105 / 281
指名手配編(三章)
106.留置所②
しおりを挟む
「わかったなら仲間に伝えておいてくれ…。本当に……本当にごめん。」
兵士はそう言って、頭を下げた。
手を膝につき下を向いた兵士の顔から、何滴かの大粒な雫が机に触れて染みる。
「……」
レイは黙って、また別の兵士と共に取り調べ室を出た。仲間に伝える為に。
「聞いてくれ……」
元の部屋に戻ったレイが放った第一声はこれで合った。
彼もまだ何が何だか分かっていない様子ではあったが、伝えなければならない。
「私達は……王の独断により、死刑が確定した。」
「!」
全員が腰を抜かした。ショックで声も出ない者や、おかしいと強く言う者、顔を抱えてうなだれる者。
十人十色の反応があったが…ナットだけは格別であった。
「あっ、おっけー。」
彼は自分の死を平然と受けいれたのであった。
……ように見えたが次の発言は、それを覆すことになった。
「つーか、元々…ムショ入りは確定だったろ?だからどうやって脱獄しようか考えてたんだよ。」
全員が一旦は納得した。
しかし、もう一度その発言を見直してみれば、おかしい点が100個は見つかる程のおかしさであった。
「…なるほど、元から脱獄するつもりであったと。」
と、レイが聞けば彼はいつものお調子者を崩さず、そして自信満々にこう答えた。
「そ、タイムリミットがつけられただけよ。」
「死刑囚の発言ってヤベーな。」
そうグラギはツッこんだ。それを聞いたレイはなんでこいつが私達より刑罰が軽そうなのかを考えた。非常に腹が立った。
「まっ、全員に問うぜ。このまま死ぬか…脱獄者として生きるか…どっちがいいー?」
ニッコニコした屈託の無い笑みでナットはそう言った。
アルスは少し引きはしたが、すぐさま答えを出した。
「生きる方に決まってんだろ!」
それに続いて、他の人も全員同じ答えを出した。
仲間が同じ考えなことに安心したナットは、床で寝始め、ゴロゴロとした体制で雑談を始めた。
今この状況を見ている他人はドン引きしていた。
そして…1週間の時が経ち…。
「出ろ」
部屋の鍵が開けらた。そこには何人かの兵士がいた。
どうやらナット達はもう出たらしい。十分すぎる睡眠をとっていたから分からなかった。
そして、部屋を出た瞬間、拘束された。
俺はそのまま、どこかに連れ去られることとなった。
無理やり馬車に乗せられ、手首と目隠しをされた。
そして…3時間が経った。
「アルス、目隠しをとるぞ。」
と、兵士の声が聞こえた。
その通りに兵士が動けば、俺は目の前の光景に衝撃を受けた。
「こんなでっかい牢屋……。見たことないぞ。」
スケールを間違えたのかもしれない。
城…と勘違いしてもおかしくはないほどの大迫力。
ここは間違えなく…この国の最大にして、最悪な犯罪者が辿る終着点。牢獄"ティヌス"。
兵士はそう言って、頭を下げた。
手を膝につき下を向いた兵士の顔から、何滴かの大粒な雫が机に触れて染みる。
「……」
レイは黙って、また別の兵士と共に取り調べ室を出た。仲間に伝える為に。
「聞いてくれ……」
元の部屋に戻ったレイが放った第一声はこれで合った。
彼もまだ何が何だか分かっていない様子ではあったが、伝えなければならない。
「私達は……王の独断により、死刑が確定した。」
「!」
全員が腰を抜かした。ショックで声も出ない者や、おかしいと強く言う者、顔を抱えてうなだれる者。
十人十色の反応があったが…ナットだけは格別であった。
「あっ、おっけー。」
彼は自分の死を平然と受けいれたのであった。
……ように見えたが次の発言は、それを覆すことになった。
「つーか、元々…ムショ入りは確定だったろ?だからどうやって脱獄しようか考えてたんだよ。」
全員が一旦は納得した。
しかし、もう一度その発言を見直してみれば、おかしい点が100個は見つかる程のおかしさであった。
「…なるほど、元から脱獄するつもりであったと。」
と、レイが聞けば彼はいつものお調子者を崩さず、そして自信満々にこう答えた。
「そ、タイムリミットがつけられただけよ。」
「死刑囚の発言ってヤベーな。」
そうグラギはツッこんだ。それを聞いたレイはなんでこいつが私達より刑罰が軽そうなのかを考えた。非常に腹が立った。
「まっ、全員に問うぜ。このまま死ぬか…脱獄者として生きるか…どっちがいいー?」
ニッコニコした屈託の無い笑みでナットはそう言った。
アルスは少し引きはしたが、すぐさま答えを出した。
「生きる方に決まってんだろ!」
それに続いて、他の人も全員同じ答えを出した。
仲間が同じ考えなことに安心したナットは、床で寝始め、ゴロゴロとした体制で雑談を始めた。
今この状況を見ている他人はドン引きしていた。
そして…1週間の時が経ち…。
「出ろ」
部屋の鍵が開けらた。そこには何人かの兵士がいた。
どうやらナット達はもう出たらしい。十分すぎる睡眠をとっていたから分からなかった。
そして、部屋を出た瞬間、拘束された。
俺はそのまま、どこかに連れ去られることとなった。
無理やり馬車に乗せられ、手首と目隠しをされた。
そして…3時間が経った。
「アルス、目隠しをとるぞ。」
と、兵士の声が聞こえた。
その通りに兵士が動けば、俺は目の前の光景に衝撃を受けた。
「こんなでっかい牢屋……。見たことないぞ。」
スケールを間違えたのかもしれない。
城…と勘違いしてもおかしくはないほどの大迫力。
ここは間違えなく…この国の最大にして、最悪な犯罪者が辿る終着点。牢獄"ティヌス"。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
チョロイン2人がオイルマッサージ店でNTR快楽堕ちするまで【完結】
白金犬
ファンタジー
幼馴染同士パーティーを組んで冒険者として生計を立てている2人、シルフィとアステリアは王都でのクエストに一区切りをつけたところだった。
故郷の村へ馬車が出るまで王都に滞在する彼女らは、今流行りのオイルマッサージ店の無料チケットを偶然手に入れる。
好奇心旺盛なシルフィは物珍しさから、故郷に恋人が待っているアステリアは彼のためにも綺麗になりたいという乙女心からそのマッサージ店へ向かうことに。
しかしそこで待っていたのは、真面目な冒険者2人を快楽を貪る雌へと変貌させる、甘くてドロドロとした淫猥な施術だった。
シルフィとアステリアは故郷に戻ることも忘れてーー
★登場人物紹介★
・シルフィ
ファイターとして前衛を支える元気っ子。
元気活発で天真爛漫なその性格で相棒のアステリアを引っ張っていく。
特定の相手がいたことはないが、人知れず恋に恋い焦がれている。
・アステリア(アスティ)
ヒーラーとして前衛で戦うシルフィを支える少女。
真面目で誠実。優しい性格で、誰に対しても物腰が柔らかい。
シルフィと他にもう1人いる幼馴染が恋人で、故郷の村で待っている。
・イケメン施術師
大人気オイルマッサージ店の受付兼施術師。
腕の良さとその甘いマスクから女性客のリピート必至である。
アステリアの最初の施術を担当。
・肥満施術師
大人気オイルマッサージ店の知らざれる裏の施術師。
見た目が醜悪で女性には生理的に受け付けられないような容姿のためか表に出てくることはないが、彼の施術を受けたことがある女性客のリピート指名率は90%を超えるという。
シルフィの最初の施術を担当。
・アルバード
シルフィ、アステリアの幼馴染。
アステリアの恋人で、故郷の村で彼女らを待っている。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる