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王都編(二章)
68.単独調査②
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「この服はね、キルトといって、表地と裏地の間に、羽毛を入れて、体にフィットするように作られているの。もちろん特注にさせてもらったわ。」
「ふー、ふーん。似合ってるじゃん。」
ルーハーはいつもと、変わり果てていた。
その風貌に、ラーラは作った笑顔で相槌を打つことしか出来なかった。
ルーハーはその後も家具の紹介をしていった。
「ちょっと、次の家具持ってきなさい!」
家にいる執事たちをこき使わせ、走り回させた。
あまりに時間がかかりすぎたのか「チッ」と舌打ちした。
そして、執事が家具を持ってきたら、すぐさま表情を切り替えて、ラーラに対して神対応をした。
「あっ…ちょっと…部屋とか1人で色々みたいから…ね?」
無理やりな反応。
察してと言わんばかりの作り笑いをして、問いかけるような声。
正直…自分の母が怖い。こうなったのも、なにか理由があるはず、絶対に。考えが変わるなんてよくある…こと。
「あら、そう。好きにしなさい。」
反応は以外にもOK。
というか、娘の頼みを断るなんて人は少ないであろう。
その後、ラーラはまず、近くにある寝室から調べてみることにした。
「…んん」
ベッドの下に手を伸ばすが、やましいものなんて何も無い。
タンスの中、引き出しの中と様々な場所に手を入れ、探ってみるが何も見つからない。
何日も……何日も探しているはずなのに…
探れば探るほど、罪悪感に押しつぶされる。
肉親を、幼少期に、自分が1番信じていた人を疑うのだ。
何かを探求する度、小さい頃の遊んでいた記憶がチラつき、自分が最低なことをしているかもと脳裏をよぎる。
その後も、ラーラは調査をした。その罪悪感と、内通者を探し、仲間を守ろうとしている正義感に心を挟まれる。そのまま圧殺してしまいそうだ。
そもそも、何故あんなに性格が変わったのだろう?
強烈な変貌ぶりを見ると、内通者かと疑わざるを得ない。
心の片隅から、自分の母が内通者という悪に染まってゆく。
そんなわけが無いと、思い出が優しい母に染め返してゆく。
板挟みでずっと考えた時……
「……そうだ。」
突然、1つの可能性が、頭に浮かぶ。
心物だ。心物の影響をどこかで受けているのかもしれない。
それの影響が、性格が変わった理由になるのならば、優しい母も、性格が変わった原因もそれになる。
「絶対そうだ……よね?」
そう、絶対。
あの母が、そんなドライな人になるわけが無い。
何より平民の感覚を大切にしていた母が、高級な物に包まれるわけが無い。
母の顔をした誰かだ。母は操られている。そう思わざるを得なかった。
最悪で不謹慎な理想だ。本来なら一番酷いはずなのに……美しい母が優先されてしまった。
「ハァ……」
最悪な自分に失望し、近くの壁に倒れかかった時!
その壁は、パカッと扉のように開いたのだ。
そして…転びそうになったが、何とか姿勢を持ち直したラーラは呟いた。
「隠し……部屋?」
「ふー、ふーん。似合ってるじゃん。」
ルーハーはいつもと、変わり果てていた。
その風貌に、ラーラは作った笑顔で相槌を打つことしか出来なかった。
ルーハーはその後も家具の紹介をしていった。
「ちょっと、次の家具持ってきなさい!」
家にいる執事たちをこき使わせ、走り回させた。
あまりに時間がかかりすぎたのか「チッ」と舌打ちした。
そして、執事が家具を持ってきたら、すぐさま表情を切り替えて、ラーラに対して神対応をした。
「あっ…ちょっと…部屋とか1人で色々みたいから…ね?」
無理やりな反応。
察してと言わんばかりの作り笑いをして、問いかけるような声。
正直…自分の母が怖い。こうなったのも、なにか理由があるはず、絶対に。考えが変わるなんてよくある…こと。
「あら、そう。好きにしなさい。」
反応は以外にもOK。
というか、娘の頼みを断るなんて人は少ないであろう。
その後、ラーラはまず、近くにある寝室から調べてみることにした。
「…んん」
ベッドの下に手を伸ばすが、やましいものなんて何も無い。
タンスの中、引き出しの中と様々な場所に手を入れ、探ってみるが何も見つからない。
何日も……何日も探しているはずなのに…
探れば探るほど、罪悪感に押しつぶされる。
肉親を、幼少期に、自分が1番信じていた人を疑うのだ。
何かを探求する度、小さい頃の遊んでいた記憶がチラつき、自分が最低なことをしているかもと脳裏をよぎる。
その後も、ラーラは調査をした。その罪悪感と、内通者を探し、仲間を守ろうとしている正義感に心を挟まれる。そのまま圧殺してしまいそうだ。
そもそも、何故あんなに性格が変わったのだろう?
強烈な変貌ぶりを見ると、内通者かと疑わざるを得ない。
心の片隅から、自分の母が内通者という悪に染まってゆく。
そんなわけが無いと、思い出が優しい母に染め返してゆく。
板挟みでずっと考えた時……
「……そうだ。」
突然、1つの可能性が、頭に浮かぶ。
心物だ。心物の影響をどこかで受けているのかもしれない。
それの影響が、性格が変わった理由になるのならば、優しい母も、性格が変わった原因もそれになる。
「絶対そうだ……よね?」
そう、絶対。
あの母が、そんなドライな人になるわけが無い。
何より平民の感覚を大切にしていた母が、高級な物に包まれるわけが無い。
母の顔をした誰かだ。母は操られている。そう思わざるを得なかった。
最悪で不謹慎な理想だ。本来なら一番酷いはずなのに……美しい母が優先されてしまった。
「ハァ……」
最悪な自分に失望し、近くの壁に倒れかかった時!
その壁は、パカッと扉のように開いたのだ。
そして…転びそうになったが、何とか姿勢を持ち直したラーラは呟いた。
「隠し……部屋?」
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