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仮入団編(一章)
4.ボスと呼ばれる男②
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「零事件?」
アルスは小声で、ナットに尋ねた。
「そう、零事件。この事件は激ヤバだ。」
と、ナットが言ったあと、1呼吸置いて、続けて説明口調で彼は話し始めた。
「なんでも、被害者は喜怒哀楽とかいう感情を、全く感じなくなる。何も思わないし、何も感じなくなる。考えることすらできない。いわば脳死状態。0ってことだ。」
ナットは自信満々にニヤッとしたドヤ顔でアルスに自分の凄さを見せつけた……が、アルスはへーと言った様子だった。
「説明ありがとう。…聞きたいことは2つ、まず隣の男は?」
ボスはナットを睨みつけて、そう言った。
そして、アルスに目を向け、警戒した様子だった。
お互いに緊迫した空気が流れる中、その空気に耐えきれなくなったのはアルスだった。
「あっ…アルス・ターネストと申します」
「アルス、か。私は"レイ・ラガード"。して……アルス殿、なぜここに来た?」
「えっと……記憶がなくて、さっき出会った…ナットさんについて行って、とりあえずここに…」
「なるほど…ナット、こちらに来い。」
レイの元に来たナットは、ニヤニヤしながらアルスの方を向いていたが、コンッ、と軽めのゲンコツをくらい、もっとニヤニヤし始めた。
「して……零事件の方は?」
「あれだ、ある村人が死んだ直後、村が滅ぼされた。何かを隠すようにな。」
それを聞いた時、アルスは村人が死んだという事実を初めて知り、驚愕して口が開いたままになった。
「それと、零事件にどう言った関係が?」
「勘。あと俺が調査した事件にめっちゃ似てんだよ。誰かが死んで、狼に食い殺されたってことにする流れが。今回はたまたま、アルスの心物で助かった訳だが…なかったら多分死んでた」
「なるほど、同一犯だと。別の事件だとしても、すぐにでも調査にうつった方がいいだろう。報告感謝する。」
レイはナットに一礼し、「もう去ってくれて構わないぞ」と言った、ナットはそれに従い先程の扉を開け、出ていった…ように見えた。
「あ!ボスあれ忘れてる!」
引きかけの扉を戻し、期待の眼差しを見せながら、ナットは振り返った。
「…ご来店ありがとうございました」
少々苛立ったレイは渋々言った。それでも彼は満足して部屋に帰った。
「さてと…アルス殿。君はこの事件の捜査に協力する気はないか?」
「いえ……俺は…記憶もないし、事情聴取なんてできないですよ?」
「記憶が無いからこそ誘ったのだ。自分の手で自分の記憶を取り戻したいだろう?」
「それは…そうです」
「そしてアルス殿は心物を持っている…要約すれば、我々は調査と共にアルス殿の記憶を取り戻す手伝いをする代わりに、アルス殿は我々に心物を使って調査の協力してくれ。ということだ。」
そして、レイは熱く期待の眼差しでアルスを見つめ、言った。
「この誘い…乗るか?」
アルスは小声で、ナットに尋ねた。
「そう、零事件。この事件は激ヤバだ。」
と、ナットが言ったあと、1呼吸置いて、続けて説明口調で彼は話し始めた。
「なんでも、被害者は喜怒哀楽とかいう感情を、全く感じなくなる。何も思わないし、何も感じなくなる。考えることすらできない。いわば脳死状態。0ってことだ。」
ナットは自信満々にニヤッとしたドヤ顔でアルスに自分の凄さを見せつけた……が、アルスはへーと言った様子だった。
「説明ありがとう。…聞きたいことは2つ、まず隣の男は?」
ボスはナットを睨みつけて、そう言った。
そして、アルスに目を向け、警戒した様子だった。
お互いに緊迫した空気が流れる中、その空気に耐えきれなくなったのはアルスだった。
「あっ…アルス・ターネストと申します」
「アルス、か。私は"レイ・ラガード"。して……アルス殿、なぜここに来た?」
「えっと……記憶がなくて、さっき出会った…ナットさんについて行って、とりあえずここに…」
「なるほど…ナット、こちらに来い。」
レイの元に来たナットは、ニヤニヤしながらアルスの方を向いていたが、コンッ、と軽めのゲンコツをくらい、もっとニヤニヤし始めた。
「して……零事件の方は?」
「あれだ、ある村人が死んだ直後、村が滅ぼされた。何かを隠すようにな。」
それを聞いた時、アルスは村人が死んだという事実を初めて知り、驚愕して口が開いたままになった。
「それと、零事件にどう言った関係が?」
「勘。あと俺が調査した事件にめっちゃ似てんだよ。誰かが死んで、狼に食い殺されたってことにする流れが。今回はたまたま、アルスの心物で助かった訳だが…なかったら多分死んでた」
「なるほど、同一犯だと。別の事件だとしても、すぐにでも調査にうつった方がいいだろう。報告感謝する。」
レイはナットに一礼し、「もう去ってくれて構わないぞ」と言った、ナットはそれに従い先程の扉を開け、出ていった…ように見えた。
「あ!ボスあれ忘れてる!」
引きかけの扉を戻し、期待の眼差しを見せながら、ナットは振り返った。
「…ご来店ありがとうございました」
少々苛立ったレイは渋々言った。それでも彼は満足して部屋に帰った。
「さてと…アルス殿。君はこの事件の捜査に協力する気はないか?」
「いえ……俺は…記憶もないし、事情聴取なんてできないですよ?」
「記憶が無いからこそ誘ったのだ。自分の手で自分の記憶を取り戻したいだろう?」
「それは…そうです」
「そしてアルス殿は心物を持っている…要約すれば、我々は調査と共にアルス殿の記憶を取り戻す手伝いをする代わりに、アルス殿は我々に心物を使って調査の協力してくれ。ということだ。」
そして、レイは熱く期待の眼差しでアルスを見つめ、言った。
「この誘い…乗るか?」
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