マインドファイターズ

2キセイセ

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追求編(四章)

144.教会にて②

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「いや、拒絶反応が出るのは分かるが…悪いことばかりじゃないかもしれんぞ?」

一旦引いた後、レイは首を傾げてそう言った。
まったく言っている意味がわからなかったので、スノはそれについて聞いた。

「なぜ?」

「ユーグワと会った時は心物を持っている奴を殺して、それを回収してそうな様子だったんだ。」

それをスノが耳にした瞬間。スノはパンッ!と手を叩いて、名探偵のように確信と自信を持って、指を指しながらこう言った。

「心物の謎を探れる、ですか?」

「…まあ、そういうことだ。」

口角が上がり、自分に集中線が当たっていると思っていそうなスノが言ったことに、反応に困ってしまったレイがそう返した。

「そうと決まればさっさと調べましょう。行きますよ」

「いやその前にナット達の様子を…」

「そうでしたね。失礼しました。」

なんだコイツ。とちょっとレイが思いながら、ナット達の様子を見に行った。彼が寝ている部屋のドアを開ければ…。

「…目覚めてない。息はある。」

入ってきたレイに気が付き、アルスはそう言った。
暗い雰囲気が開けたドアからレイに伝わる。

「うん、みんなが目覚めるまではここに居るべきじゃない?」

「そうだな。」 

ラーラの提案を秒で了承したレイは、次にスノへ話したことをアルス達にも話した。

「ちなみにだが、ここはユーグワの教会だ。隅々まで調べればあいつの心物に固執する理由…もとい、心物の謎が明らかになると思ってこれから調べようと思う。着いてくるか?」

「もっちろん、気になってるからね」

立ち上がって、レイに近ずきながらラーラはそう言った。
それに続いてアルスも立ち上がり、ラーラの後を付いて行った。

「じゃあ行くぞ。」

レイはそう言い放ち、ドアを開けずにここ2階から階段をおりて、ユーグワの教会を隅々まで調べた。鍵のかかった部屋はアルスが《避役の長棒》を使って合鍵を作っていた。

「…なんかうるさくね?」

ドアを蹴っているような…刺されているような…レイ達が何かを探している間にドンドンと音がしている。

「……スノ?」

「あっ、アルス。ここユーグワの私室っぽいですよ?」

「だからと言って…なんかドアがもうすぐ破れそうなんですが…?」

「苦戦してしまいました。」

もう鍵穴もぶっ壊れており、完全に開かなくなったドアを見て、アルスは無言で《避役の長棒》をバール状にしてスノに渡した。スノはそれを受け取り、礼をした後に、ドアに向かってそれをぶん回した。

バァッン!とドアが破れて倒れた。その奥には…丁重に保管された"石"があった。
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