マインドファイターズ

王都編(二章)

70.異変

…ただいま。と声がした。
ラーラが帰ってきたようだ。雨の中、傘もささずに、足に鞭を打つけられたかのように走り続けた。

それに異変を感じざるを得なかった、一同は代表でコプラが玄関にいった。

いつもと全く雰囲気が違う彼女に、コプラは動揺を隠せずにはいられない。しかし、それはすぐに止まり、真摯に向き合った。

「とりあえず、話は後で聞く。今は温まって。」

と、声をかけた。
玄関で靴を脱ぎ、そこから上がったラーラはコプラに手を引かれ、仲間がいる2階へと上がった。

「………なんか…欲しいもんあるか？」

アルスはそう声をかけた。
レイは風呂の部屋を空け、体や腕を拭くための布を持ってきた。

「びしょ濡れだ。風邪をひいてしまう。」

と言って、レイはそっと、布を渡した。
そして、暖炉に木を入れた。

「……とりあえず読んで」

ラーラは手に持っていた、母の家に送られた、犯罪組織からの手紙を机の上にバンと置いた。

その後、逃げ出すようにその布を持って、自分の部屋に駆け込んだ。

「……これは、レジサイドからの手紙か？」

手紙を読み始めたレイはそう言った。
そこには、ユーグワの捕獲、自分達の殺害を命じられた文であった。

「そうっぽい……内通者ってことか……」

目的を達成した。
しかし、なんとも言えないしこりが残っていた。
彼女の気持ちを想像すれば、たまったもんじゃないことは容易に分かる。

「……ここから…どうするか、だ。」

歯を食いしばり、レイは重苦しい雰囲気に命令を下そうとしていた。もちろん、アルスとコプラも聞く気であった。

「…とりあえず、ラーラは休ませる。この事は私がカタァースに報告しておく。その後のことは兵士が何とかしてくれるはずだ。私達の任務は…終わったんだ。」

任務の達成。
それが、レイの言ったことであった。
しかし、達成感は一切感じられない。ましてや喜びなんて感じたくても感じられないであろう。

事実は残酷にも、成功に歓喜しろと言っていないようだ。

「とりあえず…アルスは引き続きコルの面倒。コプラは家事を手伝ってくれ。今日は私が夕飯を作る。」

レイがそう言って、首を振る者はいなかった。
彼は色々な食材を持ち、キッチンの前にレイは立った。他の人も、言われた通り、自分の役目をこなしていった。

数時間が経ち…
夕飯を食べきったが、全く美味しくなかった。
暗い夜が、今日は一段と暗く見える。

早めに寝て、帰宅の準備をしておこう。
そう考え、アルスが自分の部屋の私物を色々と、整理していた。

「……やっぱ、行った方がいいよな」

ラーラは夕飯の時間ですら、顔を出さず、レイに届けてもらった。それほど、ほっといてほしいのかもしれない…だけど……

アルスは悩みに悩み、結論を出した。
彼は自分の部屋から出た。、