながら、日々を楽しく過ごすことが最も大事なのだ。
いつか、運命も宿命もぶっ飛ばせるようになる。
そういう前向きな物語。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

裏切者には神罰を
夜桜
恋愛
幸せな生活は途端に終わりを告げた。
辺境伯令嬢フィリス・クラインは毒殺、暗殺、撲殺、絞殺、刺殺――あらゆる方法で婚約者の伯爵ハンスから命を狙われた。
けれど、フィリスは全てをある能力で神回避していた。
あまりの殺意に復讐を決め、ハンスを逆に地獄へ送る。
お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する
大福金
ファンタジー
次世代ファンタジーカップ【ユニークキャラクター賞】受賞作
《あらすじ》
この世界では12歳になると、自分に合ったジョブが決まる。これは神からのギフトとされこの時に人生が決まる。
皆、華やかなジョブを希望するが何に成るかは神次第なのだ。
そんな中俺はジョブを決める12歳の洗礼式で【魔物使い】テイマーになった。
花形のジョブではないが動物は好きだし俺は魔物使いと言うジョブを気にいっていた。
ジョブが決まれば12歳から修行にでる。15歳になるとこのジョブでお金を稼ぐ事もできるし。冒険者登録をして世界を旅しながらお金を稼ぐ事もできる。
この時俺はまだ見ぬ未来に期待していた。
だが俺は……一年たっても二年たっても一匹もテイム出来なかった。
犬や猫、底辺魔物のスライムやゴブリンでさえテイム出来ない。
俺のジョブは本当に魔物使いなのか疑うほどに。
こんな俺でも同郷のデュークが冒険者パーティー【深緑の牙】に仲間に入れてくれた。
俺はメンバーの為に必死に頑張った。
なのに……あんな形で俺を追放なんて‼︎
そんな無能な俺が後に……
SSSランクのフェンリルをテイム(使役)し無双する
主人公ティーゴの活躍とは裏腹に
深緑の牙はどんどん転落して行く……
基本ほのぼのです。可愛いもふもふフェンリルを愛でます。
たまに人の為にもふもふ無双します。
ざまぁ後は可愛いもふもふ達とのんびり旅をして行きます。
もふもふ仲間はどんどん増えて行きます。可愛いもふもふ仲間達をティーゴはドンドン無自覚にタラシこんでいきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる