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逃走編(三章)
131.謎の部屋
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暗い。朝になるまで十分に寝たはずだ、太陽の下で光を浴びているはずなんだ。何故か目を開けたとしても真っ暗なんだ。
ナットとコルはまだ寝ている。
夢か…?
そう思い手足を動かしてみる。しかし、手が空気を触る感覚もあれば、足にも質の良いベッドの軟らかさを感じれている。
夢ではないようだ。
ここはどこか、少し考えていると、右側にあるドアが開いたような音がした。そこからヒタヒタと裸足で歩いている音が聞こえた。
「…あっ、起きてたんですね」
ドアから入ってきた人はダウナーな声でそう言った。
その人は松明を持ち、目を覚ましたアルスを照らしていた。
「!?」
バッと後ろを振り向き、その人の正体を探った。
松明を持っていたのは平均と比べても低身長、そして堂顔…パッと見15歳ぐらいの白髪ボブの少女であった。
「奥の部屋でお話しましょう。」
そう言って、アルスはどこかに案内された。
着いた部屋は、また暗く、全ての灯りが意図的に消されているようであった。
アルスはそこにあった椅子に腰掛けた。
「えっと…お話というのは?」
「単刀直入に申し上げます。貴方達を保護しに来ました」
「…はい?」
突然の話だ。アルスは頭が真っ白となり、しばらく困惑していた。アルスの脳内時間で5秒ぐらいが経過した頃だろう。整理をするために彼女にこう質問した。
「具体的にどの辺が…?」
「まず、貴方捕まりましたよね?これに関して個人で調べていたのですが、どうやらかなり無茶苦茶な理由で捕まって死にかけたんですね。」
「まぁ、大体そんな感じです。」
と、アルスが相槌を返すと、その少女は少し早口になりながら続けてこう言った。
「となれば、私自身、自分の正義を貫けと教わったものなので、こちらで貴方達を保護させてもらいました。」
「いやいやいやいや!誘拐だろ!」
あまりの身勝手な行動にアルスは咄嗟に正論をぶちかました。
しかし、数秒後にはそれが正論では無いことに気がついた。
「嫌なら出て行ってもらってもいいのですが…外見ます?」
言われるがまま、アルスが窓のカーテンを空け、外を覗いてみると、そこには鎧を着た兵士がうじゃうじゃと誰かを探している様子であった。
壁に貼り付けられている指名手配のポスターには、前の犯罪者と変わってアルスの顔が貼り付けられている。
そして、急いでカーテンを閉めた。
「いやほんとにありがとうございます。」
「分かればいいんですよ。」
と、勝ち誇ったようなドヤ顔で少女は言った。少し愛おしい。
その顔をアルスがまじまじ見ていると、その少女の正体に気がついた。
「なぁ……あんたってまさか。4番隊副隊長の"スノ"って人?」
「バレましたか」
「声でわかるわ!」
ナットとコルはまだ寝ている。
夢か…?
そう思い手足を動かしてみる。しかし、手が空気を触る感覚もあれば、足にも質の良いベッドの軟らかさを感じれている。
夢ではないようだ。
ここはどこか、少し考えていると、右側にあるドアが開いたような音がした。そこからヒタヒタと裸足で歩いている音が聞こえた。
「…あっ、起きてたんですね」
ドアから入ってきた人はダウナーな声でそう言った。
その人は松明を持ち、目を覚ましたアルスを照らしていた。
「!?」
バッと後ろを振り向き、その人の正体を探った。
松明を持っていたのは平均と比べても低身長、そして堂顔…パッと見15歳ぐらいの白髪ボブの少女であった。
「奥の部屋でお話しましょう。」
そう言って、アルスはどこかに案内された。
着いた部屋は、また暗く、全ての灯りが意図的に消されているようであった。
アルスはそこにあった椅子に腰掛けた。
「えっと…お話というのは?」
「単刀直入に申し上げます。貴方達を保護しに来ました」
「…はい?」
突然の話だ。アルスは頭が真っ白となり、しばらく困惑していた。アルスの脳内時間で5秒ぐらいが経過した頃だろう。整理をするために彼女にこう質問した。
「具体的にどの辺が…?」
「まず、貴方捕まりましたよね?これに関して個人で調べていたのですが、どうやらかなり無茶苦茶な理由で捕まって死にかけたんですね。」
「まぁ、大体そんな感じです。」
と、アルスが相槌を返すと、その少女は少し早口になりながら続けてこう言った。
「となれば、私自身、自分の正義を貫けと教わったものなので、こちらで貴方達を保護させてもらいました。」
「いやいやいやいや!誘拐だろ!」
あまりの身勝手な行動にアルスは咄嗟に正論をぶちかました。
しかし、数秒後にはそれが正論では無いことに気がついた。
「嫌なら出て行ってもらってもいいのですが…外見ます?」
言われるがまま、アルスが窓のカーテンを空け、外を覗いてみると、そこには鎧を着た兵士がうじゃうじゃと誰かを探している様子であった。
壁に貼り付けられている指名手配のポスターには、前の犯罪者と変わってアルスの顔が貼り付けられている。
そして、急いでカーテンを閉めた。
「いやほんとにありがとうございます。」
「分かればいいんですよ。」
と、勝ち誇ったようなドヤ顔で少女は言った。少し愛おしい。
その顔をアルスがまじまじ見ていると、その少女の正体に気がついた。
「なぁ……あんたってまさか。4番隊副隊長の"スノ"って人?」
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「声でわかるわ!」
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