マインドファイターズ

2キセイセ

文字の大きさ
上 下
124 / 281
牢獄編(三章)

124.最善策の悪逆無道③

しおりを挟む
ユーグワとアルスは階段を駆け上がって大きな部屋に着いた
しかし、そこは兵士が寝泊まりしている部屋であった。

「武具は装備できない…逃げるなら早めに行くぞ!」

アルスはユーグワに声かけをした後、すぐさま大部屋を駆け回った。ユーグワもそれに続き、周りを警戒しながら走った。

「逃げるんじゃねぇ!!」

正面にいる兵士がこっちへ向かってきた。
鬼の形相でタックルをかましている兵士の圧はアルスを一瞬、怯ませた。

それに続き、何人かがこちらに向かってきた。

「すまねぇ!こっちも死にたくないんだ!」

そうアルスは叫んで、《避役の長棒》で棍棒を作り、それで兵士の頭を叩こうとした。…しかし

キンッ、とその棍棒は弾かれてしまった。

「貴様…。部下にまで…。お前ら!俺が護るから突っ込め!」

マーベインはこちらまで追いながら、そう叫んだ。
兵士達はその命令に対し、士気が上がって喜びながら、速度を上げてこちらに突っ込んだ。

「これは天罰。今のうちに受けときなァ!」

そう言いながら、ユーグワは目の前の兵士をぶん殴ろうとした。しかし…突然その腕が弾かれると共に、浅い切り傷が出来てしまった。

「…おいマーベイン。お前の能力が分かったわ…。自分の身…もしくは他人の身に危機が迫れば、その危機を与えているものを斬撃で弾くんだろォ?」

そう聞かれたマーベインは、ほうと1つ呟やき、だからどうしたと言わんばかりの気迫で、変わらずこちらに迫ってくる。

「なるほど…そんな能力が」

「気づいていなかったのか…。てっきり分かっていると思ってたぜェ。」

ユーグワの言葉を盗み聞きしていたアルスは、聞き終わり呟いた。それに対してユーグワが、彼を小馬鹿にするような半笑いでそう言った。

そう言っている暇にも兵士は、2人を囲んでいる。
そんな中、アルスは策を思いついた。

「ユーグワ!こっち来い!」

半ば強引に、ユーグワの手を引き、自分の元に近ずけた。
ユーグワは「やめろォォォ!近すぎんだよ!」と反射的に少し抵抗していたが、近づいてくれた。

「飛ぶぞ!」

「!?」

アルスは《避役の長棒》を地面に置き、ユーグワと密着したあとそう言った。突然の出来事で把握に困っていたが、ユーグワは一旦言われるとおりにした。

「せーのっ!」

と、言う合図と共に2人は同時に飛んだ。
その瞬間、《避役の長棒》が平らな床となり、机のような形となった。その後、机の足が伸び続け、かなりの高さとなった。

「落ちんぞ!」

と言って、アルスとユーグワは同時に兵士の上を飛び込えた。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

処理中です...