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牢獄編(三章)

110.アイツの末路

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「ここは……?」

彼は目覚めた。真っ白い空間に1人捨てられたように置かれている。夢なのか、彼は何度も疑った。
しかし、悪夢では無いことが分かると、彼は狂いだした。

そうやっていると、彼は足元が急に無くなった。
地面が消えたと言うのが正しい。

消えた地面に落ちれば、そこにあったのは暗い部屋であった。
遠い松明の明かりだけが、状況を知る唯一の手がかりであった。

「お目覚めかい?」

しばらく手探りで、何かを探していると、後ろから優しい声が聞こえた。この声質には聞き覚えがある。俺に命令を下したやつだ。

「……」

その瞬間、ここがレジサイドの本拠点であることに気がついた。"ルーハー議員"に乗り移っていたあいだ、俺の本体は本拠点にあったのか。

「そう怖がらなくてもいいじゃないか。失敗した事を気にしているのかい?」

後ろの男…奴がレジサイドのナンバーワン。
…F。

「……」

「そう黙らなくてもさ。失敗なんて誰にでもある。俺は許すつもりだよ?"ブァングラ"。」

大変優しい。アイツは情けをかけているのか。まだまだ俺を搾取したいのか?
いいや、そんなことはない。アイツに限って…。

「んんんんっ!!うんんんんっ!!」

随分と近くからうめき声が聞こえる。何かをくわえているのか?なんにせよ、助けを求めていることに代わりはない。 

よし決めた。逃げよう。どうせ俺は今助けを求めているやつのような末路を送るに違いない。それだったら裏切ってでも逃げてやる。

ブァングラは後ろを向いて走り出した。やつの声から離れるんだ。あの悪魔から逃げるんだ。

しかし…俺の後ろには全身を黒で塗られた鎧を着た幹部がいた。

「罪を憎んで人を憎まず。別にブァングラの事は憎んでいないってことさ。」

と、アイツは高く、好青年のような声で言った。
それを聞いた瞬間、俺の心に深く響いたんだ。響いちまったんだ。許された。失敗しても、俺は許されたんだ。
……他の奴らとは違うかった!!俺は特別だったんだ!!

「あっ、とりあえず。罪の分は支払ってよね」

ジューと音がたった。
ブァングラの体全体が燃やされている。胴から黒く焦げ、腕、首、足までもが黒い焦げに犯される。

熱い!熱い!
と、訴えるが舌が燃やされてうめき声に変換される。

「ほら、意識乗り換えてみたら?」

と、アイツは言った。
すると突然上から人が降ってきた。声からして、さっきうめき声で助けを求めていた人に違いない。俺はそいつに、自分の心物を押し当て、意識を埋め込んだ。

「はぁ…はぁ…」

「失敗したらこうなる。1つ学べたね。」

と、俺の頭を撫でればそいつは消えた。
黒い鎧も同じく消えた。その時、去り際に聞こえたんだ。会話が。

「さっき黒焦げにしたやつ名前…"バース"だったよな…頭文字は……バ…じゃあ今日から、俺の仮名は"B"か。」
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