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牢獄編(三章)
113.協力者③
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「……よし、これで終了だ。肉が馴染むまでしばらく時間がかかる。よく頑張ったな。」
目の前に映るペスト医師の衣装をした男は、10歳ほどの少年の頭を撫でてそう言った。彼は本当は優しいのかもしれない。だが、その医者は死刑囚なのだ。大罪人だ。それを忘れてはならない。
「ありがとう。お兄さん。」
少年はお辞儀と共に彼に感謝の言葉を述べた。
初め、少年は私…兵士のことを酷く怯えていた様子であった、が、少年が慕っている医師が目線を合わせて、優しく声かけをしてあげていたから、ここまで大人しく手術を受けてくれたのかもしれない。
そう考えていれば
「どうも。あと最後にひとつ、約束していいかい?」
「うん!なに?」
「お兄さんは、特別で秘密の力を使って手術しているんだ。お兄さんの手術を受けた事を、内緒にしてくれないかい?」
「うん!!わかった!」
「ありがとね」
そう言って、医師は少年の背中をトンと押してあげた。
これからの応援を乗せて。
そのまま、私達は次の治療に向けて、この部屋を出ていこうとしたその時、少年は私達を呼び止めた。
「最後に、お兄さんのお名前だけ…」
そう言われれば、医師はそっと後ろを振り向き、こう答えた。
「"ミシェル"だ。また会ったらこの名前で呼んでくれ。」
そう言い残し、ミシェルは次の治療場所に向かっていった。
次は15歳のコプラという名の青年を治療するらしい。
どうやら背中に酷い傷があるようだ。それを伝えれば、ミシェルはこう言った
「…私が知ってる事を言うな。政府の犬がっ。」
チッと舌がなった。
先程までの少年への好青年で優しい医者という印象が、毒舌で憎悪まみれの医者という印象に戻った。夢でも見ているような性格の豹変っぷりには少し驚かされた。
そうして、日が暮れるまで人を治療して、牢獄に帰ろうとした。帰り道の途中だった。何故この人が何十人も殺しているのかを聞いてみた。態度は悪いが、子供への態度を見れば、正直、何十人も殺すような人では無いと感じた。
「なんで罪を犯したんだ?ミシェル。」
「この国では、私のやった事が罪になっただけだ。悪意はない。」
「殺人は絶対にやったらダメだろ!」
「そうとも言いきれないぞ。政府犬(せいふけん)。この国には司法で裁かれなかった悪が居る。そいつらを司法の代わりに、変わって死刑をしただけだ」
「…政府犬。」
「世の中では自分の死が人々に笑顔を届ける人間がいる。」
「まぁ……そうだな。」
「そいつらが司法で裁けないなら、俺が裁く。それだけだ。」
目の前に映るペスト医師の衣装をした男は、10歳ほどの少年の頭を撫でてそう言った。彼は本当は優しいのかもしれない。だが、その医者は死刑囚なのだ。大罪人だ。それを忘れてはならない。
「ありがとう。お兄さん。」
少年はお辞儀と共に彼に感謝の言葉を述べた。
初め、少年は私…兵士のことを酷く怯えていた様子であった、が、少年が慕っている医師が目線を合わせて、優しく声かけをしてあげていたから、ここまで大人しく手術を受けてくれたのかもしれない。
そう考えていれば
「どうも。あと最後にひとつ、約束していいかい?」
「うん!なに?」
「お兄さんは、特別で秘密の力を使って手術しているんだ。お兄さんの手術を受けた事を、内緒にしてくれないかい?」
「うん!!わかった!」
「ありがとね」
そう言って、医師は少年の背中をトンと押してあげた。
これからの応援を乗せて。
そのまま、私達は次の治療に向けて、この部屋を出ていこうとしたその時、少年は私達を呼び止めた。
「最後に、お兄さんのお名前だけ…」
そう言われれば、医師はそっと後ろを振り向き、こう答えた。
「"ミシェル"だ。また会ったらこの名前で呼んでくれ。」
そう言い残し、ミシェルは次の治療場所に向かっていった。
次は15歳のコプラという名の青年を治療するらしい。
どうやら背中に酷い傷があるようだ。それを伝えれば、ミシェルはこう言った
「…私が知ってる事を言うな。政府の犬がっ。」
チッと舌がなった。
先程までの少年への好青年で優しい医者という印象が、毒舌で憎悪まみれの医者という印象に戻った。夢でも見ているような性格の豹変っぷりには少し驚かされた。
そうして、日が暮れるまで人を治療して、牢獄に帰ろうとした。帰り道の途中だった。何故この人が何十人も殺しているのかを聞いてみた。態度は悪いが、子供への態度を見れば、正直、何十人も殺すような人では無いと感じた。
「なんで罪を犯したんだ?ミシェル。」
「この国では、私のやった事が罪になっただけだ。悪意はない。」
「殺人は絶対にやったらダメだろ!」
「そうとも言いきれないぞ。政府犬(せいふけん)。この国には司法で裁かれなかった悪が居る。そいつらを司法の代わりに、変わって死刑をしただけだ」
「…政府犬。」
「世の中では自分の死が人々に笑顔を届ける人間がいる。」
「まぁ……そうだな。」
「そいつらが司法で裁けないなら、俺が裁く。それだけだ。」
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