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牢獄編(三章)
123.最善策の悪逆無道②
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「おい!今は逃げることだけを考えとけ!」
「指図すんなよ阿呆がッ!」
ユーグワは、助けてくれたはずのアルスに向かって、がなりを効かせた声で返事をした。
「馬鹿同士言い合ってろ。その選択は死刑が早まるだけの結果なんだからな」
少し2人がお互いをいまいましそうに見ていると、奥からマーベインは近づいて来てそう言った。
《守護者の刃》を横に一振すれば、風を切る音が印象深く耳に残る。
その音を合図に感覚を研ぎ澄まし始めたユーグワは、アルスに言った。
「チッ…無駄に時間を使えねェな」
「はなから使う気は無いがな!」
そう言った瞬間、ユーグワは《新たな炎》で鉄の炎を作って、それを火球にしてマーベインの顔面に発射した。
キンッ。しかし、前と同じように弾き落とされてしまう、が、視界を奪えていた。
その隙にアルスは《避役の長棒》で壁を作っていたのだ。
「うしっ!こっから一直線、全力で逃げるぞ!」
アルスはそう、嫌そうな顔でユーグワに伝えた。
こいつが逃げるのはしょうがないと割り切れたのか、次の瞬間には嫌な顔が消えていた。
ここのブロックを抜けると、次は廊下に出た。
どこでもいいから、端を目指したい。ハシゴを作ってそれでよじ登れるから。
その廊下をしばらく進んでいると、階段があった。
「上を目指すぞ、この牢獄の地下にいる限りは逃げれねェ!」
そうユーグワがアルスに伝えた、そして2人は爆速で階段を駆け上がっていく。
「いたぞーー!!」
しかし、方向転換の瞬間。見回りに来ていた兵士に見つかった。
「あばよ!」
アルスはそう言って、《避役の長棒》で黒い布を作った。
そしてそれを、甲冑の顔全体にそれを覆った。
そうして、次の階まで駆け上がっていく。
現在2階、ここにはこの牢獄で働いている人達の寮や休憩所のような場所になっている。だから、最も兵士が多い場所だ。
そう、寝ている兵士達や夜遅くまでくつろいでいる兵士が居る。アルスはバレなようにユーグワに耳打ちをした。
「静かに出口を探せ、鍵は作れるから!」
ユーグワは何かを考えていそうな様子であったが、アルスは容赦なく話しかけた。返事はかえってこない。
「……心物っていうのは、誰にも見られたりしていない場合。持ち主の近くに戻るんだろォ?」
「ああ、なんか現れているやつね。それがどうした?」
「…お前の心物をマーベインが見ていないってことだなァ」
「追ってきてるのか!!」
「その通り、悠長にしてらないってことだ。」
ユーグワがそう言った瞬間だった。
階段から来る足音に気がついたのは。奴が来た…マーベインだ。
「残念…ハズレの部屋に入ってしまったようだな。」
「指図すんなよ阿呆がッ!」
ユーグワは、助けてくれたはずのアルスに向かって、がなりを効かせた声で返事をした。
「馬鹿同士言い合ってろ。その選択は死刑が早まるだけの結果なんだからな」
少し2人がお互いをいまいましそうに見ていると、奥からマーベインは近づいて来てそう言った。
《守護者の刃》を横に一振すれば、風を切る音が印象深く耳に残る。
その音を合図に感覚を研ぎ澄まし始めたユーグワは、アルスに言った。
「チッ…無駄に時間を使えねェな」
「はなから使う気は無いがな!」
そう言った瞬間、ユーグワは《新たな炎》で鉄の炎を作って、それを火球にしてマーベインの顔面に発射した。
キンッ。しかし、前と同じように弾き落とされてしまう、が、視界を奪えていた。
その隙にアルスは《避役の長棒》で壁を作っていたのだ。
「うしっ!こっから一直線、全力で逃げるぞ!」
アルスはそう、嫌そうな顔でユーグワに伝えた。
こいつが逃げるのはしょうがないと割り切れたのか、次の瞬間には嫌な顔が消えていた。
ここのブロックを抜けると、次は廊下に出た。
どこでもいいから、端を目指したい。ハシゴを作ってそれでよじ登れるから。
その廊下をしばらく進んでいると、階段があった。
「上を目指すぞ、この牢獄の地下にいる限りは逃げれねェ!」
そうユーグワがアルスに伝えた、そして2人は爆速で階段を駆け上がっていく。
「いたぞーー!!」
しかし、方向転換の瞬間。見回りに来ていた兵士に見つかった。
「あばよ!」
アルスはそう言って、《避役の長棒》で黒い布を作った。
そしてそれを、甲冑の顔全体にそれを覆った。
そうして、次の階まで駆け上がっていく。
現在2階、ここにはこの牢獄で働いている人達の寮や休憩所のような場所になっている。だから、最も兵士が多い場所だ。
そう、寝ている兵士達や夜遅くまでくつろいでいる兵士が居る。アルスはバレなようにユーグワに耳打ちをした。
「静かに出口を探せ、鍵は作れるから!」
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「……心物っていうのは、誰にも見られたりしていない場合。持ち主の近くに戻るんだろォ?」
「ああ、なんか現れているやつね。それがどうした?」
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「追ってきてるのか!!」
「その通り、悠長にしてらないってことだ。」
ユーグワがそう言った瞬間だった。
階段から来る足音に気がついたのは。奴が来た…マーベインだ。
「残念…ハズレの部屋に入ってしまったようだな。」
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