軌跡旅行

2キセイセ

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最終章

155.勇者

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俺はいろいろと、不思議に思って、ユダーラさんにそう聞いてみた。
すると、帰ってきた返事は意外なものだった。

「やはり、感ずくか。」

「はい……魔法は一人一種類、なのにユダーラさんは色々作りますからね」

そして俺は、あれをぶつけてみた。

「やっぱ……願いの神は……あなたに宿ってるんですよね?」

「少し違うな。話すと長くなるから、この遺跡を歩きながら話そうじゃないか。」

「はい」

そう言って、歩きながらユダーラさんは一つ、長話を始めた。

「私は…幼少期の記憶は全くなく、気づいたらこの世界にいた、という感じだ。記憶喪失に近い感じだよ。その時の私は20歳ぐらいの姿だった。」

そんなもの……あるのか?

「私がいた時代は、人間は恐怖に満ちていた。魔族の恐怖にな。」

邪神が暴れてた時代……200年前…だよな?

「幼少期の記憶も、好きな物も、自分の名前すら分からない私が、何故か、邪神の存在を知っていた。そして、邪神により世界が滅ぶという未来も知っていた。」

………

「不思議なことに、私は、「自分が邪神を滅ぼさないと」という使命感に満ちていた。その使命感につけたかのように、力神、時神、祈神の力を、私は持っていた。今は祈神の力しか使えないがな。」

………本で見た、確か……

「その力と使命感からだろう、私は民衆から、勇者、と呼ばれていた。」

………おいおいおいおい、勇者……ってあの勇者か!?
結界作った……いやありえない、200年も生きてるわけねえ!

「知恵を学んで行くうちに、自分が神によって作られた存在ということがわかったのだ。人間離れした万力、数多の種類の魔法、未来の予知、これはそれぞれの神の能力であった。」

……これまじであるな。

「その力を生かし、導かれるように、邪神の元にたどり着いて、戦闘を始めた。しかし結果は惜しくも敗れてしまった。しかし、何とか封印させることには成功したのだ。」

……

「しかし、問題はそのあとだ、邪神が封印されてたから、という理由で、魔族は止まらなかった。むしろ勢いが増してしまった。」

……ならこの先は…結界を作るはず…

「そして、私は人間を守るため、出した結論が結果を作る、ということだった。」

…勇者確定だな

「結果はご存知の通り、結界は人間がここまで生き延びれた理由となった。結界を持続させるために、祈神の力で、自分の体をいじくって寿命を無くした。だが……魔族はそれでは止まらない。ちょうど50年前に、ムアンが動き始めた。」 

知っている固有名詞……かなり近くなってきたな。

「しかし、自分の体のことと、結界で疲労しまくっている私に止める気力はなかった……が、3年前に転機を迎えた。ゼロマジックの設立だ。誘ったのはマダラだった。」

……マダラさん……いや、マリンの兄貴さん、相当…過酷だったんだろうな…

「あとは知っての通り、君が来て、ムアンは倒され、邪神を滅ぼすために動いている、という感じだ。」
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