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富豪の依頼編(一章)

14.仮入団から…

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アルスは昔、自分の隣を歩いていたであろう人を断片的に思い出した。その事を考えていた。

「多分…俺、めっちゃ大事な人がいたんだと思う」

「……」

「忘れないとやってけない…って体が判断したとか……あくまで仮説だがな。」

「へぇ…」

コプラは感心した。
その後も、アルスはタンタス村の話を聞いたが、この会話以上にアルスの記憶を思い出させるものはなく、そのまま太陽が沈み、夜になった。

「おーい、飯できたぞー」

先程のパン焼きを終えたレイがドア越しに呼ぶ声が聞こえた。

「はい、いきます!」

アルスはそう言って勢いよくドアを開けた。
その時に、コプラもついて行こうとしたが…

「コプラ君…君はもう少しここで飯を食ってくれ。飯の用意したから。」

と言って、レイはどこからか、コプラ分のパンのセットを持ってきた。

「…ありがと」

と、少し恥ずかしそうにお礼を言って、そのパンを食べ始めた。

「…うめぇ」

しまった扉の奥にコプラの感想は聞かれていなかった。
それに、彼は安堵した。

……そんなこんなで多忙の一日が終わり、太陽が沈み、三日月が出てきた頃。

1人、レイは立って深夜テンションで厨二病を拗らせていた。

「溜まり場に集ったものよ…就寝の時だ…」

「「「おやすみー」」」

口々に言う寝る前の挨拶でそれぞれの就寝の部屋に入っていった。

アルスとコプラは広い、依頼受注所(ナット就寝部屋)で寝袋を巻いて寝ていた。

そして…寝ているアルスの近くに影が迫る。
……タン…タン…

「おい、アルス。1つ話がある」

その声は低く、渋い声。
レイの声だった。

「……ええ…?なんすか?」

寝かけていたアルスは少し苛立ちを見せていた。
レイは「私の部屋に来てくれ」と言って、アルスを連れていった。

「で……話ってなんですか?」

部屋に入ったアルスは眠気を覚まされ、しっかりと受け答えしていた。

「少しな、聞きたいことがあって。」

「聞きたいこと?」

レイは「ああ」と言って1つ、間を開けて深刻そうにこう言った。

「仮入団を辞め……入団する気は無いか?」

その時、アルスはなんだといった拍子抜けた様子で、緊張がほぐれて、ふにゃっとなるように椅子に背をつけた。

アルスは笑顔を見せてこう言った。

「なーんだ。そのことすか。」

「えっ……こっ、答えは?」

「答えは明日の朝言うつもりだったんですけどね……」

と言って、アルスは少しニコッと笑い、答えた。

「……はい。入団します」

そうアルスは言った。
「んじゃ、俺も眠いんで」と続けて言い、彼の就寝部屋に帰って行った。





その頃……彼らの家に、有名人からの1つの手紙が届いた。

『報酬はいくらでも払う。家族を護衛してくれ。詳しくは明日話す。カタァース・ハーマ』
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