110 / 281
牢獄編(三章)
111.協力者①
しおりを挟む
「…ラーラ。あれは《次元の眼》じゃないか?」
鉄格子からレイは外を覗いた。
そして、一切れの紙を引っ掛けてこちらに近づく《次元の眼》に気がついた。それを聞いて覗いたラーラはボスにこう言った
「何かの手紙…!?ボス、受け取って。」
「ああ」
彼が返事をすると、頭の上で手を振り始めた。
そうすれば、コルはこっちに気がついて来るということだ。
案の定、それが来きた。そして手紙を読んだ。
『俺達が合図を出すタイミングで、脱獄しようと思う。夜中に脱獄する。計画はーー』
その次も、計画を淡々と連ねていた。あちら側にいる全員が考えた、正直頭が上がらないほどの完璧な作戦だ。しかし…時間が足りるか…と考えていた。
そこら辺は何とかするのだろう、彼はアルス。そしてナットもコルもいる。
レイは心配せずにその計画を受け入れることができた。
「脱獄の計画かァ。そんなもんいるか?」
レイの隣から声が聞こえた。
やつは本を書いている。この牢獄がどれだけ酷く、人間の醜い意志が詰まっているものだと訴える本であった。
そう、ユーグワがいたのだ。
「いや…脱獄なんてしない。」
いつ兵士が来るか分からない状況で、牢獄のルールに反することはできないと判断し、レイはそう言った。
しかし、ユーグワは面白くなさそうに、黙り込んだ。
「まあ、脱獄するなら俺に教えろ。同時に脱獄する。」
「騒動が起こっている間に…ということか。」
「悪くねェ話だろ?俺が騒動を起こすかもしれねぇ。」
レイは少し考えた。そしてデメリットが一切無いことを確信すると、彼の提案を受け入れることにした。
「ああ、わかった。脱獄のタイミングは貴様に教える。だがそれだけだ。貴様の脱獄に協力はしない。」
「それでいいんだよ。足手まといはイラねぇ。」
この話を通して、ラーラは少し不機嫌な様子であった。
元々、憎む相手と手を組むわけだ。無理は無いが、仕方の無いことだ。
レイはそう言って、ラーラを抑えた。
彼が次に思ったことは、返事のことであった。
レイはフックに変形した《避役の長棒》を手に取りった。
コルがそれを察したのか、《避役の長棒》は一瞬にして鉛筆に変わった。レイは紙の裏面に『了解した』とだけ書いた。
突き放すようなハンドサインを《次元の眼》に見せた。
コルはそれを受け取り、《次元の眼》を自分の元に帰した。
そうすると、レイはラーラに一つ聞かれた。
「ボス…あたし達は何かやらなきゃいけないの?」
「いいや、何もしなくていい。するとこならアルス達を信じて待つことだ」
鉄格子からレイは外を覗いた。
そして、一切れの紙を引っ掛けてこちらに近づく《次元の眼》に気がついた。それを聞いて覗いたラーラはボスにこう言った
「何かの手紙…!?ボス、受け取って。」
「ああ」
彼が返事をすると、頭の上で手を振り始めた。
そうすれば、コルはこっちに気がついて来るということだ。
案の定、それが来きた。そして手紙を読んだ。
『俺達が合図を出すタイミングで、脱獄しようと思う。夜中に脱獄する。計画はーー』
その次も、計画を淡々と連ねていた。あちら側にいる全員が考えた、正直頭が上がらないほどの完璧な作戦だ。しかし…時間が足りるか…と考えていた。
そこら辺は何とかするのだろう、彼はアルス。そしてナットもコルもいる。
レイは心配せずにその計画を受け入れることができた。
「脱獄の計画かァ。そんなもんいるか?」
レイの隣から声が聞こえた。
やつは本を書いている。この牢獄がどれだけ酷く、人間の醜い意志が詰まっているものだと訴える本であった。
そう、ユーグワがいたのだ。
「いや…脱獄なんてしない。」
いつ兵士が来るか分からない状況で、牢獄のルールに反することはできないと判断し、レイはそう言った。
しかし、ユーグワは面白くなさそうに、黙り込んだ。
「まあ、脱獄するなら俺に教えろ。同時に脱獄する。」
「騒動が起こっている間に…ということか。」
「悪くねェ話だろ?俺が騒動を起こすかもしれねぇ。」
レイは少し考えた。そしてデメリットが一切無いことを確信すると、彼の提案を受け入れることにした。
「ああ、わかった。脱獄のタイミングは貴様に教える。だがそれだけだ。貴様の脱獄に協力はしない。」
「それでいいんだよ。足手まといはイラねぇ。」
この話を通して、ラーラは少し不機嫌な様子であった。
元々、憎む相手と手を組むわけだ。無理は無いが、仕方の無いことだ。
レイはそう言って、ラーラを抑えた。
彼が次に思ったことは、返事のことであった。
レイはフックに変形した《避役の長棒》を手に取りった。
コルがそれを察したのか、《避役の長棒》は一瞬にして鉛筆に変わった。レイは紙の裏面に『了解した』とだけ書いた。
突き放すようなハンドサインを《次元の眼》に見せた。
コルはそれを受け取り、《次元の眼》を自分の元に帰した。
そうすると、レイはラーラに一つ聞かれた。
「ボス…あたし達は何かやらなきゃいけないの?」
「いいや、何もしなくていい。するとこならアルス達を信じて待つことだ」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

お気楽、極楽⁉︎ ポンコツ女神に巻き込まれた俺は、お詫びスキルで異世界を食べ歩く!
にのまえ
ファンタジー
目が覚めたら、女性が土下座をしていた。
その女性に話を聞くと、自分を女神だと言った。そしてこの女神のミス(くしゃみ)で、俺、鈴村凛太郎(27)は勇者召喚に巻き込まれたらしい。
俺は女神のミスで巻き込まれで、勇者ではないとして勇者特有のスキルを持たないし、元の世界には帰れないようだ。
「……すみません」
巻き込みのお詫びとして、女神は異世界で生きていくためのスキルと、自分で選んだスキルをくれた。
これは趣味の食べ歩きを、異世界でするしかない、
俺、凛太郎の異世界での生活が始まった。

異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜
カイ
ファンタジー
主人公の沖 紫惠琉(おき しえる)は会社からの帰り道、不思議な店を訪れる。
その店でいくつかの品を持たされ、自宅への帰り道、異世界への穴に落ちる。
落ちた先で紫惠琉はいろいろな仲間と穏やかながらも時々刺激的な旅へと旅立つのだった。

ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話
天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。
その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。
ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。
10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。
*本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています
*配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします
*主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。
*主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません

女神様の使い、5歳からやってます
めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。
「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」
女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに?
優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕!
基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。
戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。
公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。
ただ、愛されたいと願った。
そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。
◆恋愛要素は前半はありませんが、後半になるにつれて発展していきますのでご了承ください。

異世界少女は大人になる
黒鴉宙ニ
ファンタジー
突然異世界へとやって来た14歳の緋井奈 琴乃(ひいな ことの)。彼女の能力はただ水を出すだけ。異世界生活にワクワクする時間はなく、たまたまスタンピードの影響で難民となった人たちの間に紛れることに。故郷を魔物によって奪われた人々は琴乃以上に大変そうで、異世界生活を楽しむなんて忘れてただただ順応していく。王子や騎士と出会っても自分が異世界人と告げることもなく難民の1人として親交を深めていく。就職したり人間関係で戸惑ったり……14歳の少女は傷つきながらも一歩ずつ前へ進んでいく。
4万字ほどストックがあるのでそれまで連続更新していきます。またストックが溜まったら更新していく感じです。

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました
土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。
神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。
追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。
居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。
小説家になろうでも公開しています。
2025年1月18日、内容を一部修正しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる