マインドファイターズ

2キセイセ

文字の大きさ
上 下
145 / 281
追求編(四章)

146.心物について

しおりを挟む
「どれどれ」

全員が、その本を見れる状況になれば、アルスは手が伸びるように1ページめくった。

『筆記 ユーグワ
①物理法則を無視し、常識ではありえない性質を持った物質があった。その物質は朝起きた時や、家に帰った時などに、突然、誰かの前に現れる。

それが現れ、それの所有者となった人がその物質を捨てたとしても、気がついたら近くにある。その所有者の体の一部のようなものがあった。

②その物質は、それぞれ形、姿や物質の持つ力が違えど必ず我々が知っている道具の形になった。

③所有者は意のままにその物質の力を操ることができた、力を使う歳にはそれぞれの条件があったが、共通していたのは、最終的に心の中でその力を使いたいと願う事であった。

(例外として、所有者が、物心が着いていない幼子などの、考えるという行動が出来ない場合、その所有者の最も親しい人が一時的に所有者となる。)

我々は上記の特徴を元に、その物質を"心物"と名付けた。』

誰もが無言で集中して読む中、アルスは次のページをめくった。

『ここで疑問に思うのが、所有者が何かしらの原因でいなくなってしまった場合だ。その場合の心物は2通りの末路を辿る。

1つ目は、"新しい所有者を見つける場合"。その人を見つけ、前のページで書いたようなことが前の所有者から新たな所有者に移る。新しい所有者になる条件は、心物の所有者で無いことと、前の所有者と非常に親しい関係にあることだ。
ここで言う親しい関係とは、親子や恋人程の関係である。

2つ目は、"石化する場合"。新しい所有者に当たるような人がいなかった場合と、新しい所有者に当たる人がいても、普通に石化する場合がある。心物は自ら石化する。心物が石化した物質の特徴は、それを何人足りとも傷をつけることが出来ないこと。』

そうして、少し頭が痛くなってきた頃、アルスは次のページをめくった。

『さて、心物が石化した物質は、ラバス像を作った物質と同じであった。そして、心物が発生し始めたのはラバス像が倒壊した2年前である。そのことから、心物の正体はラバス像なのではと考察した。そして、それを決定づけた証拠がある。

ある時、心物が石化した物質同士がぶつかり合ったのだ。その2つの物質はくっついて、私が何をしても離れなかった。そしてそれをよく観察すればある事実がわかった。"ラバス像の右足の親指の形になっていたのだ"

だから、私はラバス像を再建するために、心物の所有者をひたすらに殺し続け石化させて、心物を奪うことを決意した。』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~

にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。 その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。 そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。 『悠々自適にぶらり旅』 を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。

さよなら、メアリー。

三毛猫
恋愛
お互いが公認で複数の恋人を持つ=「ポリアモリー」の雪都(ゆきと)。 彼と彼の恋人達の複雑に絡み合う人間関係。 本当の‘愛’、正しい‘愛’のカタチとは…?

異世界転生漫遊記

しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は 体を壊し亡くなってしまった。 それを哀れんだ神の手によって 主人公は異世界に転生することに 前世の失敗を繰り返さないように 今度は自由に楽しく生きていこうと 決める 主人公が転生した世界は 魔物が闊歩する世界! それを知った主人公は幼い頃から 努力し続け、剣と魔法を習得する! 初めての作品です! よろしくお願いします! 感想よろしくお願いします!

ブチ切れ世界樹さんと、のんびり迷宮主さん

月猫
ファンタジー
異世界へ拉致された主人公。目が覚めた先はボロボロの世界樹の中だった?! 迷宮の主となった主人公は、ダンジョンの能力【創造】により全く新しい”モノ”を世界に作り出し、現状の打破に挑む。 新しい魔物を創ったり、予想外な成長に困惑したり。 世界樹の愚痴を聞いたり、なだめたり。 世界樹のため、世界のため、世界樹の治療と環境改善を目指し、迷宮はどんどん大きくなる。そんなお話。 始めは少々危険な場面がありますが、ダンジョンが成長してからはその様な場面は少なくなり、周りの生物の方がダンジョンに抗う感じになります。 俺TUEEEならぬ、ダンジョンTUEEEもの。チート能力ならぬ、チートダンジョンの予定。 (チート能力者が居無いとは言っていない) 初投稿です。山なし谷なし作品ですが、暖かい目でみてください。 異世界なのだから、元の世界の常識が当てはまらなくても、おかしくないのでは? をコンセプトに、スキルやら魔法やらの仕組みを表現できたらと思っています。 ※「小説家になろう」にも掲載 ※ストックが切れたら、更新が遅くなると思います、ご容赦下さい

愚者による愚行と愚策の結果……《完結》

アーエル
ファンタジー
その愚者は無知だった。 それが転落の始まり……ではなかった。 本当の愚者は誰だったのか。 誰を相手にしていたのか。 後悔は……してもし足りない。 全13話 ‪☆他社でも公開します

物語なんかじゃない

mahiro
BL
あの日、俺は知った。 俺は彼等に良いように使われ、用が済んだら捨てられる存在であると。 それから数百年後。 俺は転生し、ひとり旅に出ていた。 あてもなくただ、村を点々とする毎日であったのだが、とある人物に遭遇しその日々が変わることとなり………?

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

処理中です...