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王都編(二章)
59.張り込み調査③
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コルが見ている、《次元の眼》からの視界では、金持ち特有の、赤いカーペットや、大理石の床。
など、カタァースの家と同じような豪邸であった。
コルの心の中にある仮説では、おそらく議員は、だいたいこの家みたいな感じだろう。
「今日は、この人。明日は別の人って感じで任務が進んでいくんすか?」
心配が要らなくなったコルを横目に、アルスはそう言った。この家は、そのまま家具が残されていた空き家であったので、彼は食器などを用意し始めた。
「まあ、そうだな」
新聞や日程、色々なことを調べているレイがそう答えた。
そして、10分程度がたった頃だ。
コルが目を開け、その場で寝転び、どっと疲れた様子でこう言った。
「とりあえず…部屋の隅っこ《次元の眼》を隠せました…!」
大変嬉しそうである。
アルスは勘づいた、彼女は褒めて伸びるタイプだなと。
「よくやった。そのまま、定期的に監視をしておいてくれ。」
「はい…!」
頼られたらすぐこれだ。
ラーラは顔には出さないが、彼女のそういうところが気掛かりである。
そのまま、昼食も食べ、夜食を終え、一同がもうすぐ「おやすみ」と言葉を交わし合う頃になり…。
「…寝る時、監視どうするんだろう?」
疑問を抱えたコプラが、独り言のように呟いた。
「大丈夫…寝たこと確認したら、私もすぐ寝るから。」
ニコッとした笑顔と優しい声で、コプラを包み込むように、コルはそう言った。
それに続けて、彼女はこう言った。
「じゃあ、みんなおやすみ。」
と言って、コル以外はそれぞれに用意されているベッドで睡眠を取った。それから彼女が、再度監視を初めて、しばらくすると…
「ふぁ~……。流石に眠いか…」
限界がもうすぐ近ずいている合図であった。
ウトウトしていると、彼女は1歩1歩とこちらに近ずいてくる足音があることに気がついた。
「おはよ…コル。なんか…寝れなくてさ。」
後ろのドアを開けられ、その音で振り向いたコルの前にいた人はアルスであった。
「あ…アルスか。おはよ…」
少しの間、沈黙が続いた。
監視などで黙り込んでしまった空気をアルスは変えてくれた。
「そんな……今にも意識飛びそうだな。眠てぇならしっかり寝ろよ。」
「いやいや……いいの。私…これぐらいしかやることないからさ…」
彼女は限りなく貼り付けた笑いを出しながら、そう言った。
「ここの組織って…任務を途中で辞めること許されてるんだろ?」
「そうだけど…」
「しかも、途中で辞めた場合は、全員で責任とってくれる。ここまでやってくれるのは…」
「のは…?」
「任務より、依頼者より、組織の人間を考えてるからできるってことなんじゃねえの?」
「!?」
「まっ、ここの組織の奴らは、みんな無理することを望んでないってことだ。んじゃ、おやすみー」
アルスはそう言って、扉を開けて出ていった。
彼女にとって、これがどれだけの力になったのか、重荷を解き放ってくれたか。アルスは分からなかった。
「…やっべ、俺の部屋どこだっけ……ここか?」
と、彼が呟きながら、ドアを開けた。
そこはラーラの部屋であった。
彼女は何故か…座り込んで泣いていた。
など、カタァースの家と同じような豪邸であった。
コルの心の中にある仮説では、おそらく議員は、だいたいこの家みたいな感じだろう。
「今日は、この人。明日は別の人って感じで任務が進んでいくんすか?」
心配が要らなくなったコルを横目に、アルスはそう言った。この家は、そのまま家具が残されていた空き家であったので、彼は食器などを用意し始めた。
「まあ、そうだな」
新聞や日程、色々なことを調べているレイがそう答えた。
そして、10分程度がたった頃だ。
コルが目を開け、その場で寝転び、どっと疲れた様子でこう言った。
「とりあえず…部屋の隅っこ《次元の眼》を隠せました…!」
大変嬉しそうである。
アルスは勘づいた、彼女は褒めて伸びるタイプだなと。
「よくやった。そのまま、定期的に監視をしておいてくれ。」
「はい…!」
頼られたらすぐこれだ。
ラーラは顔には出さないが、彼女のそういうところが気掛かりである。
そのまま、昼食も食べ、夜食を終え、一同がもうすぐ「おやすみ」と言葉を交わし合う頃になり…。
「…寝る時、監視どうするんだろう?」
疑問を抱えたコプラが、独り言のように呟いた。
「大丈夫…寝たこと確認したら、私もすぐ寝るから。」
ニコッとした笑顔と優しい声で、コプラを包み込むように、コルはそう言った。
それに続けて、彼女はこう言った。
「じゃあ、みんなおやすみ。」
と言って、コル以外はそれぞれに用意されているベッドで睡眠を取った。それから彼女が、再度監視を初めて、しばらくすると…
「ふぁ~……。流石に眠いか…」
限界がもうすぐ近ずいている合図であった。
ウトウトしていると、彼女は1歩1歩とこちらに近ずいてくる足音があることに気がついた。
「おはよ…コル。なんか…寝れなくてさ。」
後ろのドアを開けられ、その音で振り向いたコルの前にいた人はアルスであった。
「あ…アルスか。おはよ…」
少しの間、沈黙が続いた。
監視などで黙り込んでしまった空気をアルスは変えてくれた。
「そんな……今にも意識飛びそうだな。眠てぇならしっかり寝ろよ。」
「いやいや……いいの。私…これぐらいしかやることないからさ…」
彼女は限りなく貼り付けた笑いを出しながら、そう言った。
「ここの組織って…任務を途中で辞めること許されてるんだろ?」
「そうだけど…」
「しかも、途中で辞めた場合は、全員で責任とってくれる。ここまでやってくれるのは…」
「のは…?」
「任務より、依頼者より、組織の人間を考えてるからできるってことなんじゃねえの?」
「!?」
「まっ、ここの組織の奴らは、みんな無理することを望んでないってことだ。んじゃ、おやすみー」
アルスはそう言って、扉を開けて出ていった。
彼女にとって、これがどれだけの力になったのか、重荷を解き放ってくれたか。アルスは分からなかった。
「…やっべ、俺の部屋どこだっけ……ここか?」
と、彼が呟きながら、ドアを開けた。
そこはラーラの部屋であった。
彼女は何故か…座り込んで泣いていた。
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