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2キセイセ

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逃走編(三章)

129.生きる日々③

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「調理に1人、掃除に2人!OK!?」

アルス達は今日休んだ社員達の制服を借りて、今日のバイトの場所を伝えられた。それをしっかりと聞いたナットはアルス達を近くに呼んだ。

「はーい、どうします?」

「…料理無理です」

「はいコル掃除ね、アルスはどうするんだ?」

「昔はどうだっか知らないけど、今は何にもつくれない」

「記憶喪失ってレシピも忘れるもんなのか…。アルスも掃除ね」

そう、3人纏まって相談をして仕事の場所を伝えた。そして、それぞれの仕事場所に案内された。

……ナットはしっかりと仕事をしていた。私語はあったが。
しかし、コルとアルスは仕事どころではなかった。それよりも重大なことを話し合っていたのだ。

「さーて、あいつらをどう救出するかだ。とりあえず侵入から考えよう。」

「うん。」

アルスとコルは何個か案を出し合った。
ハシゴを使い壁を乗り越えるもの、兵士のフリをして普通に潜入するもの、正面突破するもの。何個かあったが、どれも欠陥が見付かってしまった。

「正直…マーベイン舐めてる?」

「…うん」

「あいつは怖い…。今まで戦った中で一番追い詰められたかも。」

「…ええ」

と、コルは引いた様子であった。
次の案からはマーベインをいかに避けるかというところを重点的に置いた。

「実力は分からないけど…副隊長のスノもいるんだ。変わった方法でやらなければ」

「考えている暇あるのかな…私達も危険だよね…。」

「そうなんだよなぁ~もう新聞載ってるみたいだし」

現状を2人で共有しながら、作戦を考えていた。
しかし、どうにも思いつきそうになかった。
結局は、今日は逮捕されないように気をつけるとだけ意識するようになった。

そうして、しっかり掃除をしていると今日の仕事が終わり、帰る時間となった。

「はい、おつかれさん。夜道は気おつけるんだよ」

「はい」

と、宿屋の主人は働いた分のお金を渡し、玄関まで見送ってくれた。お金は節約して1週間は生きていけそうなほどの大金であった。

ナットはそのお金を手で浮かし続けながら、こう呟いた。

「いやー、こんだけ手に入れれば十分ってもんよ。さて、あいつらを世に解き放たないと。」

「悪い言い方だね…」

「なーに、悪いことは言っちゃいねえ。他人を見極めるのは印象だ。それは親しければ親しいほど解像度が上がるだけ。赤の他人の印象が誰かに操作されてしまえば黒が白に、白が黒になるってもん。だからーー」

「ちょっといいかな?」

と、珍しくナットがいい感じのことを言った。
そして次の「だから…」までを言いかけたタイミングで兵士に話しかけられてしまった。







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