マインドファイターズ

2キセイセ

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指名手配編(三章)

106.留置所②

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「わかったなら仲間に伝えておいてくれ…。本当に……本当にごめん。」

兵士はそう言って、頭を下げた。
手を膝につき下を向いた兵士の顔から、何滴かの大粒な雫が机に触れて染みる。

「……」

レイは黙って、また別の兵士と共に取り調べ室を出た。仲間に伝える為に。

「聞いてくれ……」

元の部屋に戻ったレイが放った第一声はこれで合った。
彼もまだ何が何だか分かっていない様子ではあったが、伝えなければならない。

「私達は……王の独断により、死刑が確定した。」

「!」

全員が腰を抜かした。ショックで声も出ない者や、おかしいと強く言う者、顔を抱えてうなだれる者。
十人十色の反応があったが…ナットだけは格別であった。

「あっ、おっけー。」

彼は自分の死を平然と受けいれたのであった。
……ように見えたが次の発言は、それを覆すことになった。

「つーか、元々…ムショ入りは確定だったろ?だからどうやって脱獄しようか考えてたんだよ。」

全員が一旦は納得した。
しかし、もう一度その発言を見直してみれば、おかしい点が100個は見つかる程のおかしさであった。

「…なるほど、元から脱獄するつもりであったと。」

と、レイが聞けば彼はいつものお調子者を崩さず、そして自信満々にこう答えた。

「そ、タイムリミットがつけられただけよ。」

「死刑囚の発言ってヤベーな。」

そうグラギはツッこんだ。それを聞いたレイはなんでこいつが私達より刑罰が軽そうなのかを考えた。非常に腹が立った。

「まっ、全員に問うぜ。このまま死ぬか…脱獄者として生きるか…どっちがいいー?」

ニッコニコした屈託の無い笑みでナットはそう言った。
アルスは少し引きはしたが、すぐさま答えを出した。

「生きる方に決まってんだろ!」

それに続いて、他の人も全員同じ答えを出した。
仲間が同じ考えなことに安心したナットは、床で寝始め、ゴロゴロとした体制で雑談を始めた。

今この状況を見ている他人はドン引きしていた。

そして…1週間の時が経ち…。

「出ろ」

部屋の鍵が開けらた。そこには何人かの兵士がいた。
どうやらナット達はもう出たらしい。十分すぎる睡眠をとっていたから分からなかった。

そして、部屋を出た瞬間、拘束された。
俺はそのまま、どこかに連れ去られることとなった。

無理やり馬車に乗せられ、手首と目隠しをされた。
そして…3時間が経った。

「アルス、目隠しをとるぞ。」

と、兵士の声が聞こえた。
その通りに兵士が動けば、俺は目の前の光景に衝撃を受けた。

「こんなでっかい牢屋……。見たことないぞ。」

スケールを間違えたのかもしれない。
城…と勘違いしてもおかしくはないほどの大迫力。

ここは間違えなく…この国の最大にして、最悪な犯罪者が辿る終着点。牢獄"ティヌス"。
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