マインドファイターズ

2キセイセ

文字の大きさ
上 下
61 / 281
王都編(二章)

61.ナットの孤独な暮らし①

しおりを挟む
一方その頃。
彼、ナットは、寂しくてベッドの上で暴れ回っていた。

近くにいた、看護師を捕まえては話をして、捕まえてはちょっかいをかけていたりしていた。

「そこのナースさーん。俺もう動けますよー」

誰にも態度を変えない、このおちゃらけた態度はここに来る看護師にとって、結構楽しかったりする。

「骨が10数本折れています。しかも、まだ1週間しかたっておりません」

「俺、めっちゃ回復早いっすよー」

その言葉を耳にも止めず、ナースは手元にあった新聞をベッドの側面にある、机に置いた

「はいはい、新聞届けに来たんで、これ読んでいてください。」

「あざーっす」

ナースは去っていき、ナットは新聞を豪快に開けた。
彼がみているページは『オカルト』のページであった。

「超常現象っておもしれーよな。そこのあんたもそう思わない?」

と、彼は向かいあるベッドで寝転んでいる怪我人にそう聞いた。怪我人は「ハハハッ……」と返すばかりで、気まずい空気が流れてしまった。

「……えー、まっいいや。失礼したな」

ナットはそう言って、再度、新聞を読み始めた。
彼が目を通しているのは……

『死刑執行直後!!呪いの言葉が……』

という、いかにもという感じのタイトルが、禍々しいフォントでデカデカと書かれたページであった。

そのページには…

『カタァース襲撃事件の犯人、ガファーの死刑が行われた。

カタァースの事件自体は殺人未遂であったが、他の罪が明らかになり、今までに32人殺害していることが判明した。
その事から"ディラノス王"は即刻死刑を決め、執行。』

そして…次の項目に目を通した。

『無事執行されたかと思った直後…ガファーの付近にあった"吹き矢"から、ガファーの霊体のようなものが浮かび上がった。そして、その霊体が口を開きこう言った。

「殺してやる!王も!邪魔したアイツらも!全員ぶっ殺す!」と恨みつらみを吐き散らし、その霊体は消えていった。』


その項目を読み終わったナットは、背筋が凍るような思いをした。確実に、アイツらって俺達のことだなと感ずいてしまった。

しかし…彼にはもう1つの、違和感というか、隠された恐怖を感じとった。

そもそも、ガファーは刺客なはずだ。
それを、即刻処刑して、政府との関わりを隠したかのようにしか見えない。

前から聞いていた、内通者が潜んでいる議員には、それをこんなにも早く実行することは出来ない。となれば王様が決断したのだろう……最悪、内通者の事よりも、もっとやばい巨悪が動いていることとなる…。

と、考えれば考えるだけ恐怖に包まれ、彼はそのページをパタンと、周りに聞こえるぐらいの音を鳴らして閉じた。

その事、この新聞はレイ達にも届いていた…が、新聞を読む暇がないことと、彼らにはオカルトに興味は無い為…。

これを知ることは無いであろう。

    
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

処理中です...