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富豪の依頼編(一章)

16.富豪の依頼②

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「いやいやいやいや、ちょっと待って、待って、とりあえず受注所」

ナットは少し焦りながらも、普段の態度を崩さず受注所へ案内をした。

受注所に着いた頃には焦りも収まり、巧みなコミュニケーションで普通に話を進めていた

「あーー、カタァースさん。なにか兵士を頼れない事情でも?」

「そうなんです…兵士に狙われているんですよ…」

「ふぁ!?」

これには流石にこの家に響き渡るぐらいの声で驚いてしまった。
それを聞いたメンバー達はその場に代表でレイが行くことになった。

「どうなさいましたか!?」

ぜぇぜぇと過呼吸したレイは、ナットが何かやらかしたのでは無いかと、組織のボスとしての責任で下手に出た。

「いえ、こちらの方を驚かせてしまっただけです」

カタァースも依頼を受けてもらう側として下手に出た。
ホッとしてゆっくり椅子に座れたレイは、彼の依頼の内容を聞いた。

「して…依頼内容は?」

「手紙の通り、家族を護衛して欲しいのです」

「で…兵士に狙われていると」

「はい」

「なるほど状況はわかりました。カタァース大臣は…非常に有名で狙われやすい立場ですもんね。依頼を受けましょう。」

この国、ラバス王国、国王の補佐として、歴代でも稀を見る程の優秀なカタァース大臣の依頼を、断る理由はもちろんなかった。

「で………なんで狙われとん?」

そう、ナットがボスが来ても変わらない様子でそういった。
カタァースは「こら、敬語!」と小声で言ったレイの声は聞こえていた。

「狙われているのは私の1人娘なんです。娘が心物を持っていて…」

「?」

「あっ、そういうことですね。では時期の方は?」

やけにすぐ納得したレイは護衛任務の詳細を聞こうとしていた…しかしレイの納得速度が気になっているナットは詳細を半分ぐらいしか聞けなかった。

「今日の夜から2日間。私の部下によればこの時期に襲撃が来るらしいです。」

「そうなんですね。では今すぐ家に向かう形になるのでしょうか?」

「まぁ、そんな感じです。準備とかしなきゃ行けないことがあれば、今日の夜以内なら終わってからで構いませんよ。」

「はい、では少々お待ちを。」

とカタァースとレイは会話を続けた。一区切りついたところで、レイとナットは席を空けた。
大部屋に戻る際、ナットとレイはあることについて会話していた。

「なあボスー、心物を持っていたら兵士に狙われんのか?」

「そうだな。王が極秘で、心物持ちを片っ端から殺そうとしている計画があるらしい。目的はよくわかっていないがな…」

「…………ん?」

ナットはあることに気づき…彼に問いつめた。

「なんで…極秘のことあんたが知ってんだ?」

それに対してレイは含みを持たせてこう返した。

「フッ…さあな?」
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