マインドファイターズ

2キセイセ

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制圧編(ニ章)

96.気がついた

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「探す。ナットとコルも協力してくれるか?」

"フロス・ターネスト"。ナットからその名を聞いた。
同じ苗字…兄弟なのか、親なのかは分からないが、確実にアルスにとって近い人物であることは明らかであった。

その者を探すために、アルスは仲間に協力を委ねた。

「当ったり前よっ!」「うん!」

2人は当然のごとく、一つ返事で了解してくれた。
頼れる存在というものは、アルスに安心感を与えた。

そこから、しばらく時間が経ったあと…

「失礼する。」

ドアから音がなり、開いた。
そこに居たのはレイであった。なにか深刻なことが起こっているのか…暗い表情から伝わってきた。

「ルーハー議員についてのことだ…」

と、レイが言えばすぐさまコルは反応して、こう問いかけた。

「操られてたんでしょ?……大丈夫なの?」

怯えながらレイを見つめるコルに、喉の奥がつっかえたような感覚がレイにのしかかる。

「やられた…生きてはいた。だが、感情が…"なかった…"」

「!」

脳裏によぎる。レイの追っていた最悪の事件。零事件。
また1人…また1人と、被害者が出てくる。

「なあ…ボス。あんた…ほんっとこの事件に熱心だよな…。被害者が身内にいたのか?」

ナットが核心をつこうと、探りをいれてみた。
彼の心の底からの心配から出た言葉が、レイに突き刺さった。

「………結論から言おう。レジサイドは零事件の犯人で確定だ。」

口をかみ締め、沈黙を残し、レイは言った。
下を向いて歯をかみ締めたあと、背中を向けてドアから出ていった。

「…てことは、ルーハー議員自身の感情を無くしたあとに彼女を殺し、ブァングラが乗り移って、そして、ブァングラが生きるために、生命活動を開始させたってことか…。」

独り言でアルスは考えた。
今回の内通者のこと、零事件との関わりを考えれば考えるほど、人を物のように扱う、酷く惨い事件であった。

「…大体、ラーラから話は聞いてる。ブレスレットの心物が見つからないってことは、ブァングラって奴すら逃げられてんだな。」

「…そうだね。」

コルとナットは2人で、状況の確認をしていた。
後味が悪い、そんな状況であることだけが分かった。

しかし、彼らには目的が出来ていた。

「なあ…王が加担しているとしたら、レジサイドを潰せるのは俺達だけってことにならねーか?」

ナットは気づいたのか、少しだけ不安になり、コルの方を向いてこう言った。

「…そうだね。…この事を知ってる、私達がやらなきゃいけない」

「…"革命"だな。」

そうナットがつぶやくと、コルはうんと頷いた。


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