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2キセイセ

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第三拠点編(一章)

24.報告①

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そして……2日後。

アルスとレイは無事退院。
しかし、結構な重症だったため、動けるが動くと痛かったりと、ほとんど何も出来ないという状況だった。

怪我の場所を包帯でぐるぐる巻きにされ、動きずらいったらありゃしない。

そして、見ないうちに、彼への事情聴取が終わっていたらしい。

「ボスーー、報告ぅー」

運ばれ自分の部屋の椅子に腰を下ろし、ぐったりとしているレイの前にナットは現れた。

「いつものは無いのか?」

「ねえよ、今回結構重要だからさっ」

あのおふざけが無いのは、普段ウザがっているレイにとっても、意外と寂しいものであった。

そして、メモや資料を見ながらナットは報告を開始した。

「前に捕らえた少年、"コプラ・マドメット"への事情聴取が終わった。そっしたら中々えぐい事実が判明してなぁー」

ナットは机に手書きの資料を置き、ドアの近くにある1人用の椅子にレイと対面になるように座った。

「まずは、その…狼殺事件についてのこと。結論から言うと、ある1人の少女を狙っての犯行。」

狼殺事件についての報告は長く続いた。

「まとめるとこうだ。

コプラはその少女を生け捕りにしろと化け物に脅される。という幻覚を見たそうだ。

しかし、コプラは誰かに襲いかかり、人を生け捕るという残虐な行為ができなかった。

ここからは推測だが、コプラがみていた幻覚は恐怖やストレスから来るものでは無い。その幻覚なら命令なんてされない。

おそらく、そういう心物があると仮定した方が良さそうだ。

となれば裏に人がいる、命令を幻覚越しにして、足つかないようにしていたんだろうな。そして…俺は聞いた。「どこかの組織に入っていましたか?」ってそしたら案の定「はい」だ。

なら、その組織の上から命令された。が、いつまで経っても出来ないコプラに嫌気がさし、狼を使っての、ただ動物に襲われただけ、という事故にしたかった。」

ナットは報告が終わり、疲れていた。

「なら……幻覚の人物は、そのコプラ君が入っていた組織にいる可能性が高いな」

「そうだな、そ・し・て。その組織の位置もこちらで入手してきましたァー!!」

レイは目が飛び出でる程の驚きを見せた。
ナットは至って、狂った態度で平然としていた。

「簡単な話。コプラの出発点を探れば、そこが拠点になるはずだろ?んで、それはここ」

と言って、資料の中から地図を出して、ここと近い場所の森がある山小屋に、筆でバツ印をつけた。

「うまいこと全部吐いてくれたおかげで……色々なことが動いてるって知れたなぁー。」

そうナットは手を伸ばしながら言った。
気だるい様子の中に、熱いなにかがあるように、レイは見えた

「だが……その少女は何故狙われていたのか……?」

「そ、だから俺は…」

ナットはレイと目と目を合わせ、しっかりとした発音でこう言った。

「ここに突入しようと思っている」




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