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牢獄編(三章)
107.牢獄へ
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「で…デケェ。」
アルスは馬車から降りた後、そう呟いた。
体の痛さを忘れるほど衝撃を受けたのであった。
そして、兵士から補助杖を貰い、それをつきながらアルスは歩いた。
「あー、兵士さん。この補助杖ってここに入ったあとも、使うことが出来るか?」
アルスはそう聞いた。
「許可する」
兵士は威厳を保ちたいのか、妙に小難しい言葉を使う。
「いいよ」とかそういう軽い言葉を使わないあたり……相当な真面目兵士が集まった場所であるな。
一言でアルスはできるだけ考察を始めた。
「部屋案内をする。ついてこい。」
と、その兵士は言った。その通りにアルスは着いて行った。
アルスは牢獄の部屋を見た。それぞれの仕事場…浴場、独房。
様々な部屋があった。
なかなかいい牢獄かもしれない。
ここまで設備が完備ならば、案外快適かもしれない。
だが、忘れちゃならないのが死刑。というか忘れるわけが無い。脱獄をしなければ。実はアルスはもう手をうっている。
今ついている補助杖。
これは《避役の長棒》を変形させたもの。つまりは心物を個室に運んでいるということであった。
そうして、部屋案内は終わった。次に始まる事を兵士に告げられた。
「今から着替え、そして身体検査をする。」
それを言うと、兵士から黒と白のボーダー模様の服を貰った。
そして、身体検査が終わると、アルスは34番と書かれた個室の前に行き、そこに入れられた。
「今日から囚人番号34番だ。わかったか。」
「はい。」
と、適当に返事をした。兵士がいなくなったことを確認したら、部屋の中であぐらをかいた。
前に2人、見慣れた顔がある。ナットとコルだ。
となれば、隣にレイとラーラがいるのかと考え、それをコルに聞いた。
「おいコル、ボスとラーラは?」
コルは困った顔をした。
そして、小さい声を出した。
「いない、多分ブロックごとに分かれていて、別のブロックにいるんじゃないかな?」
それをアルスはしっかりと耳にした、そして次に考えるのはどうコミュニケーションを取るかだ。
脱獄するにせよ、どうにか離れた2人とタイミングを合わせたいものだ。
…いやとりあえず、これを言うべきか。
「俺…《避役の長棒》持ってきた」
「……」
コルは無言のまま、後ろを向いて何かを探した。
そして、その何かを拾ったのか後ろを向いてそれを見せてきた。
それは《次元の目》であった。右手の人差し指、中指で上を持ち、下に親指を支えとしてそれを掴んだ。
そして、それを見せてきたのだ。ドヤ顔とともに。
「これらの"心物"でどうやって脱獄するか…だな。」
アルスは馬車から降りた後、そう呟いた。
体の痛さを忘れるほど衝撃を受けたのであった。
そして、兵士から補助杖を貰い、それをつきながらアルスは歩いた。
「あー、兵士さん。この補助杖ってここに入ったあとも、使うことが出来るか?」
アルスはそう聞いた。
「許可する」
兵士は威厳を保ちたいのか、妙に小難しい言葉を使う。
「いいよ」とかそういう軽い言葉を使わないあたり……相当な真面目兵士が集まった場所であるな。
一言でアルスはできるだけ考察を始めた。
「部屋案内をする。ついてこい。」
と、その兵士は言った。その通りにアルスは着いて行った。
アルスは牢獄の部屋を見た。それぞれの仕事場…浴場、独房。
様々な部屋があった。
なかなかいい牢獄かもしれない。
ここまで設備が完備ならば、案外快適かもしれない。
だが、忘れちゃならないのが死刑。というか忘れるわけが無い。脱獄をしなければ。実はアルスはもう手をうっている。
今ついている補助杖。
これは《避役の長棒》を変形させたもの。つまりは心物を個室に運んでいるということであった。
そうして、部屋案内は終わった。次に始まる事を兵士に告げられた。
「今から着替え、そして身体検査をする。」
それを言うと、兵士から黒と白のボーダー模様の服を貰った。
そして、身体検査が終わると、アルスは34番と書かれた個室の前に行き、そこに入れられた。
「今日から囚人番号34番だ。わかったか。」
「はい。」
と、適当に返事をした。兵士がいなくなったことを確認したら、部屋の中であぐらをかいた。
前に2人、見慣れた顔がある。ナットとコルだ。
となれば、隣にレイとラーラがいるのかと考え、それをコルに聞いた。
「おいコル、ボスとラーラは?」
コルは困った顔をした。
そして、小さい声を出した。
「いない、多分ブロックごとに分かれていて、別のブロックにいるんじゃないかな?」
それをアルスはしっかりと耳にした、そして次に考えるのはどうコミュニケーションを取るかだ。
脱獄するにせよ、どうにか離れた2人とタイミングを合わせたいものだ。
…いやとりあえず、これを言うべきか。
「俺…《避役の長棒》持ってきた」
「……」
コルは無言のまま、後ろを向いて何かを探した。
そして、その何かを拾ったのか後ろを向いてそれを見せてきた。
それは《次元の目》であった。右手の人差し指、中指で上を持ち、下に親指を支えとしてそれを掴んだ。
そして、それを見せてきたのだ。ドヤ顔とともに。
「これらの"心物"でどうやって脱獄するか…だな。」
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