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[if]4章
0.ただ1人
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ーーースティール視点ーーー
初めは、ただ1人の妹のため。
そのために戦ってきた。
だが………それも、分からなくなってきた……。
今、何度目かのダーハッドに乗り込む直前。
タイミングや順番、1つ1つ探り、1つ1つ失敗している。
「はぁ……」
さっきから何度ため息が出るのだろう。
1つ、選択肢を間違えればバッドエンドになる。
結界の中にいるフレイン達にスティール名義の手紙を渡さない。
エルフの大陸から、本拠地に戻る時、サッチャーを護衛に付けない。
ラティーを疑い、本拠地を変える。
それだけで………バッドエンドだ。
俺が同行するルートもあった。
だが開花しなかったり、覚醒しなかったりで、邪神を復活させてしまったり。
俺の素顔をマリンに見られたら終わり。
その時点で彼女達の旅は終わり。
つまり最悪の未来だ。
そして……仮面のことを触れられても困る。
初めからマダラとして、全てをなさなければいけないということ。
踏んだり蹴ったりだ。どれだけやり直せばマリンの生きている世界にたどり着くのだろう?
いや、この際、「救いたい」より「やってきたことが無駄になるのが怖い」だろう。
自分ただ1人のために………
思っておいて、情けなくなってきた。
そして、おそらく俺は死ぬだろう。
全力を出さなければ……魔力をやり直し用に残してしまえばムアンには勝てない。
何度も何度も経験したことだ。
そして、もう1つ、フレインを覚醒させたい。
覚醒は強い決意がトリガー、大体の覚醒者は死に際に「死にたくない」というで覚醒する。決意でドスラーも「魔族をぶっ殺す」という決意で覚醒したのだろう。
俺は覚醒しているが………神の能力に耐えきれなかった。
そして今、遺言を書いている。
この遺言も………丁寧に書かなければ。
俺が死んだ先は、俺の知らない未来、変えられない未来だ。
ここで失敗すれば……何もかも無駄になる。
それが、たまらなく怖い。
なにかの戦いの前、何度直前で逃げ出して、何度最悪の未来を見てきたか。
何年努力して、魔力の効率の良い使い方を完璧にしたか。
何年努力して、何事にも対応できるよう、全ての武器の武術を身につけたか。
「ごめん……」
俺は、この完璧な軌跡を描くために、殺してきた人が多くいる。
今からでも救えることが出来るのに、救わない、殺す。
見殺しにしたとか、そういう次元じゃない、殺したんだ。
いずれ死ぬ、犠牲を少なくしたんだって。
何度言い訳しても、「俺が殺した」この事実だけは変わらない。
「……行くか」
重い足をあげ、俺はまた、決戦に向かう。
初めは、ただ1人の妹のため。
そのために戦ってきた。
だが………それも、分からなくなってきた……。
今、何度目かのダーハッドに乗り込む直前。
タイミングや順番、1つ1つ探り、1つ1つ失敗している。
「はぁ……」
さっきから何度ため息が出るのだろう。
1つ、選択肢を間違えればバッドエンドになる。
結界の中にいるフレイン達にスティール名義の手紙を渡さない。
エルフの大陸から、本拠地に戻る時、サッチャーを護衛に付けない。
ラティーを疑い、本拠地を変える。
それだけで………バッドエンドだ。
俺が同行するルートもあった。
だが開花しなかったり、覚醒しなかったりで、邪神を復活させてしまったり。
俺の素顔をマリンに見られたら終わり。
その時点で彼女達の旅は終わり。
つまり最悪の未来だ。
そして……仮面のことを触れられても困る。
初めからマダラとして、全てをなさなければいけないということ。
踏んだり蹴ったりだ。どれだけやり直せばマリンの生きている世界にたどり着くのだろう?
いや、この際、「救いたい」より「やってきたことが無駄になるのが怖い」だろう。
自分ただ1人のために………
思っておいて、情けなくなってきた。
そして、おそらく俺は死ぬだろう。
全力を出さなければ……魔力をやり直し用に残してしまえばムアンには勝てない。
何度も何度も経験したことだ。
そして、もう1つ、フレインを覚醒させたい。
覚醒は強い決意がトリガー、大体の覚醒者は死に際に「死にたくない」というで覚醒する。決意でドスラーも「魔族をぶっ殺す」という決意で覚醒したのだろう。
俺は覚醒しているが………神の能力に耐えきれなかった。
そして今、遺言を書いている。
この遺言も………丁寧に書かなければ。
俺が死んだ先は、俺の知らない未来、変えられない未来だ。
ここで失敗すれば……何もかも無駄になる。
それが、たまらなく怖い。
なにかの戦いの前、何度直前で逃げ出して、何度最悪の未来を見てきたか。
何年努力して、魔力の効率の良い使い方を完璧にしたか。
何年努力して、何事にも対応できるよう、全ての武器の武術を身につけたか。
「ごめん……」
俺は、この完璧な軌跡を描くために、殺してきた人が多くいる。
今からでも救えることが出来るのに、救わない、殺す。
見殺しにしたとか、そういう次元じゃない、殺したんだ。
いずれ死ぬ、犠牲を少なくしたんだって。
何度言い訳しても、「俺が殺した」この事実だけは変わらない。
「……行くか」
重い足をあげ、俺はまた、決戦に向かう。
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