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仮入団編(一章)
1.奇妙な棒
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悪夢を見ている。
誰かが死んでしまった悪夢だ。
「…ア……ルス……幸せ…になってね……」
俺は泣いていた。
こんな嘘みたいな悪夢をまじだって受け取ってた。
………――――――
「あああっっ!!」
「おっ、あんたアルス・ターネストだよな。」
普通の木の家、白いベッドの上、近くには樽。
少し離れて火のついた暖炉がある。窓からくる太陽の光が眩しいところで、彼、アルスは悪夢にうなされながら目を覚ました。
「えっと………すみません、何も思い出せなくて、もしかして……知人の方ですか?」
どこから、どこまでの記憶だけがぽっかり抜けているような気がする。
それも、いつの時期かすらも分からない。
アルスは自分が起きた時、目の前にいた深い緑色の髪色をした、首元のハートのネックレスが特徴的な男にそう聞いた。
「ああ、ただの通りすがりの男だよ」
「えっ…不法侵入?」
「状況が状況だからさぁ、ごめんねー」
と、男は陽気に、男性にしては少し高い声で笑いながらそう言った。
そして、アルスは状況という言葉にひっかかり、彼にそれを委ねることにした
「え?…状況?」
「そそ、見てみな、酷いんよこれが。」
そう男が言った通り、ベッドから体をうんと起こし、窓から街を見て見た。
そこには、数多の狼が、次の獲物はと興奮させているのが見えた。
「…っ」
アルスは絶句した、自分の置かれている状況は、死が目の前にあるのと同然の状況だ。
「まっ、死ぬ。確実に死ぬ。」
と男は淡々と、感情が籠っていないように言った。
「えっ…目覚めたら死ぬ1歩前に置かれてましたって…おかしいですよね!?」
「おかしいけど、しょうがねえ。」
アルスは嘘だと思いながら、あの数多の狼に戦おうとしていた、全ての引き出しを空け、ベッドの隙間、戸を開けて別の部屋と、とりあえず武器だけを探していた。
しかし……
「嘘っ……だろ?」
出てきた武器は、ただの棒、自分と同じぐらいの背丈を持つ棒という、さらなる絶望だけが見つかった。
「なんで……なんで棒なんだよ!!おかしいだろ!!普通斧とかあるだろ!記憶ないからわっかんないけど…至って平和な生活してたんだな!」
アルスはこの状況と自分を憎んだ、絶望を感じることしか出来ない無力さにより、彼は嘆いていた。
その嘆きは誰にも届かないものだと思われていた。…………しかし。
シュッ…
いきなり、先程の棒の先端に、刃が生えた。
それは斧のように変形した。
「はぁ!?」
「まじかっ」
アルスは大袈裟に、男は控えめに驚いていたが、両者は言葉を失うぐらいに驚いていた。
「えっ、えっ、えっ!」
あまりの超常現象に、アルスは驚くことしか出来なかった。
「それ、"心物"(しんぶつ)じゃん」
そう、男は言った。
「しっ…しんぶん?」
「心物だ、その人の心を表す、奇妙な物のこと。さっきみたいに変形したりするやつとか、色んな力を持った心物があるんだ。心を表してるからか持っている人にとっての他人使えない。あと、持っている人はほんと少ないから、あんた珍しい人だな」
そう、男は変わらない表情、説明口調でそう言った。
淡々と話す男に、アルスは恐怖すら感じていた。
「………なあ…もしこれが霧とかになれば、逃げれるのか?」
「…なれないだろうけど…試してみる価値はある、さすがにあれもできないで死ぬのはいやだね」
お互い、やると覚悟を決め、熱くグータッチを決めたあと、アルスは窓を開けた時には、彼らに不安はなかった。
誰かが死んでしまった悪夢だ。
「…ア……ルス……幸せ…になってね……」
俺は泣いていた。
こんな嘘みたいな悪夢をまじだって受け取ってた。
………――――――
「あああっっ!!」
「おっ、あんたアルス・ターネストだよな。」
普通の木の家、白いベッドの上、近くには樽。
少し離れて火のついた暖炉がある。窓からくる太陽の光が眩しいところで、彼、アルスは悪夢にうなされながら目を覚ました。
「えっと………すみません、何も思い出せなくて、もしかして……知人の方ですか?」
どこから、どこまでの記憶だけがぽっかり抜けているような気がする。
それも、いつの時期かすらも分からない。
アルスは自分が起きた時、目の前にいた深い緑色の髪色をした、首元のハートのネックレスが特徴的な男にそう聞いた。
「ああ、ただの通りすがりの男だよ」
「えっ…不法侵入?」
「状況が状況だからさぁ、ごめんねー」
と、男は陽気に、男性にしては少し高い声で笑いながらそう言った。
そして、アルスは状況という言葉にひっかかり、彼にそれを委ねることにした
「え?…状況?」
「そそ、見てみな、酷いんよこれが。」
そう男が言った通り、ベッドから体をうんと起こし、窓から街を見て見た。
そこには、数多の狼が、次の獲物はと興奮させているのが見えた。
「…っ」
アルスは絶句した、自分の置かれている状況は、死が目の前にあるのと同然の状況だ。
「まっ、死ぬ。確実に死ぬ。」
と男は淡々と、感情が籠っていないように言った。
「えっ…目覚めたら死ぬ1歩前に置かれてましたって…おかしいですよね!?」
「おかしいけど、しょうがねえ。」
アルスは嘘だと思いながら、あの数多の狼に戦おうとしていた、全ての引き出しを空け、ベッドの隙間、戸を開けて別の部屋と、とりあえず武器だけを探していた。
しかし……
「嘘っ……だろ?」
出てきた武器は、ただの棒、自分と同じぐらいの背丈を持つ棒という、さらなる絶望だけが見つかった。
「なんで……なんで棒なんだよ!!おかしいだろ!!普通斧とかあるだろ!記憶ないからわっかんないけど…至って平和な生活してたんだな!」
アルスはこの状況と自分を憎んだ、絶望を感じることしか出来ない無力さにより、彼は嘆いていた。
その嘆きは誰にも届かないものだと思われていた。…………しかし。
シュッ…
いきなり、先程の棒の先端に、刃が生えた。
それは斧のように変形した。
「はぁ!?」
「まじかっ」
アルスは大袈裟に、男は控えめに驚いていたが、両者は言葉を失うぐらいに驚いていた。
「えっ、えっ、えっ!」
あまりの超常現象に、アルスは驚くことしか出来なかった。
「それ、"心物"(しんぶつ)じゃん」
そう、男は言った。
「しっ…しんぶん?」
「心物だ、その人の心を表す、奇妙な物のこと。さっきみたいに変形したりするやつとか、色んな力を持った心物があるんだ。心を表してるからか持っている人にとっての他人使えない。あと、持っている人はほんと少ないから、あんた珍しい人だな」
そう、男は変わらない表情、説明口調でそう言った。
淡々と話す男に、アルスは恐怖すら感じていた。
「………なあ…もしこれが霧とかになれば、逃げれるのか?」
「…なれないだろうけど…試してみる価値はある、さすがにあれもできないで死ぬのはいやだね」
お互い、やると覚悟を決め、熱くグータッチを決めたあと、アルスは窓を開けた時には、彼らに不安はなかった。
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