123 / 281
牢獄編(三章)
123.最善策の悪逆無道②
しおりを挟む
「おい!今は逃げることだけを考えとけ!」
「指図すんなよ阿呆がッ!」
ユーグワは、助けてくれたはずのアルスに向かって、がなりを効かせた声で返事をした。
「馬鹿同士言い合ってろ。その選択は死刑が早まるだけの結果なんだからな」
少し2人がお互いをいまいましそうに見ていると、奥からマーベインは近づいて来てそう言った。
《守護者の刃》を横に一振すれば、風を切る音が印象深く耳に残る。
その音を合図に感覚を研ぎ澄まし始めたユーグワは、アルスに言った。
「チッ…無駄に時間を使えねェな」
「はなから使う気は無いがな!」
そう言った瞬間、ユーグワは《新たな炎》で鉄の炎を作って、それを火球にしてマーベインの顔面に発射した。
キンッ。しかし、前と同じように弾き落とされてしまう、が、視界を奪えていた。
その隙にアルスは《避役の長棒》で壁を作っていたのだ。
「うしっ!こっから一直線、全力で逃げるぞ!」
アルスはそう、嫌そうな顔でユーグワに伝えた。
こいつが逃げるのはしょうがないと割り切れたのか、次の瞬間には嫌な顔が消えていた。
ここのブロックを抜けると、次は廊下に出た。
どこでもいいから、端を目指したい。ハシゴを作ってそれでよじ登れるから。
その廊下をしばらく進んでいると、階段があった。
「上を目指すぞ、この牢獄の地下にいる限りは逃げれねェ!」
そうユーグワがアルスに伝えた、そして2人は爆速で階段を駆け上がっていく。
「いたぞーー!!」
しかし、方向転換の瞬間。見回りに来ていた兵士に見つかった。
「あばよ!」
アルスはそう言って、《避役の長棒》で黒い布を作った。
そしてそれを、甲冑の顔全体にそれを覆った。
そうして、次の階まで駆け上がっていく。
現在2階、ここにはこの牢獄で働いている人達の寮や休憩所のような場所になっている。だから、最も兵士が多い場所だ。
そう、寝ている兵士達や夜遅くまでくつろいでいる兵士が居る。アルスはバレなようにユーグワに耳打ちをした。
「静かに出口を探せ、鍵は作れるから!」
ユーグワは何かを考えていそうな様子であったが、アルスは容赦なく話しかけた。返事はかえってこない。
「……心物っていうのは、誰にも見られたりしていない場合。持ち主の近くに戻るんだろォ?」
「ああ、なんか現れているやつね。それがどうした?」
「…お前の心物をマーベインが見ていないってことだなァ」
「追ってきてるのか!!」
「その通り、悠長にしてらないってことだ。」
ユーグワがそう言った瞬間だった。
階段から来る足音に気がついたのは。奴が来た…マーベインだ。
「残念…ハズレの部屋に入ってしまったようだな。」
「指図すんなよ阿呆がッ!」
ユーグワは、助けてくれたはずのアルスに向かって、がなりを効かせた声で返事をした。
「馬鹿同士言い合ってろ。その選択は死刑が早まるだけの結果なんだからな」
少し2人がお互いをいまいましそうに見ていると、奥からマーベインは近づいて来てそう言った。
《守護者の刃》を横に一振すれば、風を切る音が印象深く耳に残る。
その音を合図に感覚を研ぎ澄まし始めたユーグワは、アルスに言った。
「チッ…無駄に時間を使えねェな」
「はなから使う気は無いがな!」
そう言った瞬間、ユーグワは《新たな炎》で鉄の炎を作って、それを火球にしてマーベインの顔面に発射した。
キンッ。しかし、前と同じように弾き落とされてしまう、が、視界を奪えていた。
その隙にアルスは《避役の長棒》で壁を作っていたのだ。
「うしっ!こっから一直線、全力で逃げるぞ!」
アルスはそう、嫌そうな顔でユーグワに伝えた。
こいつが逃げるのはしょうがないと割り切れたのか、次の瞬間には嫌な顔が消えていた。
ここのブロックを抜けると、次は廊下に出た。
どこでもいいから、端を目指したい。ハシゴを作ってそれでよじ登れるから。
その廊下をしばらく進んでいると、階段があった。
「上を目指すぞ、この牢獄の地下にいる限りは逃げれねェ!」
そうユーグワがアルスに伝えた、そして2人は爆速で階段を駆け上がっていく。
「いたぞーー!!」
しかし、方向転換の瞬間。見回りに来ていた兵士に見つかった。
「あばよ!」
アルスはそう言って、《避役の長棒》で黒い布を作った。
そしてそれを、甲冑の顔全体にそれを覆った。
そうして、次の階まで駆け上がっていく。
現在2階、ここにはこの牢獄で働いている人達の寮や休憩所のような場所になっている。だから、最も兵士が多い場所だ。
そう、寝ている兵士達や夜遅くまでくつろいでいる兵士が居る。アルスはバレなようにユーグワに耳打ちをした。
「静かに出口を探せ、鍵は作れるから!」
ユーグワは何かを考えていそうな様子であったが、アルスは容赦なく話しかけた。返事はかえってこない。
「……心物っていうのは、誰にも見られたりしていない場合。持ち主の近くに戻るんだろォ?」
「ああ、なんか現れているやつね。それがどうした?」
「…お前の心物をマーベインが見ていないってことだなァ」
「追ってきてるのか!!」
「その通り、悠長にしてらないってことだ。」
ユーグワがそう言った瞬間だった。
階段から来る足音に気がついたのは。奴が来た…マーベインだ。
「残念…ハズレの部屋に入ってしまったようだな。」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
チョロイン2人がオイルマッサージ店でNTR快楽堕ちするまで【完結】
白金犬
ファンタジー
幼馴染同士パーティーを組んで冒険者として生計を立てている2人、シルフィとアステリアは王都でのクエストに一区切りをつけたところだった。
故郷の村へ馬車が出るまで王都に滞在する彼女らは、今流行りのオイルマッサージ店の無料チケットを偶然手に入れる。
好奇心旺盛なシルフィは物珍しさから、故郷に恋人が待っているアステリアは彼のためにも綺麗になりたいという乙女心からそのマッサージ店へ向かうことに。
しかしそこで待っていたのは、真面目な冒険者2人を快楽を貪る雌へと変貌させる、甘くてドロドロとした淫猥な施術だった。
シルフィとアステリアは故郷に戻ることも忘れてーー
★登場人物紹介★
・シルフィ
ファイターとして前衛を支える元気っ子。
元気活発で天真爛漫なその性格で相棒のアステリアを引っ張っていく。
特定の相手がいたことはないが、人知れず恋に恋い焦がれている。
・アステリア(アスティ)
ヒーラーとして前衛で戦うシルフィを支える少女。
真面目で誠実。優しい性格で、誰に対しても物腰が柔らかい。
シルフィと他にもう1人いる幼馴染が恋人で、故郷の村で待っている。
・イケメン施術師
大人気オイルマッサージ店の受付兼施術師。
腕の良さとその甘いマスクから女性客のリピート必至である。
アステリアの最初の施術を担当。
・肥満施術師
大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。
見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。
シルフィの最初の施術を担当。
・アルバード
シルフィ、アステリアの幼馴染。
アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる