マインドファイターズ

2キセイセ

文字の大きさ
上 下
146 / 281
追求編(四章)

147.我が家

しおりを挟む
そんな目的が…と、この場にいた全員が思った。
しかし同情や、哀れみの心では無い。ただただ歪んでいて気持ち悪い目的だと感じた。

そこから3時間ぐらいユーグワの教会を探し始めた。
終わった頃には教会は荒れに荒れまくり、ゴミ屋敷と大差ないほどとなっていた。

「……ふぁぁ。…なんか散らかってる場所で寝ちゃってたわ。」

その頃にはコルが目覚めていた。そして階段をおりて2階にいた全員にそう挨拶をした。
腹を抱えてこちらに近づくコルをラーラが心配した。

「腹大丈夫?」

「大丈夫と聞かれたら…大丈夫では無いけど何とかいける。」

「そう、それなら良かったわ。」

そうした2人の会話に割り込むように、ボスが1つ提案をした。

「コルも目覚めたし、帰るか。で、スノはどうするんだ?」

「私は、マーベインにこの件を報告しなければならないので、1度王都に戻ります。では。」

スノはそう言って、アルス達に後頭部を向けた。
しばらく歩いたあと、こちらを振り向き手を振った。もちろん、アルス達は振り返した。

その後、レイはユーグワの教会にあった地図を開き、現在地を確認したあと、先頭に立ち歩き始めた。
スノとアルス達は別々に歩き始めた。その間にある太陽が二手の道を示していた。

しばらく歩いていると、ムードメーカーナットがいつも通りの話を始めた。

「さっ、やっと我が家に帰れる。…兵士が居ないといいけど。いたらボス頼むぜー!」

「撃退はお前も手伝えよ?」

「へいへーい。…アルス、頑張ろうな!」

「道ずれにすんじゃねぇ!やるとしても後衛な」

「いやいやー。後衛はラーラとコルでもう揃ってんだ。能力的に俺達が前衛じゃーないとねぇー。」

「そもそも兵士がいるかも分からんのによ…。」

「確かになっ!」

2人はそう言って最後列で楽しく話していた。
その様子は他の仲間にも見られており、会話を交えながらひっそりと微笑まれていた。その会話はラーラから始まっていた。

「あの二人、特に仲良いよね。」

「ナットも同年代の同性の友達が出来て嬉しいんじゃないか?アルス以外だと、好みのタイプとかの異性関連の話はしにくいだろうしな。」

「別に…私達にそんな気遣いはいらないけどね…。」

「そうじゃないの。どうしても話しにくいものがあるの。」

「…へぇー。」

そう言いあって、長いのか短いのか分からない移動時間を過ごしていた。そうして、もうすぐ溜まり場までと言うところ。

「レイ、ここ右だからな。」

「もうよそ見はしていない。だから道を間違える訳がない」

「それ左だぞ。」

「…アルス、 ごめん。」

ここを右に曲がり、そこに待ち受けていたのは疲労した我らを抱き抱えて優しく受け入れてくれるような我が家であった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

聖女の孫だけど冒険者になるよ!

春野こもも
ファンタジー
森の奥で元聖女の祖母と暮らすセシルは幼い頃から剣と魔法を教え込まれる。それに加えて彼女は精霊の力を使いこなすことができた。 12才にった彼女は生き別れた祖父を探すために旅立つ。そして冒険者となりその能力を生かしてギルドの依頼を難なくこなしていく。 ある依頼でセシルの前に現れた黒髪の青年は非常に高い戦闘力を持っていた。なんと彼は勇者とともに召喚された異世界人だった。そして2人はチームを組むことになる。 基本冒険ファンタジーですが終盤恋愛要素が入ってきます。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

強奪系触手おじさん

兎屋亀吉
ファンタジー
【肉棒術】という卑猥なスキルを授かってしまったゆえに皆の笑い者として40年間生きてきたおじさんは、ある日ダンジョンで気持ち悪い触手を拾う。後に【神の触腕】という寄生型の神器だと判明するそれは、その気持ち悪い見た目に反してとんでもない力を秘めていた。

子育てが落ち着いた20年目の結婚記念日……「離縁よ!離縁!」私は屋敷を飛び出しました。

さくしゃ
恋愛
アーリントン王国の片隅にあるバーンズ男爵領では、6人の子育てが落ち着いた領主夫人のエミリアと領主のヴァーンズは20回目の結婚記念日を迎えていた。 忙しい子育てと政務にすれ違いの生活を送っていた二人は、久しぶりに二人だけで食事をすることに。 「はぁ……盛り上がりすぎて7人目なんて言われたらどうしよう……いいえ!いっそのことあと5人くらい!」 気合いを入れるエミリアは侍女の案内でヴァーンズが待つ食堂へ。しかし、 「信じられない!離縁よ!離縁!」 深夜2時、エミリアは怒りを露わに屋敷を飛び出していった。自室に「実家へ帰らせていただきます!」という書き置きを残して。 結婚20年目にして離婚の危機……果たしてその結末は!?

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ

さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。 内容がどんどんかけ離れていくので… ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ ありきたりな転生ものの予定です。 主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。 一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。 まっ、なんとかなるっしょ。

愚かな者たちは国を滅ぼす【完結】

春の小径
ファンタジー
婚約破棄から始まる国の崩壊 『知らなかったから許される』なんて思わないでください。 それ自体、罪ですよ。 ⭐︎他社でも公開します

処理中です...